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一章
四十八
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街に出ようとはアリーズの提案。その提案自体は嬉しいものだけれども、何か企んでいる笑顔でそう言われると、なんか、その……怖いかな。
そもそもアリーズは初対面で銃口を突きつけてきた人物だし。あれ実は内心ヒヤヒヤだったよね。いつ撃たれるんだろうって。怖かったなぁ……
そんなアリーズが提案したことだ。何か裏があるのだろうことはすぐ分かった。
だから街に出ようと言われて手放しに喜べなかったのだが。
「はいはい、ほらほら、早く早く。」
アリーズは私とサジタリアスの襟を掴んで引きずりながら城を出ようとしていた。
「なっ、アリーズ! 自分は行かないと何度言えばっ」
「はーい、聞こえませーん。」
ズルズル、ズルズル、私とサジタリアスはアリーズに引きずられたまま街に出ることになった。
しばらくしてなんとか掴まれた襟を離してもらい、三人並んで歩く。
「アリーズ、このままの服装で出てきたということは……武器屋辺りが目的か?」
「まあね。」
そういえば二人は所謂黒い……軍服? みたいな服装だった。これが十二星座の正装か何かなのだろうか。……多分そうだな。周りの反応からしてそうだろうことは何となく察せられた。
アリーズもサジタリアスも同じような軍服を着ていて、見えるところにそれぞれ違うマークが付いている。そしてアリーズはその上に分厚そうなコートを肩に掛け、サジタリアスは左手側の肩ににマントのようなものを付けている。
「それなら自分もついでに細やかなメンテナンスを頼みに行くか。」
「我輩もちょうど銃弾補充したかったから一石二鳥かな。……っと、着いたよ。」
そこは……なんというか、その……小汚……ゲフンゲフン、古めかしい風貌のお店だった。この二人は武器屋と言っていたが……?
よく分からないまま取り敢えず二人に倣ってその武器屋へと入る。ギィィ、と木の軋む音を立てて開いた扉。その奥に広がる店内は本当にお店かと思う程重苦しい雰囲気を醸し出していた。
「誰だ……って、お前らか。」
ヌッと店の奥から出てきたのは、筋骨隆々で至る所に傷を持つおじさんだった。どうやら二人と知り合いのようだ……?
「やあ、ダン。元気かい?」
「ふん、お前か。もうアリーズサマと呼んだ方が良いか?」
「お好きにどうぞ。」
「……で、今日は何の用だ?」
「ああ、この子に合う武器があれば見繕ってくれないかい?」
ポン、とアリーズに背中を押され、ダンと呼ばれた人の目の前に立たされた。ダンと呼ばれる人物はじろりじろりと私を上から下まで睨みつけるように観察し、ふんと鼻で笑った。
「お前らと一緒に行動しているってことは、もしかしてポラリス候補か?」
「さあ? どうだろうね?」
「はっ、またアリーズサマお得意のすっとぼけか。気に食わんな。」
「まあ、どうでも良いだろう? 早くこの子に見合った武器を……」
「はいはい、分かった分かった。じゃあお前、こっち来い。」
「はーい。」
ダンと呼ばれる人物に手招きされ、店の奥まで進む。
そもそもアリーズは初対面で銃口を突きつけてきた人物だし。あれ実は内心ヒヤヒヤだったよね。いつ撃たれるんだろうって。怖かったなぁ……
そんなアリーズが提案したことだ。何か裏があるのだろうことはすぐ分かった。
だから街に出ようと言われて手放しに喜べなかったのだが。
「はいはい、ほらほら、早く早く。」
アリーズは私とサジタリアスの襟を掴んで引きずりながら城を出ようとしていた。
「なっ、アリーズ! 自分は行かないと何度言えばっ」
「はーい、聞こえませーん。」
ズルズル、ズルズル、私とサジタリアスはアリーズに引きずられたまま街に出ることになった。
しばらくしてなんとか掴まれた襟を離してもらい、三人並んで歩く。
「アリーズ、このままの服装で出てきたということは……武器屋辺りが目的か?」
「まあね。」
そういえば二人は所謂黒い……軍服? みたいな服装だった。これが十二星座の正装か何かなのだろうか。……多分そうだな。周りの反応からしてそうだろうことは何となく察せられた。
アリーズもサジタリアスも同じような軍服を着ていて、見えるところにそれぞれ違うマークが付いている。そしてアリーズはその上に分厚そうなコートを肩に掛け、サジタリアスは左手側の肩ににマントのようなものを付けている。
「それなら自分もついでに細やかなメンテナンスを頼みに行くか。」
「我輩もちょうど銃弾補充したかったから一石二鳥かな。……っと、着いたよ。」
そこは……なんというか、その……小汚……ゲフンゲフン、古めかしい風貌のお店だった。この二人は武器屋と言っていたが……?
よく分からないまま取り敢えず二人に倣ってその武器屋へと入る。ギィィ、と木の軋む音を立てて開いた扉。その奥に広がる店内は本当にお店かと思う程重苦しい雰囲気を醸し出していた。
「誰だ……って、お前らか。」
ヌッと店の奥から出てきたのは、筋骨隆々で至る所に傷を持つおじさんだった。どうやら二人と知り合いのようだ……?
「やあ、ダン。元気かい?」
「ふん、お前か。もうアリーズサマと呼んだ方が良いか?」
「お好きにどうぞ。」
「……で、今日は何の用だ?」
「ああ、この子に合う武器があれば見繕ってくれないかい?」
ポン、とアリーズに背中を押され、ダンと呼ばれた人の目の前に立たされた。ダンと呼ばれる人物はじろりじろりと私を上から下まで睨みつけるように観察し、ふんと鼻で笑った。
「お前らと一緒に行動しているってことは、もしかしてポラリス候補か?」
「さあ? どうだろうね?」
「はっ、またアリーズサマお得意のすっとぼけか。気に食わんな。」
「まあ、どうでも良いだろう? 早くこの子に見合った武器を……」
「はいはい、分かった分かった。じゃあお前、こっち来い。」
「はーい。」
ダンと呼ばれる人物に手招きされ、店の奥まで進む。
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