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二章
十・二
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「たーのもー!」
城に帰ってきた私は、誰か暇な人がいないかと探し回る。と言っても皆出払っていてアリーズかサジタリアスくらいしかいないだろうけれども。
武術大会に向けて、十二星座の誰かと手合わせするのが一番成長できそうだからね。まあ、暇じゃなかったら諦めて一人で頑張るつもりだ。
「あ、マロンさんだ!」
そう頭の中でウンウンと考えていると、聞き覚えのある声がした。と思った瞬間、ポフンと前から抱きつかれた。薄いクリーム色で、天使の羽のような外ハネの髪はきっとリーブラだろう。
「おかえり、リーブラ。」
「ただいま帰りました!」
にぱっと邪気のない笑みを見せてくれるリーブラ。あー、本当可愛い。
「あらちょっと、アタシの存在も忘れないで!」
「おかえり、トーラス。」
筋骨隆々な見た目とは相反して女性的な言葉遣いのトーラス。最初見た時はそのギャップにビックリしたけど、今考えてみればこっちの方がトーラス自身もイキイキして見えるし、実際似合ってるんよな。
「前回アタシ達は一番最後に帰ってきたけど、今回は早かったみたいね。」
「マロンさんと一緒にいられる時間が増えて僕は嬉しいです!」
そうだ、前回この二人は一番最後に帰ってきたグループで、なかなか話すことも鍛錬に付き合ってもらうことも出来なかったんだったっけ。
……ん? 待てよ? それなら今から付き合ってもらうのは良いのでは?
「ねえ! 二人とも、これから暇? 暇なら鍛錬に付き合って!」
「うーん、そうねぇ……。今日はアリーズに帰還報告する程度だから、その後なら暇ね。」
「僕も付き合いますよ!」
「ありがと~! 実はかくかくしかじかで……!」
「あら、それは良い心掛けね! じゃあアタシ達も張り切っちゃいましょ!」
最後ハートが付いたんじゃないかと思うほど楽しげにそう言うトーラス。十二星座サマが張り切ったらどれくらいの過酷さになるだろう。期待とほんの少しの不安に駆られる。
「じゃあリーブラと先に鍛錬場に行ってて頂戴! 時は金なり! 報告くらいならアタシ一人でも良いでしょ?」
「トーラスさんありがとう! じゃあマロンさん、行こ?」
気を利かせてくれたトーラスはパチンと一つウインクし、廊下を進んでいった。そしてスキップでもしそうな程ご機嫌なリーブラに手を引かれ、鍛錬場へと向かう。
「さぁて、マロン。そういう事情なら、僕も張り切っちゃうよ?」
鍛錬場に着きお互い向かい合うと、リーブラはそこでふわっとした柔らかい雰囲気からピンと張り詰めた殺気へと変える。
そしてお互いどこからともなく武器、リーブラは彼の背丈程ある大鎌を、私はお馴染みの双剣を取り出す。
「じゃあまずは、マロンさんのお手並み拝見と行きましょうかね?」
リーブラがニヤリと不敵に笑った瞬間、それまでとは違う重い殺気がブワリと広がる。それを真正面から浴び、私は柄にもなく冷や汗を垂らしてしまう。この私が、だ。
あれ、もしかして今まで十二星座の皆って……結構手加減してくれてたん?
そう思い当たり、圧倒的強者に教授してもらえることに幸福と興奮を覚えたのだった。
城に帰ってきた私は、誰か暇な人がいないかと探し回る。と言っても皆出払っていてアリーズかサジタリアスくらいしかいないだろうけれども。
武術大会に向けて、十二星座の誰かと手合わせするのが一番成長できそうだからね。まあ、暇じゃなかったら諦めて一人で頑張るつもりだ。
「あ、マロンさんだ!」
そう頭の中でウンウンと考えていると、聞き覚えのある声がした。と思った瞬間、ポフンと前から抱きつかれた。薄いクリーム色で、天使の羽のような外ハネの髪はきっとリーブラだろう。
「おかえり、リーブラ。」
「ただいま帰りました!」
にぱっと邪気のない笑みを見せてくれるリーブラ。あー、本当可愛い。
「あらちょっと、アタシの存在も忘れないで!」
「おかえり、トーラス。」
筋骨隆々な見た目とは相反して女性的な言葉遣いのトーラス。最初見た時はそのギャップにビックリしたけど、今考えてみればこっちの方がトーラス自身もイキイキして見えるし、実際似合ってるんよな。
「前回アタシ達は一番最後に帰ってきたけど、今回は早かったみたいね。」
「マロンさんと一緒にいられる時間が増えて僕は嬉しいです!」
そうだ、前回この二人は一番最後に帰ってきたグループで、なかなか話すことも鍛錬に付き合ってもらうことも出来なかったんだったっけ。
……ん? 待てよ? それなら今から付き合ってもらうのは良いのでは?
「ねえ! 二人とも、これから暇? 暇なら鍛錬に付き合って!」
「うーん、そうねぇ……。今日はアリーズに帰還報告する程度だから、その後なら暇ね。」
「僕も付き合いますよ!」
「ありがと~! 実はかくかくしかじかで……!」
「あら、それは良い心掛けね! じゃあアタシ達も張り切っちゃいましょ!」
最後ハートが付いたんじゃないかと思うほど楽しげにそう言うトーラス。十二星座サマが張り切ったらどれくらいの過酷さになるだろう。期待とほんの少しの不安に駆られる。
「じゃあリーブラと先に鍛錬場に行ってて頂戴! 時は金なり! 報告くらいならアタシ一人でも良いでしょ?」
「トーラスさんありがとう! じゃあマロンさん、行こ?」
気を利かせてくれたトーラスはパチンと一つウインクし、廊下を進んでいった。そしてスキップでもしそうな程ご機嫌なリーブラに手を引かれ、鍛錬場へと向かう。
「さぁて、マロン。そういう事情なら、僕も張り切っちゃうよ?」
鍛錬場に着きお互い向かい合うと、リーブラはそこでふわっとした柔らかい雰囲気からピンと張り詰めた殺気へと変える。
そしてお互いどこからともなく武器、リーブラは彼の背丈程ある大鎌を、私はお馴染みの双剣を取り出す。
「じゃあまずは、マロンさんのお手並み拝見と行きましょうかね?」
リーブラがニヤリと不敵に笑った瞬間、それまでとは違う重い殺気がブワリと広がる。それを真正面から浴び、私は柄にもなく冷や汗を垂らしてしまう。この私が、だ。
あれ、もしかして今まで十二星座の皆って……結構手加減してくれてたん?
そう思い当たり、圧倒的強者に教授してもらえることに幸福と興奮を覚えたのだった。
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