121 / 122
二章
十八・二
しおりを挟む
あれからしばらくして、リーブラたちは気が済んだらしい。攻撃の手を止めて、武器をしまった。
ちなみにリーブラたちは無傷、アリーズは軽傷くらいで済んだことに内心安堵した。これでも一応私にも人の心というものがあるんでね。
お前は我関せずで笑っていただけだろう、だなんて言葉は聞こえない聞こえない。
「で、アリーズ、なんか言うことはあるかしら?」
「スミマセンデシタ。」
アクエリアスの問いかけにカタコトで返すアリーズ。いつもと逆の立場になっていることがあまりにも面白くて、この状況を目に焼き付けておく。
「……で、何故そんなことになったの? アリーズちゃんが理由なしに自分のテリトリーに人を入れるわけないもの。」
トーラスさんやい。それが分かっていたのにも関わらず殺気を向けたんかい。皆の価値基準、よく分からんな。
「あー……かくかくしかじか。」
「なっ! やっぱりマロンが標的だったワケ!?」
「今まで捕まえた暗殺者たちは尽く黙りを決め込むし、細心の注意を払っても自死する。だからどうしても目的やら何やらを聞き出すことが出来なかったんだ。でもここ最近はマロンにしか差し向けられていなかったから、今回で確信した。……悪かった、我輩の力不足だ。」
「……そう。でもそれならあたくしに預ければ良かったのではなくて? 昨日の夜分には戻っていたのだから。」
「いや、アクエリアスが帰ってきてたなんて知らない。報告もまだ受けてないし。」
「そ、それは……まあ、そうね。」
「でも兄さん、それでも城にいると分かっているメンバーにくらい相談してよ。叩き起こしてでも、さ。報連相、大事。」
「わ、悪かった……」
「分かったのなら良し。」
お、ようやく話に一区切りついたかな? それなら聞きたいことがあるんだけど……答えてくれるかな?
ソワソワと五人の周りを彷徨いてみると、それに気付いてくれたサジタリアスが声をかけてくれた。
「マロン、どうした?」
「ええと、その、リーブラの『兄さん』呼びがずっと気になってて、さ……」
「ああ、アリーズは僕の実の兄なんですよ~。」
気になっていたことをサジタリアスにそれとなく聞いてみると、その会話を聞いていたらしいリーブラがサラッと教えてくれた。
今のやり取りから察するに、何となくそうじゃないかとは思っていたが、改めて言葉にされると驚いてしまう。
だって天使のリーブラと意地クソ悪いアリーズがまさか兄弟だなんて。言われなきゃ一生気がつかなかっただろう。それくらい似ていないんだ、この二人。
ああ、でも、よくよく見たら顔立ちやそれぞれのパーツは少し似ているかもしれない。まあ、本当、じぃっくりと観察したらの話だ。
「あたくしもビックリするくらい、この二人は似てないのよねぇ。主に性格の悪さが。」
アクエリアスのその言葉に、アリーズは『性格悪くてごめんなさいね?』とニッコリ笑顔で言い切った。その笑顔の薄寒さと言ったらもう、筆舌に尽くしがたかったとだけ言っておく。
ちなみにリーブラたちは無傷、アリーズは軽傷くらいで済んだことに内心安堵した。これでも一応私にも人の心というものがあるんでね。
お前は我関せずで笑っていただけだろう、だなんて言葉は聞こえない聞こえない。
「で、アリーズ、なんか言うことはあるかしら?」
「スミマセンデシタ。」
アクエリアスの問いかけにカタコトで返すアリーズ。いつもと逆の立場になっていることがあまりにも面白くて、この状況を目に焼き付けておく。
「……で、何故そんなことになったの? アリーズちゃんが理由なしに自分のテリトリーに人を入れるわけないもの。」
トーラスさんやい。それが分かっていたのにも関わらず殺気を向けたんかい。皆の価値基準、よく分からんな。
「あー……かくかくしかじか。」
「なっ! やっぱりマロンが標的だったワケ!?」
「今まで捕まえた暗殺者たちは尽く黙りを決め込むし、細心の注意を払っても自死する。だからどうしても目的やら何やらを聞き出すことが出来なかったんだ。でもここ最近はマロンにしか差し向けられていなかったから、今回で確信した。……悪かった、我輩の力不足だ。」
「……そう。でもそれならあたくしに預ければ良かったのではなくて? 昨日の夜分には戻っていたのだから。」
「いや、アクエリアスが帰ってきてたなんて知らない。報告もまだ受けてないし。」
「そ、それは……まあ、そうね。」
「でも兄さん、それでも城にいると分かっているメンバーにくらい相談してよ。叩き起こしてでも、さ。報連相、大事。」
「わ、悪かった……」
「分かったのなら良し。」
お、ようやく話に一区切りついたかな? それなら聞きたいことがあるんだけど……答えてくれるかな?
ソワソワと五人の周りを彷徨いてみると、それに気付いてくれたサジタリアスが声をかけてくれた。
「マロン、どうした?」
「ええと、その、リーブラの『兄さん』呼びがずっと気になってて、さ……」
「ああ、アリーズは僕の実の兄なんですよ~。」
気になっていたことをサジタリアスにそれとなく聞いてみると、その会話を聞いていたらしいリーブラがサラッと教えてくれた。
今のやり取りから察するに、何となくそうじゃないかとは思っていたが、改めて言葉にされると驚いてしまう。
だって天使のリーブラと意地クソ悪いアリーズがまさか兄弟だなんて。言われなきゃ一生気がつかなかっただろう。それくらい似ていないんだ、この二人。
ああ、でも、よくよく見たら顔立ちやそれぞれのパーツは少し似ているかもしれない。まあ、本当、じぃっくりと観察したらの話だ。
「あたくしもビックリするくらい、この二人は似てないのよねぇ。主に性格の悪さが。」
アクエリアスのその言葉に、アリーズは『性格悪くてごめんなさいね?』とニッコリ笑顔で言い切った。その笑顔の薄寒さと言ったらもう、筆舌に尽くしがたかったとだけ言っておく。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢への未来を阻止〜〜人は彼女を女神と呼ぶ〜〜
まさかの
恋愛
この国の始祖である一族として、何不自由無く生きてきたマリアは不思議な夢の中でいきなり死の宣告を受けた。
夢のお告げに従って行動するが、考えなしに動くせいで側近たちに叱られながらも、彼女は知らず知らずのうちに次期当主としての自覚が芽生えていくのだった。
一年後に死ぬなんて絶対にいや。
わたしはただカッコいい許嫁と逢瀬を楽しんだり、可愛い妹から頼られたいだけなの!
わたしは絶対に死にませんからね!
毎日更新中
誤字脱字がかなり多かったので、前のを再投稿しております。
小説家になろう、ノベルアップ+、マグネットでも同小説を掲載しております
IMprevu ―予期せぬ出来事―
天野斜己
恋愛
「一杯、おごらせて頂けませんか?」女子力0のアラサー干物女に訪れた、ドラマのようなシチュエーションから始まるシンデレラストーリー。しかし彼女を誘った、見た目も家柄もパーフェクトなエリート、実は彼の裏の顔は腹黒マックロくろすけなヤンデレ男だった。
※ 言うまでもない事ではありますが、この話はあくまでフィクションであり、実在の人物、団体、店舗、建造物etcの名称が出て参りましても、それらのものとは一切関係がない事を改めて明記させて頂きます。多少の矛盾は軽く流して(笑)、あくまでも“天野の脳内ファンタジー世界”の出来事としてお楽しみ下さいマセ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる