××の十二星座

君影 ルナ

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一章

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「……あれ、でもマロンの部屋はあるのかい?」
「私なら廊下にいるから問題無いよ。」

 リコの疑問に私は即答する。そう、ただ廊下に立って夜を越せばいいだけの話。なんの心配も要らない。あ、ついでにこの人達の護衛的な役割を担うのも良いのでは? うん、それが良い。さっきだって屋根裏に人潜んでたし。

「一応取っているわよ。」

 ええ!? そうなの!? でも宿ってお金必要でしょ!?

「リアスどういうこと!? 私無一文だからお金払えないっ!」

 お金、お金ってどう稼げばいいんだ? 今すぐポンと出てくる……わけないよね。うん。ならどうすれば……。

 はっ、もしかしてこれこそ出世払いってやつか! 成る程理解した!

「それくらいあたくし達が払うわよ。あたくし達、お金はまあまあ持っているから。」
「そうですよ。マロンは気にせず部屋に泊まってください。」
「そうそう。俺達皆ある程度のお金持ちだからね。」
「……まあ、嘘ではないな。」

 皆リアスの言葉に頷く。

「で、でも申し訳ないというか……」

 そう言葉にしてから、私に申し訳ないという気持ちが存在していたことに驚いてしまった。

「俺達の用事に付き合わせるんだ。これくらいさせてくれ。」
「じ、じゃあ出世払いにしてください!」
「マロン、気にしなくていいのに。」
「あーもう、埒があかないわね! はいはい、じゃあマロン、出世払いってことにしておきましょう。それで良いわね?」
「了解! 皆の用事が終わったら、頑張って働いて? 返すね!」

 未来に目標も目的も無かったが、初めて目標が出来た! そのことに私は歓喜する。これからの未来が楽しみになった。

「はいはい、分かったから今日はもう部屋で休みなさい。マロンの部屋はあたくしの隣よ。」
「はーい。」
「じゃあ朝五時に船着場集合ね。」
『了解(です)』

 私はウキウキ気分のままリアスの泊まる部屋を出る。








 パタン、と扉を閉めると共に目を開ける。どうやら私が泊まる部屋は先程までいたリアスの部屋と同じくらい広いようだった。一応気配を探ると、今のところは安全であると分かった。これならひとまず安心、か。

 でも……

「部屋が広すぎて落ち着かないじゃんっ……」

 新たな問題発生である。どこか狭い所を探さなければならないね。
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