××の十二星座

君影 ルナ

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一章

三十七

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 ほー、私って三属性も持ってたのかー。凄くない?

 だって今まで私には魔力なんて崇高なものは持ち得ないと思っていた。それなのに風属性を無意識のうちに使っていて、鑑定したら火と土も持ってるってんだから。

 これなら街に出ても職に困らないかもしれない! それって素晴らしい!

 そんな風に未来に想いを馳せているうちに城に戻り、会議室? とか言う場所に来たわけなのだが。しかし期待に満ち溢れている私とは相反して、葬式かと思われる程部屋の空気が重苦しかった。

 何故? ……ああ、私が探し人では無かったからか。この世界のトップになり得る人物、ポラリス。うーん、何故こんなちんちくりんで無知な私が選ばれかけたんだろうね。分からないや。

「マロン、これからどうするの?」
「うーん、そうだなぁ……。とりあえず街に降りて働き口を探すよ。」

 私に出来る仕事はあるだろうか。分からない。だが、さっさと宿代を払ってスッキリしたい気持ちなのだ。

「でもマロン、あなたは文字も書けないのでしょう? その状態では碌な仕事なんてありゃしないわよ?」
「うっ……」

 アクエリアスの一撃ことばが私をグッサリと刺す。

 確かにアクエリアスの言葉にも一理ある。しかしそれならどうすればいいって言うんだ。無一文の私にタダで文字を教えてくれる人などいるはずもないのだから!

 ……成る程、これが八方塞がりとか言うやつか。どうしよう!

 ならば、と良案が無いか考えてみるが、まあ、この頭ではなかなか上手くいかない。

「ねー、じゃあぼくと一緒に小学校行く? ぼくはまだ小学校に通っててもおかしくない年齢だし?(……まあ、ぼくはもう既に中学校卒業程度までは学び終えてるけど)」

 ジェミニが妙案を出してくれる。成る程その手があったか! 知り合いがいるなら学校とやらにも通いやすいかもしれない!

「じ、ジェミニ……今更小学校に行ってどうするの?」
「え、えっとぉ……と、ととと友達と交流、とか?」

 ヴァーゴの質問に吃るジェミニ。あ、あれ?ヴァーゴはと言った……? ちょっと何言ってるか分からないので黙ってやり取りを見守る。

「ジェミニ。お前はまだ小さいが十二星座に選ばれた。だから厳しいことも言わせてもらう。自分達はその強さ故に、学校などに行っても同等に扱ってくれる人はそうそう居ないぞ。」
「でもマロンはっ……!」
「こいつは論外だ。常識のしの字も無いから自分達に畏怖も憧れもしないのだろう。」
「っ……!」

 あれれー? サジタリアスに貶されているような気がするのは気のせいかな?

「まあ、畏怖も憧れもしないからこそ自分らはマロンにポラリスとなってもらいたかったのだが……」

 今はジェミニの話だったはずなのにサジタリアスが話を戻してしまい、また部屋の空気がずぅんと重苦しくなった。いや、これ私にどうしろと? 何もしなくていいかな?
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