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一章
二十九
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ヴァーゴは言葉を詰まらせる。何があったのだろうか。見当もつかないな。
「き、キャンサーとジェミニの組も帰ってきたんだけど……」
「あ、そこにいるのがポラリス候補?」
「ひっ!」
第三者の声が聞こえてきた。どうやらスコーピオサンとリーブラサンの他に新しく二人こちらに向かってきたようだった。しかしヴァーゴは何故そこまで怯えているのだろうか。
もしかして敵? ……いや、殺気は全くと言っていい程に感じられないから違うだろう。
それなら……
「ポラリス候補、名前を教えてくれる? ボクはキャンサー。」
「あ、えと、マロン……デス。」
「ああ、マロン! とても良い響きだ! このままボクのものにしてしまいたいくらいだ! 取り敢えずこの城から出られないように……ブツブツ……」
恍惚とした声でそう言い放つキャンサーサン。なんだろう、ちょっと圧みたいなものを感じる。それに段々声が小さくなって聞き取れなくなったが、私の身の危険を感じるような感じないような……
「キャンサー、少し落ち着きなさい。ワタシ達もまだあまりお話出来ていないのよ?」
「そうですよぅ、僕もマロンさんとお話したいです!」
スコーピオサンとリーブラサンが間に入ってくれたので、あの圧(?)から逃れられた。助かった。二人ともありがとう。
「ねー、ぼくも自己紹介させてよー。」
「ああ、ごめんなさいね。ジェミニも話しましょう?」
「うん! ポラリ……マロンさん、ぼくはジェミニ! よろしくね!」
「よ、よろしく……オネガイシマス? ジェミニサン。」
「マロンさん、ぼくにはタメで良いんだよ! だってぼくこの中で一番若いから!」
「分かった。ジェミニって呼ぶ。」
「うん!」
「あらジェミニ、若いだなんてワタシ達の前で言う?」
「若い若い若い若い若い若い若い若い若い!」
「いえ、スコーピオさんはまだまだ若々しいですよ?」
「なんかリーブラに言われても納得出来ないわね。」
「え?」
「……」
「……」
……なんかほのぼのわちゃわちゃしていて、私が紛れ込んではいけないような気がする。うん。取り敢えずこの会話に混ざらずに聞き役に徹する。
「マロン、朝ご飯食べた? ボクは軽く食べたけど。」
「え、あー……」
キャンサーにそう聞かれる。今日になってからは食べてはいないけど、そんなに頻繁に食べなくても良くない? とは私の持論である。
いや、ここに来るまでの間は毎日四食(そのうちの一つはおやつ、らしい)食べたけれども。何度も食べてもお腹が痛くなることは無かったけれども。
「ま、マロンは食べてないはずだよ。」
「そっかそっか。じゃあマロン、ボクと一緒に食堂に行こう?」
スルッと(多分)キャンサーに手を取られ、背中も軽く押される。その動作がリコ……カプリコーンみたいだ。知らぬ間に手を取られる感じがとても似ている。
「マロンが好きな食べ物を用意させようじゃないか!」
頭上から聞こえるキャンサーの声はとても楽しそうだった。
「き、キャンサーとジェミニの組も帰ってきたんだけど……」
「あ、そこにいるのがポラリス候補?」
「ひっ!」
第三者の声が聞こえてきた。どうやらスコーピオサンとリーブラサンの他に新しく二人こちらに向かってきたようだった。しかしヴァーゴは何故そこまで怯えているのだろうか。
もしかして敵? ……いや、殺気は全くと言っていい程に感じられないから違うだろう。
それなら……
「ポラリス候補、名前を教えてくれる? ボクはキャンサー。」
「あ、えと、マロン……デス。」
「ああ、マロン! とても良い響きだ! このままボクのものにしてしまいたいくらいだ! 取り敢えずこの城から出られないように……ブツブツ……」
恍惚とした声でそう言い放つキャンサーサン。なんだろう、ちょっと圧みたいなものを感じる。それに段々声が小さくなって聞き取れなくなったが、私の身の危険を感じるような感じないような……
「キャンサー、少し落ち着きなさい。ワタシ達もまだあまりお話出来ていないのよ?」
「そうですよぅ、僕もマロンさんとお話したいです!」
スコーピオサンとリーブラサンが間に入ってくれたので、あの圧(?)から逃れられた。助かった。二人ともありがとう。
「ねー、ぼくも自己紹介させてよー。」
「ああ、ごめんなさいね。ジェミニも話しましょう?」
「うん! ポラリ……マロンさん、ぼくはジェミニ! よろしくね!」
「よ、よろしく……オネガイシマス? ジェミニサン。」
「マロンさん、ぼくにはタメで良いんだよ! だってぼくこの中で一番若いから!」
「分かった。ジェミニって呼ぶ。」
「うん!」
「あらジェミニ、若いだなんてワタシ達の前で言う?」
「若い若い若い若い若い若い若い若い若い!」
「いえ、スコーピオさんはまだまだ若々しいですよ?」
「なんかリーブラに言われても納得出来ないわね。」
「え?」
「……」
「……」
……なんかほのぼのわちゃわちゃしていて、私が紛れ込んではいけないような気がする。うん。取り敢えずこの会話に混ざらずに聞き役に徹する。
「マロン、朝ご飯食べた? ボクは軽く食べたけど。」
「え、あー……」
キャンサーにそう聞かれる。今日になってからは食べてはいないけど、そんなに頻繁に食べなくても良くない? とは私の持論である。
いや、ここに来るまでの間は毎日四食(そのうちの一つはおやつ、らしい)食べたけれども。何度も食べてもお腹が痛くなることは無かったけれども。
「ま、マロンは食べてないはずだよ。」
「そっかそっか。じゃあマロン、ボクと一緒に食堂に行こう?」
スルッと(多分)キャンサーに手を取られ、背中も軽く押される。その動作がリコ……カプリコーンみたいだ。知らぬ間に手を取られる感じがとても似ている。
「マロンが好きな食べ物を用意させようじゃないか!」
頭上から聞こえるキャンサーの声はとても楽しそうだった。
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