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一章
十四 パイシーズ
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小生らが席に着くとすぐに料理が運ばれてきました。そのどれもがシェフのこだわりを感じ、目でも楽しめるものでした。
マロンさんは常に目を瞑っていますから、料理が見えてはいないようです。もったいないとは思いますが、もしかしたら目が見えないからと敢えて目を閉じているのでしょうか。うーん、まだそのようなことを聞ける仲ではありませんから、推測だけが一人歩きしてしまいます。
「ほらマロン、早く食べましょう?」
アクエリアスはマロンさんに優しく声がけします。十二星座の……誰でしたっけ、誰かがアクエリアスのことを『つんでれ』とか言っていた気がしますが、マロンさんに対しては『つんでれ』というより『でれでれ』と言った方が正しいような気がします。つんがとても少ないです(当社比)。どちらでも微笑ましくは見えますが。
「う、う、う……」
はて、どうしたのでしょうか。マロンは一人呻いています。もしかして苦手なものが入っていたのでしょうか。いえ、苦手なものは特にないと先程仰っていましたから、それは違うでしょう。では何故……
「マロン、早く食べろ。」
「う、う、うぅ……」
「はいマロンあーん。」
カプリコーンが痺れを切らしてしまったらしいです。カプリコーンは自身のクロワッサンを一口分千切り、マロンさんの口元へ運ぶ。
「えっ!? リコ何何何むぐっ!」
マロンさんが(喋るために)口を開けた瞬間を見計らってカプリコーンはクロワッサンを放り込む。
マロンさんはそれをゆっくり数秒かけて咀嚼すると、急にパァーッと顔を輝かせました。ああ、目は閉じられたままですが。もぐもぐとその一口を味わい尽くし、マロンさんは口を開きました。
「これ何!? 食べ物なのにこんなに、こんなに……! もしかして私の目の前にある食べ物も今のやつみたいな感じなの!?」
「うん?」
「こ、これ、食べてもいいの!?」
「もちろん。しっかり食べないとお腹空くでしょ?」
「うわぁ~! なんだろう、この、この、……言葉に表せない!」
そう言ってパクパク食べ始めたマロンさん。これもすごい、あれもすごい、と興奮気味。そしてマロンさんはどうやらクロワッサンをお気に召したようで、何個も食べていました。とても微笑ましいです。
小生らもそれを見ながら食事を進めます。
マロンさんは常に目を瞑っていますから、料理が見えてはいないようです。もったいないとは思いますが、もしかしたら目が見えないからと敢えて目を閉じているのでしょうか。うーん、まだそのようなことを聞ける仲ではありませんから、推測だけが一人歩きしてしまいます。
「ほらマロン、早く食べましょう?」
アクエリアスはマロンさんに優しく声がけします。十二星座の……誰でしたっけ、誰かがアクエリアスのことを『つんでれ』とか言っていた気がしますが、マロンさんに対しては『つんでれ』というより『でれでれ』と言った方が正しいような気がします。つんがとても少ないです(当社比)。どちらでも微笑ましくは見えますが。
「う、う、う……」
はて、どうしたのでしょうか。マロンは一人呻いています。もしかして苦手なものが入っていたのでしょうか。いえ、苦手なものは特にないと先程仰っていましたから、それは違うでしょう。では何故……
「マロン、早く食べろ。」
「う、う、うぅ……」
「はいマロンあーん。」
カプリコーンが痺れを切らしてしまったらしいです。カプリコーンは自身のクロワッサンを一口分千切り、マロンさんの口元へ運ぶ。
「えっ!? リコ何何何むぐっ!」
マロンさんが(喋るために)口を開けた瞬間を見計らってカプリコーンはクロワッサンを放り込む。
マロンさんはそれをゆっくり数秒かけて咀嚼すると、急にパァーッと顔を輝かせました。ああ、目は閉じられたままですが。もぐもぐとその一口を味わい尽くし、マロンさんは口を開きました。
「これ何!? 食べ物なのにこんなに、こんなに……! もしかして私の目の前にある食べ物も今のやつみたいな感じなの!?」
「うん?」
「こ、これ、食べてもいいの!?」
「もちろん。しっかり食べないとお腹空くでしょ?」
「うわぁ~! なんだろう、この、この、……言葉に表せない!」
そう言ってパクパク食べ始めたマロンさん。これもすごい、あれもすごい、と興奮気味。そしてマロンさんはどうやらクロワッサンをお気に召したようで、何個も食べていました。とても微笑ましいです。
小生らもそれを見ながら食事を進めます。
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