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一章
四十三 サジタリアス
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自分はそこまでくじ運は悪くないと思っていたのだが、今回アリーズが書いた『はずれ』を引いてしまった。まあ、カプリコーンは当たりだと言っていたが。
しかし今回のくじ、誰かの意図を感じる。まあ、そんなことをするのはアリーズくらいだろうが。
さて、自分にどうしろと言うのだ。分からないが何かしら意図はあるのだろうな。まあ、それはいつかは分かるか、と楽観視することにした。なんとなくこんな理由だろうという見当はついているが。
会議室の自席と隣席にそれぞれ座り、さて勉強を始めようとしたのだが……
「じゃあマロン。今日から勉強を始める、のだが……それで文字は見えるのか?」
「え、あ、あぁー……見えてない。どうしよう。」
マロンは常に目を閉じている。そもそも目を開けていても見えるのかどうか……
「あー……サジタリアス。あのー……なんだろう、左目を隠すものってない?」
「というと?」
「あのー……私左目の視力が弱くてね、いちいち左目を隠してぎゅっと見るの疲れるんだよ。だから最初から隠していたくて。何かない?」
「ふむ、そういうことなら……眼帯、とかどうだ?」
「眼帯?」
「そうだ。それならアクエリアスが持っていそうだ。城から出られる前にアクエリアスの所に行って眼帯を貰って来い。勉強はその後始める。」
アクエリアスはポラリス候補探しに出るだろうからな。早いうちに行かないと、アクエリアスのことだ。さっさと城を出てしまうだろう。
「わ、分かった! すぐ行ってくる!」
ガタッと椅子から勢いよく立ち上がるマロン。あ、待てよ……
「アクエリアスの部屋、分かるか?」
「あ……分かんないや。」
だろうな。はぁ……面倒くさいが仕方ないか。
「……はぁ、仕方ない。自分も付いて行く。」
「サジタリアスごめんねぇ……何から何まで……」
とても申し訳なさそうに謝るマロン。そんなに萎縮しなくてもいいのにな。
「知っているのに忘れたのなら一人で行けと放り出すが、元々知らないのに一人で行けなどただの鬼畜だろう。」
「あはは、まあ、うん……ありがと。」
「ふん。早く行くぞ。」
「はーい。」
お礼を言われてむず痒くなったのには気づかないフリをして、マロンと共にアクエリアスの部屋まで向かう。
しかし今回のくじ、誰かの意図を感じる。まあ、そんなことをするのはアリーズくらいだろうが。
さて、自分にどうしろと言うのだ。分からないが何かしら意図はあるのだろうな。まあ、それはいつかは分かるか、と楽観視することにした。なんとなくこんな理由だろうという見当はついているが。
会議室の自席と隣席にそれぞれ座り、さて勉強を始めようとしたのだが……
「じゃあマロン。今日から勉強を始める、のだが……それで文字は見えるのか?」
「え、あ、あぁー……見えてない。どうしよう。」
マロンは常に目を閉じている。そもそも目を開けていても見えるのかどうか……
「あー……サジタリアス。あのー……なんだろう、左目を隠すものってない?」
「というと?」
「あのー……私左目の視力が弱くてね、いちいち左目を隠してぎゅっと見るの疲れるんだよ。だから最初から隠していたくて。何かない?」
「ふむ、そういうことなら……眼帯、とかどうだ?」
「眼帯?」
「そうだ。それならアクエリアスが持っていそうだ。城から出られる前にアクエリアスの所に行って眼帯を貰って来い。勉強はその後始める。」
アクエリアスはポラリス候補探しに出るだろうからな。早いうちに行かないと、アクエリアスのことだ。さっさと城を出てしまうだろう。
「わ、分かった! すぐ行ってくる!」
ガタッと椅子から勢いよく立ち上がるマロン。あ、待てよ……
「アクエリアスの部屋、分かるか?」
「あ……分かんないや。」
だろうな。はぁ……面倒くさいが仕方ないか。
「……はぁ、仕方ない。自分も付いて行く。」
「サジタリアスごめんねぇ……何から何まで……」
とても申し訳なさそうに謝るマロン。そんなに萎縮しなくてもいいのにな。
「知っているのに忘れたのなら一人で行けと放り出すが、元々知らないのに一人で行けなどただの鬼畜だろう。」
「あはは、まあ、うん……ありがと。」
「ふん。早く行くぞ。」
「はーい。」
お礼を言われてむず痒くなったのには気づかないフリをして、マロンと共にアクエリアスの部屋まで向かう。
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