63 / 122
一章
五十
しおりを挟む
私はその場で双剣をブンブン振り回してみる。ふむふむ、成る程。
「ええと……ダン、サン?」
「……あ?」
「これ、もう少し軽いと尚良いなー……って、これ、ワガママかな?」
流石にワガママだよね。そう自覚して私は頬を掻きながらハハ、と自嘲の笑みを浮かべる。
いやー、ちょっとこの剣、振り回すには重くてね。私が非力なだけなんだけれども。鍛錬すればいい話かなー。
「……あ、いや、うん。ええと、そうだな。分かった。もう少し軽量化してみよう。」
あ、良いんだ。
「ありがとうゴザマス。」
「いや、いい。自分の作りたい武器を作るだけではこの商売はなかなか成り立たないからな、使用者の希望もある程度までは聞くことにしているんだ。」
「そうなんだ。じゃあそれだけお願いするね。」
「分かった。」
はい、とダンサンに剣を渡し、手持ち無沙汰になった私はぐるりと辺りを見回すことにした。ああ、あっちにサジタリアスとアリーズがいるんだー。今気が付いたー。
「マロン、他にも希望はあるか?」
「ううん。ない。」
切れ味は問題なさそうなので、軽量化だけを希望する。さっき自分の指を切ってみたんだけど、思った以上にスッと切れたからね。これなら充分だよ。
「そうすると完成まで日にちを貰うことになるが、良いか?」
「あー……アリーズ!」
「良いよ。」
どうかな? と聞く間も無く返事が返ってくる。どうやら私達の話を聞いていたらしい。
「分かった。じゃあ完成したら城に届ける、で良いか?」
「うん。あ、それならさ……」
アリーズがダンサンを連れてどこかへ行った。何か内緒話でもするつもりなのだろうか。分からん。
「おい、マロン。」
「ん?」
サジタリアスがいつ近くに来たのか、この私が分からなかった。さすが十二星座ということか。少し驚いた私に反してサジタリアスはギュッと眉間に皺を寄せる。
「手、出せ。指切れてる。」
「うん? 知ってるけど?」
だって自分で切ったし。この話の終着点はどこだろうと首を捻ると、サジタリアスは呆れた表情を浮かべた。
「はぁ……早くその手を出せ。治してやる。」
「え、いいよ別に。舐めときゃ治るって。」
「阿保か。いいから出せ。」
「えー……でも~……」
「……」
私がモタモタうだうだしているとサジタリアスに睨まれた。先に折れたのはもちろん……
「ええと……ダン、サン?」
「……あ?」
「これ、もう少し軽いと尚良いなー……って、これ、ワガママかな?」
流石にワガママだよね。そう自覚して私は頬を掻きながらハハ、と自嘲の笑みを浮かべる。
いやー、ちょっとこの剣、振り回すには重くてね。私が非力なだけなんだけれども。鍛錬すればいい話かなー。
「……あ、いや、うん。ええと、そうだな。分かった。もう少し軽量化してみよう。」
あ、良いんだ。
「ありがとうゴザマス。」
「いや、いい。自分の作りたい武器を作るだけではこの商売はなかなか成り立たないからな、使用者の希望もある程度までは聞くことにしているんだ。」
「そうなんだ。じゃあそれだけお願いするね。」
「分かった。」
はい、とダンサンに剣を渡し、手持ち無沙汰になった私はぐるりと辺りを見回すことにした。ああ、あっちにサジタリアスとアリーズがいるんだー。今気が付いたー。
「マロン、他にも希望はあるか?」
「ううん。ない。」
切れ味は問題なさそうなので、軽量化だけを希望する。さっき自分の指を切ってみたんだけど、思った以上にスッと切れたからね。これなら充分だよ。
「そうすると完成まで日にちを貰うことになるが、良いか?」
「あー……アリーズ!」
「良いよ。」
どうかな? と聞く間も無く返事が返ってくる。どうやら私達の話を聞いていたらしい。
「分かった。じゃあ完成したら城に届ける、で良いか?」
「うん。あ、それならさ……」
アリーズがダンサンを連れてどこかへ行った。何か内緒話でもするつもりなのだろうか。分からん。
「おい、マロン。」
「ん?」
サジタリアスがいつ近くに来たのか、この私が分からなかった。さすが十二星座ということか。少し驚いた私に反してサジタリアスはギュッと眉間に皺を寄せる。
「手、出せ。指切れてる。」
「うん? 知ってるけど?」
だって自分で切ったし。この話の終着点はどこだろうと首を捻ると、サジタリアスは呆れた表情を浮かべた。
「はぁ……早くその手を出せ。治してやる。」
「え、いいよ別に。舐めときゃ治るって。」
「阿保か。いいから出せ。」
「えー……でも~……」
「……」
私がモタモタうだうだしているとサジタリアスに睨まれた。先に折れたのはもちろん……
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
義妹が私に毒を盛ったので、飲んだふりをして周りの反応を見て見る事にしました
新野乃花(大舟)
恋愛
義姉であるラナーと義妹であるレベッカは、ラナーの婚約者であるロッドを隔ててぎくしゃくとした関係にあった。というのも、義妹であるレベッカが一方的にラナーの事を敵対視し、関係を悪化させていたのだ。ある日、ラナーの事が気に入らないレベッカは、ラナーに渡すワインの中にちょっとした仕掛けを施した…。その結果、2人を巻き込む関係は思わぬ方向に進んでいくこととなるのだった…。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる