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一章
二十四
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馬車移動三日目。いやー、馬車移動ってなかなか快適だよ。この三日でしみじみとそう感じた。
だってルグとリーも馬車に乗ったのにまだ少しの余裕がある程中が広いし、それに途中途中で休憩も入るし、ご飯はくろわっさん多めだし。
こんなにのんびりゆるゆるで良いのだろうか。幸せ故の不安に駆られてしまうのも仕方がないだろう。
「あ、そろそろ着くんじゃない?」
おもむろにリコは呟く。その時シャッと音が一緒に聞こえたので、きっとカーテンを開けて窓の外を眺めての発言なのだろうことは分かった。
「ようやっと馬車移動も終わるのね。良かったわ。暇だし体も固まるし……」
「小生は早く自室のベッドで眠りたいです。ここから離れている間、なかなか良い睡眠を取れていなかったのですから。」
「せ、拙は鍛錬場に早く行きたいな。」
「ふむ! 俺様は早く爆弾を作りたい!」
皆それぞれ家に帰ったらやりたいことを話す。私はそれを黙って聞いているだけでも楽しかった。
「皆、まずはマロンの属性鑑定が先じゃない?」
「それもそうね。探し人がマロンなのかどうか早くハッキリさせたいもの。」
「拙はきっとマロンさんがなると思っています。で、でもそうなったらマロンさんには勉強を死ぬ程頑張ってもらわないと……」
む、なんか不穏な空気を感じ取ったぞ。おどおどおっとりしたルグの発言とは思えない程のものだった。
「そうですね。そこは仕方ありません。小生らもサポート出来るように頑張りましょう。」
「それなら俺様はマロンに爆弾の作り方を教えてやろ」
「「「「それはやめて(ください)」」」」
なんだろう、この……コントのようなやり取りは。見ててすごく楽しいや。私は傍観を極める。
「と、取り敢えずまずは城に戻ろう。荷物も置いていきたいし。鑑定はそれからだね。」
「「「「賛成」」」」
……ん? 今ルグは城って言ったよね? 城って何? 待って待って、今から城に行くの? え、嘘でしょ?
「も、も、目的地に行くんじゃなかったの!?」
「確かに鑑定する場所が最終的な目的地ではあるけど、城も目的地の範疇だよ。それに俺達のホームを是非とも見て欲しいし?」
なんと! そんなことあるんだね!? ああ、でも確かにこの世界の一番上が暮らすとなると城になるのか! 成る程!
……そういえば具体的な場所を聞かずについて来てしまっていたことに今気がついた。私の危機管理能力低くない?
「さてさて、城に着いたみたいだ。」
そうリコが話を締めた時、ガタンと馬車が止まった。いよいよ城に入るらしい。ドキドキだ。
だってルグとリーも馬車に乗ったのにまだ少しの余裕がある程中が広いし、それに途中途中で休憩も入るし、ご飯はくろわっさん多めだし。
こんなにのんびりゆるゆるで良いのだろうか。幸せ故の不安に駆られてしまうのも仕方がないだろう。
「あ、そろそろ着くんじゃない?」
おもむろにリコは呟く。その時シャッと音が一緒に聞こえたので、きっとカーテンを開けて窓の外を眺めての発言なのだろうことは分かった。
「ようやっと馬車移動も終わるのね。良かったわ。暇だし体も固まるし……」
「小生は早く自室のベッドで眠りたいです。ここから離れている間、なかなか良い睡眠を取れていなかったのですから。」
「せ、拙は鍛錬場に早く行きたいな。」
「ふむ! 俺様は早く爆弾を作りたい!」
皆それぞれ家に帰ったらやりたいことを話す。私はそれを黙って聞いているだけでも楽しかった。
「皆、まずはマロンの属性鑑定が先じゃない?」
「それもそうね。探し人がマロンなのかどうか早くハッキリさせたいもの。」
「拙はきっとマロンさんがなると思っています。で、でもそうなったらマロンさんには勉強を死ぬ程頑張ってもらわないと……」
む、なんか不穏な空気を感じ取ったぞ。おどおどおっとりしたルグの発言とは思えない程のものだった。
「そうですね。そこは仕方ありません。小生らもサポート出来るように頑張りましょう。」
「それなら俺様はマロンに爆弾の作り方を教えてやろ」
「「「「それはやめて(ください)」」」」
なんだろう、この……コントのようなやり取りは。見ててすごく楽しいや。私は傍観を極める。
「と、取り敢えずまずは城に戻ろう。荷物も置いていきたいし。鑑定はそれからだね。」
「「「「賛成」」」」
……ん? 今ルグは城って言ったよね? 城って何? 待って待って、今から城に行くの? え、嘘でしょ?
「も、も、目的地に行くんじゃなかったの!?」
「確かに鑑定する場所が最終的な目的地ではあるけど、城も目的地の範疇だよ。それに俺達のホームを是非とも見て欲しいし?」
なんと! そんなことあるんだね!? ああ、でも確かにこの世界の一番上が暮らすとなると城になるのか! 成る程!
……そういえば具体的な場所を聞かずについて来てしまっていたことに今気がついた。私の危機管理能力低くない?
「さてさて、城に着いたみたいだ。」
そうリコが話を締めた時、ガタンと馬車が止まった。いよいよ城に入るらしい。ドキドキだ。
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