111 / 122
二章
八・二
しおりを挟む
私の学校生活、序盤からハードモードでは? だなんて頭で考えながら、ナガミーレの返答も同時に考える。
「ええ、十二星座様方は学校にも行けなかった私に『属性魔法の適正があるなら学校に通わなければならない』という常識を教えてくだすったんですから! あの時拾ってもらったからこそ自分に三属性もあるだなんて知ることが出来たのです! 感謝してもしきれませんよ!」
明らかにアリーズの胡散臭さを意識した演技が入った物言いに、自分で言ってておかしくなってきてしまった。だ、駄目だ、笑いそう。このままだと腹筋が攣る。
「この時代に学校へ行けない環境なんてあるわけないだろう!?」
いやいや、それがあるんだなー。だなんて言ったら私の境遇を一から話さなければなくなるからね、口は閉ざすのが吉。
「あはは~、バレた?」
ということで、笑って誤魔化してゴリ押すことに決めた。穏便に済めばどうでもいいや、と投げやりになった、とも言う。
「こんのっ! 平民風情がこの僕に対してその態度を取っても良いと思っているのか! 次世代のポラリスになるこの僕なんだぞ!!」
おおっとぉ……? 聞き捨てならない言葉が聞こえてきたなあ? 君がポラリスになるって? そんな横柄なのに?
自分が罵られていることなんて頭からすっぽ抜け、ただひたすらにポラリス云々の部分に対して注目してしまう。
「僕は現代の全属性持ちの中でも最年少。伸び代は一番と言っていいだろう! 他の二人に負ける想像すらできないね!」
ナガミーレは随分自信満々に宣言した。その自信を見るに、さぞ苦しい鍛錬を積んできたのだろう。……昨日の剣術の授業で私にあっさり負けていたけど。
ポラリスは剣術よりも魔法の扱いの方に重きを置いているのかもしれないね。うん、そうだ。きっとそうに違いない。
そう言って自分を無理やり納得させる。自分の心の中に湧いてきたモヤモヤには気がつかないフリをして。
さて時間はゆっくり進み、昼休みというものの時間になった。
どうやらこの学園にも、お昼ご飯という概念が存在するらしい。城独自の決まり事だと思っていた私はそれに衝撃を受けたんだよなあ。入学式の次の日の出来事だったからまだその衝撃は記憶に新しい。
と、そこで話が本筋に戻るのだが、自分のクラスには友達がいない。クラスの中心がナガミーレだからだ。ということでお昼ぼっちを回避するためにも魔法学の授業で出会って仲良くなったルッツの所に逃げようと思う。
「ルッツー、いるー?」
「ここだよー」
1-3に向かうとルッツはヒラヒラと手を振って場所を教えてくれる。今日もほんわか癒しのオーラがルッツから醸し出されている。
「遠かったでしょう? 四クラス分離れてるし……。僕の方からそっちに行こうか?」
そして癒しオーラだけではなく、気遣いも完璧ときた。私も見習わなければ、と思わせてくれる御仁だね。
「いや、全然! クラスにいても居心地悪いし、むしろこっちに来ることで避難してきているって感じだから! 気にしないで!」
そう、このクラスでだけは私も息が出来る気がするのだ。それ以外の時に向けられる侮蔑の目が向けられない、というか……。すごく不思議なのだ。
「ええ、十二星座様方は学校にも行けなかった私に『属性魔法の適正があるなら学校に通わなければならない』という常識を教えてくだすったんですから! あの時拾ってもらったからこそ自分に三属性もあるだなんて知ることが出来たのです! 感謝してもしきれませんよ!」
明らかにアリーズの胡散臭さを意識した演技が入った物言いに、自分で言ってておかしくなってきてしまった。だ、駄目だ、笑いそう。このままだと腹筋が攣る。
「この時代に学校へ行けない環境なんてあるわけないだろう!?」
いやいや、それがあるんだなー。だなんて言ったら私の境遇を一から話さなければなくなるからね、口は閉ざすのが吉。
「あはは~、バレた?」
ということで、笑って誤魔化してゴリ押すことに決めた。穏便に済めばどうでもいいや、と投げやりになった、とも言う。
「こんのっ! 平民風情がこの僕に対してその態度を取っても良いと思っているのか! 次世代のポラリスになるこの僕なんだぞ!!」
おおっとぉ……? 聞き捨てならない言葉が聞こえてきたなあ? 君がポラリスになるって? そんな横柄なのに?
自分が罵られていることなんて頭からすっぽ抜け、ただひたすらにポラリス云々の部分に対して注目してしまう。
「僕は現代の全属性持ちの中でも最年少。伸び代は一番と言っていいだろう! 他の二人に負ける想像すらできないね!」
ナガミーレは随分自信満々に宣言した。その自信を見るに、さぞ苦しい鍛錬を積んできたのだろう。……昨日の剣術の授業で私にあっさり負けていたけど。
ポラリスは剣術よりも魔法の扱いの方に重きを置いているのかもしれないね。うん、そうだ。きっとそうに違いない。
そう言って自分を無理やり納得させる。自分の心の中に湧いてきたモヤモヤには気がつかないフリをして。
さて時間はゆっくり進み、昼休みというものの時間になった。
どうやらこの学園にも、お昼ご飯という概念が存在するらしい。城独自の決まり事だと思っていた私はそれに衝撃を受けたんだよなあ。入学式の次の日の出来事だったからまだその衝撃は記憶に新しい。
と、そこで話が本筋に戻るのだが、自分のクラスには友達がいない。クラスの中心がナガミーレだからだ。ということでお昼ぼっちを回避するためにも魔法学の授業で出会って仲良くなったルッツの所に逃げようと思う。
「ルッツー、いるー?」
「ここだよー」
1-3に向かうとルッツはヒラヒラと手を振って場所を教えてくれる。今日もほんわか癒しのオーラがルッツから醸し出されている。
「遠かったでしょう? 四クラス分離れてるし……。僕の方からそっちに行こうか?」
そして癒しオーラだけではなく、気遣いも完璧ときた。私も見習わなければ、と思わせてくれる御仁だね。
「いや、全然! クラスにいても居心地悪いし、むしろこっちに来ることで避難してきているって感じだから! 気にしないで!」
そう、このクラスでだけは私も息が出来る気がするのだ。それ以外の時に向けられる侮蔑の目が向けられない、というか……。すごく不思議なのだ。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる