××の十二星座

君影 ルナ

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一章

三十二 トーラス

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「あ、そうそう、マロンなら今皆とお昼ご飯を食べている所かな?」
「あら、カプリコーンちゃんは一緒に食べないの?」

 そう教えてくれたカプリコーンちゃんは楽しそうだった。だからこそ一緒にご飯を食べずに一人でここにいたことに疑問を持つのもおかしくはないでしょ?

「ああ、それは二人が帰ってきた時に今の状況を説明出来る人がいないといけないかなって思って。だから交代交代でここで待っていたのさ。」
「そう。じゃあアタシ達も早速その……マロン? って子の所に行きましょ?」
「そうしよう。良いかい? アリーズ。」
「……あ、ああ。うん。我輩はどちらでも。」

 一拍遅れて返事をするアリーズちゃん。アリーズちゃんはいつものように考え込んでいるわね。今代の十二星座の中でも頭脳派だからかしら?

 まあ、アタシ達には向かないことだものね、適材適所でやれることをやるしかないわよね。ちなみにアタシなら力仕事が向いているのよ。

「じゃあ食堂に行く道すがら、事の経緯を話そうか。」

 カプリコーンちゃんのその提案に乗って取り敢えず会議室を出ることにした。





「成る程ねぇ~。学園にすら通えなかったとなると……ええと、どんな事情があるのかしら……?」
「そこはまだ詳しく聞けてなくてね。」

 なかなか大きな事情がありそうね、そのポラリス候補って子は。そんな子が偶然見つかるのも何かの縁かしら?

 そんな風に考えている間に食堂に着いた。

「あ、マロン。お昼ご飯食べてる?」
「うん。グラタンって美味しいんだね!」

 そこにいたのは目の細い少年だったわ。少年……マロンはもぐもぐとグラタンを食べていた。あら、なかなか可愛い子じゃない?

「最後の二人が戻ってきたから紹介するよ。アリーズとトーラスだよ。」
「我輩はアリーズだよ。」
「我がトーラスだ。」

 あ、今アタシと別人が出てきたと思った? そんなこと無いのよ。

 ただ、この見た目(二メートル越えの筋肉質な男)で可愛く振舞ってもなかなか理解されることが無くてね。基本十二星座の皆以外には乙女な姿を見せてないってわけ。だからアタシ、表向きは『我』なんて格好つけて言っちゃってるのよ!

「あ、えーと、マロンデス。」

 あら、マロンちゃん片言だわね。やっぱり『我』っていう一人称が威圧感あるからなのかしら~?
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