××の十二星座

君影 ルナ

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一章

四十一 アリーズ

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「……ってことで、私は両親を殺した。」

 ふむ。マロンとやらが話すその言葉達は、客観的な物語なのだろうか。事実だけを淡々と伝えたつもりなのだろうか。

 ……いや、そうではなさそうだ。マロンの主観的な目線での話であろうことは、その表情を見てなんとなく理解した。

「そうか。しかしその後はどうやって生きていたんだ? 学校に通う余裕も無かったのか?」
「あー、ええと……その後すぐ島国の領主に拾われて……ずっと掃除してた。学校には通わずに。」

「そうか。……領主は何も言わなかったのか?属性魔法を持たなくても学校に通うのは義務なのだが。」
「あー……ええとー……何も言われなかったかなー……」

 ふむ、これはマロンとやらの責任というより、どちらかといえばマロンとやらの父母やマロンとやらを拾った領主側に責任がありそうだ。

「分かった。」

 そういうことなら、我輩ら世界のトップがどうにかせねばならない問題だ。まだ先代のトップがこの世界を仕切っているとは言え、我輩らも直にこの世界を治める人となる。故に国民を守ることは義務である。

 しかし今から小学校に通うにしても、マロンとやらは年齢的にも周りから浮きそうだからなぁ……

 カチカチカチと頭を働かせてこれからの動き方を決めていく。……よし。

「じゃあこれからの動き方の意見を我輩が出す。他に意見があれば発言してくれ。……では。まずは我輩ら十二星座は交代制でマロンの勉強を見る。魔法学校に通える程度の学力まで上げるのが目標だ。そして手の空いているメンバーでポラリス探しを出来る範囲で続行。で、どうかな?」

 意義ナーシ、と皆頷く。

「あ、そうだ。我輩はここで少し調べ物をしたいのだが……残っても良いだろうか。」
「あ、それならさ、この前までとは違う組み合わせで探しに行かない? 俺達まだまだお互い知らないことも多いだろうし。」

 カプリコーンが新たに意見を出してくれる。成る程、その考えがあったか。三人寄れば文殊の知恵、とかいうやつを改めて実感する。

「では小生が籤を作りましょうか。そして引いた番号と同じ人と組む、というのはいかがでしょう。」
「それならぼくもくじ作るの手伝うっ!」
「鋏で切るのはボクに任せてよ。得意分野だもの。」
「あ、あたくしも手伝ってあげなくもないわ。」
「使ったくじは俺様が爆弾で破壊してやろう!」
「リオ、城を壊さない程度にしておけよ。破壊しても我も誰も責任は取らないからな。」

 マロンの話を聞いている間はしんみりしていたこの空間も、一気にわちゃわちゃと楽しそうな雰囲気へと様変わりした。

 マロンの境遇に我輩も同情したようなものだが、世界のトップたるもの国民のために働かなくては。

 その意識をもう一度強く持つ。
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