××の十二星座

君影 ルナ

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二章

三・二

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「これで入学式を終わります。各自、自分のクラスに向かってください。」

 式の進行役がそう言った所で、至る所から緊張の解けたため息が聞こえた。

 はて、そんなに緊張するものだったかね? と私は内心首を傾げるが、それを聞けるような親しい人もいない。

 確かにずっと座っていたのには疲れを感じたような気がしたが、その程度だ。

 人の波に流され、クラスとやらに辿り着く。1ー7と書かれたプレートを潜り、その中にある椅子の一つに座る。




 一番後ろから眺める教室。同年代の人間達の平和ボケした表情や会話に、私は何故か居心地悪い気持ちになってしまった。何故だろう。

「ほら、席に着けよー。出席取るぞー。」

 と、ここで大人が教室に入ってきた。確か学校にいる大人は先生、と言うのだったか。サジタリアスに教わったそれを思い出しながら、先生の話に耳を傾ける。

「まずは自己紹介しよう。私はこのクラスの担任、ナツリッパ・アクリル。担当教科は魔法学だ。よろしくなー。」

 この先生は魔法学が担当、か。私って三属性持っているし、この先生に聞けばもっと魔法も上達するのかな。そう考えてワクワクする気持ちが湧き上がる。

「じゃあ窓側の人から自己紹介していこうかー。」

 そう言い放った先生。その号令に従って一人ずつそれを始めた。










「ええと、私はマロンです。……好きな食べ物はクロワッサンです。」

 他の人の自己紹介を参考に、そう名乗ってみる。これで問題は無いだろうか、と不安になったが、どうやら大丈夫だったようだ。何も疑問に思われることなく次の人へと自己紹介の波は移ろいゆく。











 あれから何も起こらず平々凡々に時は過ぎていった。身構えていた分肩透かしを喰らったような気分になったが、これが『普通』というやつなのだろう、と無理やり自分を納得させた。

 そして時が過ぎ放課後とやらになり、私は校内探検にでも行こうかと席を立とうとした。すると近くに座っていた男子生徒がニヤニヤと私の嫌いな笑顔を貼り付けて話しかけてきた。

「君、どこの生まれだい?」

「どこ……? 島国。」

「ああ、そういうことじゃあないんだ。どこの家の子息かと聞いているんだよ。パーティーとかで一度も君を見かけたことが無かったから気になって。あ、僕は由緒正しきナガミーレ家の三男だよ。」

 自分の生まれに大層自信がおありのようで、誰かは知らないがフフンと鼻息荒く自慢(?)してきた。

 はっきり言っていいなら面倒臭いな、というのが第一感想だ。が、ここでは波風立てないことも大事(だと勝手に私が思っている)のだから……

 さて、どうするかなぁ。
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