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一章
七十四
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ただの剣ではこの魔物を倒すことは不可能だ。それならどうする?
魔物から繰り出される攻撃を剣で躱し続けながら考える。
体力も回復したからか、頭の中はとてもクリアだ。色々な考えが巡る。
剣や魔法でボースハイトを切ることは出来る。しかし魔物には剣が効かない。だから……ん? 魔法?
そっか。私、魔法も一応使えたっけ。無意識のうちにボースハイトへと放っていたが、魔物に魔法を使ってはいけない規則なんてものは……聞いたことないな──聞き忘れたのではという疑問は聞かないことにする──。ならば……
ここは門の外とはいえ、植物も多量な場所。火は駄目だ。引火して火事になる。それなら土は……いけるか? いや、土属性はあまり使ってこなかったからまだまだ未熟。となるとやはり風、だろうか?
風なら無意識のうちに使っていたし、パイシーズにも少し教わった。それを応用して……
風属性を使って風の刃を作り出す。それを魔物へ向けて放つ。
『ギャァース!』
魔物の悲鳴が辺り一面に轟く。
ふむ、ただの剣より魔法の方が威力は強いようだ。実際急所である首に少しだけ傷が出来ていたところを見てそう判断する。まあ、かすり傷程度、ではあるが。しかし魔法ですらも仕留めることは出来ないらしい。
それならどうする? 私はとにかく考える。最適解を求めて。
ただの双剣──といっても切れ味は抜群のやつ──でさえ傷一つつけられない。それなら私がいつも(隠し)持っている刃物でも仕留めることはで出来ないだろう。それなら……
何か、何か策があれば。この状況を打破する何かが。
防戦一方の状況を打破する一手を……!
『小生は魔法しか扱えませんでしたが、サジタリアスは武器も魔法も扱えます。ですのでそれらを組み合わせて戦ったりもされるそうですよ。』
ウンウン唸っていると、今日訓練してくれたパイシーズがポツリと呟いていた言葉をふと思い出す。組み合わせる……組み合わせる……
魔法に剣を……いや、逆か。剣に魔法を……
(やってみるしかないね!)
パイシーズありがとう! と心の中で感謝し、私の双剣に風魔法を纏わせるイメージをする。……あ、ちょっと難しいかも。上手くいかない。眉間に皺が寄る。
ぶっつけ本番でどうにかなるかは分からないが、しかし少しでも打破出来る道があるのなら今試さないでいつ試す! 魔物の攻撃をいなし、出来た隙を狙って走り出す。
その間に双剣に先程放った風魔法、風の刃をなんとか纏わせて切れ味を増し増しにさせる。
そして魔物の首を狙って双剣を振り下ろす──
『ギャァー……』
そんな叫び声を上げた魔物は、その後ゴロンと頭を落とす。首、切れた……
そう安堵する間に、息絶えた魔物とその周りに漂っていたボースハイトはサラサラと灰のように溶けていった。
魔物の最期は誰かに殺意を持たれながら孤独に死んでいく。そんな惨たらしくて苦しい現実を目の当たりにしたのを最後に、世界は暗転したのだった。
魔物から繰り出される攻撃を剣で躱し続けながら考える。
体力も回復したからか、頭の中はとてもクリアだ。色々な考えが巡る。
剣や魔法でボースハイトを切ることは出来る。しかし魔物には剣が効かない。だから……ん? 魔法?
そっか。私、魔法も一応使えたっけ。無意識のうちにボースハイトへと放っていたが、魔物に魔法を使ってはいけない規則なんてものは……聞いたことないな──聞き忘れたのではという疑問は聞かないことにする──。ならば……
ここは門の外とはいえ、植物も多量な場所。火は駄目だ。引火して火事になる。それなら土は……いけるか? いや、土属性はあまり使ってこなかったからまだまだ未熟。となるとやはり風、だろうか?
風なら無意識のうちに使っていたし、パイシーズにも少し教わった。それを応用して……
風属性を使って風の刃を作り出す。それを魔物へ向けて放つ。
『ギャァース!』
魔物の悲鳴が辺り一面に轟く。
ふむ、ただの剣より魔法の方が威力は強いようだ。実際急所である首に少しだけ傷が出来ていたところを見てそう判断する。まあ、かすり傷程度、ではあるが。しかし魔法ですらも仕留めることは出来ないらしい。
それならどうする? 私はとにかく考える。最適解を求めて。
ただの双剣──といっても切れ味は抜群のやつ──でさえ傷一つつけられない。それなら私がいつも(隠し)持っている刃物でも仕留めることはで出来ないだろう。それなら……
何か、何か策があれば。この状況を打破する何かが。
防戦一方の状況を打破する一手を……!
『小生は魔法しか扱えませんでしたが、サジタリアスは武器も魔法も扱えます。ですのでそれらを組み合わせて戦ったりもされるそうですよ。』
ウンウン唸っていると、今日訓練してくれたパイシーズがポツリと呟いていた言葉をふと思い出す。組み合わせる……組み合わせる……
魔法に剣を……いや、逆か。剣に魔法を……
(やってみるしかないね!)
パイシーズありがとう! と心の中で感謝し、私の双剣に風魔法を纏わせるイメージをする。……あ、ちょっと難しいかも。上手くいかない。眉間に皺が寄る。
ぶっつけ本番でどうにかなるかは分からないが、しかし少しでも打破出来る道があるのなら今試さないでいつ試す! 魔物の攻撃をいなし、出来た隙を狙って走り出す。
その間に双剣に先程放った風魔法、風の刃をなんとか纏わせて切れ味を増し増しにさせる。
そして魔物の首を狙って双剣を振り下ろす──
『ギャァー……』
そんな叫び声を上げた魔物は、その後ゴロンと頭を落とす。首、切れた……
そう安堵する間に、息絶えた魔物とその周りに漂っていたボースハイトはサラサラと灰のように溶けていった。
魔物の最期は誰かに殺意を持たれながら孤独に死んでいく。そんな惨たらしくて苦しい現実を目の当たりにしたのを最後に、世界は暗転したのだった。
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