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一章
十五
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リコから教えてもらった『くろわっさん』という食べ物、ふわふわしててすごい! これが『食べ物』だということに驚いてしまう。
でもこれ、食べ終わった後にお腹痛くなるのかな。そんな心配が頭をよぎる。
今まで食べてきた食べ物と呼ばれるものは、酸っぱくて苦くて変な味がして食べた後にお腹が痛くなるもの。だからなるべく食べたくないのだ。食べ物、嫌い。『ご飯』と聞いただけで背中がゾクゾクしてしまう程嫌い。
だけどこれは……なんだろう、この味。酸っぱいのと苦いのは分かるけど、それ以外の味?は分からない。だから言葉に出来ない。それが惜しいと思ってしまった。
「リコ、この味はなんて表現すればいいと思う?」
「え、クロワッサンの味? ……甘いとか、香ばしいとか、そんな感じかな?」
「甘い……香ばしい……」
どれが甘いだ? 香ばしいだ? うーん、分からないけど複雑な味なんだね。
これを食べた後お腹が痛くなったとしても、くろわっさんはまた食べたいと思える。これが好き、なのかな?
「マロン、クロワッサン気に入ったみたいだね。じゃあ俺のも一つあげるよ。」
「ありがとうリコ!」
「ま、まああたくしのも一つあげても良いわ。」
「食え。」
「小生のも一つどうぞ。」
皆が私にくろわっさんをくれた。それを有り難く貰い、一つずつもぐもぐと食べ進めていく。
「マロン、クロワッサン美味しい?」
頬を緩ませながら食べていたからだろうか、リコにそう聞かれた。おいしい……美味しい。成る程、これが美味しいというやつなのか。
「うん、美味しい。すごく美味しい。」
食事の後にいつも通りお腹が痛くなろうが、そのまま死んでしまおうが別に良い。そう思ってしまう程くろわっさんの魅力に私は取り憑かれてしまったようだ。これが所謂『我が生涯にいっぺんの悔いなし』とか言われているやつか。成る程成る程。
そんなことを考えながらくろわっさん始め朝食を取るのだった。どれも美味しかったよ。我が生涯にいっぺんの悔いなし、だね!
でもこれ、食べ終わった後にお腹痛くなるのかな。そんな心配が頭をよぎる。
今まで食べてきた食べ物と呼ばれるものは、酸っぱくて苦くて変な味がして食べた後にお腹が痛くなるもの。だからなるべく食べたくないのだ。食べ物、嫌い。『ご飯』と聞いただけで背中がゾクゾクしてしまう程嫌い。
だけどこれは……なんだろう、この味。酸っぱいのと苦いのは分かるけど、それ以外の味?は分からない。だから言葉に出来ない。それが惜しいと思ってしまった。
「リコ、この味はなんて表現すればいいと思う?」
「え、クロワッサンの味? ……甘いとか、香ばしいとか、そんな感じかな?」
「甘い……香ばしい……」
どれが甘いだ? 香ばしいだ? うーん、分からないけど複雑な味なんだね。
これを食べた後お腹が痛くなったとしても、くろわっさんはまた食べたいと思える。これが好き、なのかな?
「マロン、クロワッサン気に入ったみたいだね。じゃあ俺のも一つあげるよ。」
「ありがとうリコ!」
「ま、まああたくしのも一つあげても良いわ。」
「食え。」
「小生のも一つどうぞ。」
皆が私にくろわっさんをくれた。それを有り難く貰い、一つずつもぐもぐと食べ進めていく。
「マロン、クロワッサン美味しい?」
頬を緩ませながら食べていたからだろうか、リコにそう聞かれた。おいしい……美味しい。成る程、これが美味しいというやつなのか。
「うん、美味しい。すごく美味しい。」
食事の後にいつも通りお腹が痛くなろうが、そのまま死んでしまおうが別に良い。そう思ってしまう程くろわっさんの魅力に私は取り憑かれてしまったようだ。これが所謂『我が生涯にいっぺんの悔いなし』とか言われているやつか。成る程成る程。
そんなことを考えながらくろわっさん始め朝食を取るのだった。どれも美味しかったよ。我が生涯にいっぺんの悔いなし、だね!
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