15 / 122
一章
二
しおりを挟む
「じ、じゃあ早く行こう。こんな森の中に長居はしたくはないからさ。」
照れを隠すように話を変える。こんな(多分)鬱蒼とした森の中になんて長居したくはないだろうと思ってね。それに……
「そうね。」
「そうしましょう。案内をお願いしても?」
「うん。じゃあ……」
私は目を閉じていても歩き回ったり走ったり出来る。何故なら気配を探るのが得意だからだ!
そんな私はいつも通りフッと気配を探る。うん、良し。これでどこに木があるか、二人がいるかを鮮明に感じる。それに周辺に危険は無さそうだ。
「よし、行こう!」
私達は歩き出した。
木の上から見た時も思ったが、二人に出会ったのは結構な森の奥だったらしい。時間をかけて森を出ると、目を閉じていても仄かに感じる明かりにホッと一息つけた。
二人が泊まっているという宿に到着し、私も共に個室へと入る。どうやらここはリアスが泊まっている部屋だと言う。
私はリアスに椅子を勧められ、そこに座る。二人とも各々好きな場所に座り、私はやっと座れてホッと一息つく。
「戻ってこれて良かったわね。」
「これもマロンさんのおかげですね。改めてありがとうございます。」
「いいえー。」
「ところでマロン、あなたこれからどうするつもりなのかしら?」
「これから……そうだねぇ、どうしようかな。」
これから、か。ノープランでここまで来てしまったからなぁ。どうしようか。特にやりたいことも無いし……。うーん、首を傾げてどうするか悩む。
「マロン、行くところがないならあたくし達に着いてこない?」
「……何故?」
私に向かう気配でリアスの真意を探る。こんなどこの誰かも分からないような私を連れてどこに行くつもりなのだろうか、と。
まさか私を油断させて殺すつもりなのでは……? やはりこの二人もあいつらと繋がっていたのだろうか。
二人ならギリいけるか? 最悪の場合を予測して……
「マロンさん、本音で話しましょうか。」
「ちょっと、パイシーズ! それは秘密でしょう!」
「リアスさんこそ。何故外で小生をそう呼ぶんですか?」
「っ……!」
……あれ? 仲間割れを始めた? なんか二人の雰囲気が変わったぞ。こんな時私はどうすればいいんだ?
私がつい先程まで感じていた負の感情はもう無くなっていた。拍子抜け、ってやつかな? それとも毒気を抜かれた?
「理由もなく連れて行くだなんて、不審に思われても仕方がありませんよ?」
「そっ、そ、それは……そうかもしれないけど……」
「可能性はゼロではありません。ですからほら、話してしまいましょう。」
「……全てではなく少しならいいんじゃないかしら。もし違ったら、という可能性もあるのでしょう? その時全てを話してしまっていたらどうするつもり? 記憶を消すなんてこと、出来ないでしょう?」
「……分かりました。」
お、話し合い? 言い合い? が終わったようだ。あまり長引かなくて良かった。私、仲裁とか絶対出来ないもの。
「ではマロンさんに話せるところまで話しましょうか。」
照れを隠すように話を変える。こんな(多分)鬱蒼とした森の中になんて長居したくはないだろうと思ってね。それに……
「そうね。」
「そうしましょう。案内をお願いしても?」
「うん。じゃあ……」
私は目を閉じていても歩き回ったり走ったり出来る。何故なら気配を探るのが得意だからだ!
そんな私はいつも通りフッと気配を探る。うん、良し。これでどこに木があるか、二人がいるかを鮮明に感じる。それに周辺に危険は無さそうだ。
「よし、行こう!」
私達は歩き出した。
木の上から見た時も思ったが、二人に出会ったのは結構な森の奥だったらしい。時間をかけて森を出ると、目を閉じていても仄かに感じる明かりにホッと一息つけた。
二人が泊まっているという宿に到着し、私も共に個室へと入る。どうやらここはリアスが泊まっている部屋だと言う。
私はリアスに椅子を勧められ、そこに座る。二人とも各々好きな場所に座り、私はやっと座れてホッと一息つく。
「戻ってこれて良かったわね。」
「これもマロンさんのおかげですね。改めてありがとうございます。」
「いいえー。」
「ところでマロン、あなたこれからどうするつもりなのかしら?」
「これから……そうだねぇ、どうしようかな。」
これから、か。ノープランでここまで来てしまったからなぁ。どうしようか。特にやりたいことも無いし……。うーん、首を傾げてどうするか悩む。
「マロン、行くところがないならあたくし達に着いてこない?」
「……何故?」
私に向かう気配でリアスの真意を探る。こんなどこの誰かも分からないような私を連れてどこに行くつもりなのだろうか、と。
まさか私を油断させて殺すつもりなのでは……? やはりこの二人もあいつらと繋がっていたのだろうか。
二人ならギリいけるか? 最悪の場合を予測して……
「マロンさん、本音で話しましょうか。」
「ちょっと、パイシーズ! それは秘密でしょう!」
「リアスさんこそ。何故外で小生をそう呼ぶんですか?」
「っ……!」
……あれ? 仲間割れを始めた? なんか二人の雰囲気が変わったぞ。こんな時私はどうすればいいんだ?
私がつい先程まで感じていた負の感情はもう無くなっていた。拍子抜け、ってやつかな? それとも毒気を抜かれた?
「理由もなく連れて行くだなんて、不審に思われても仕方がありませんよ?」
「そっ、そ、それは……そうかもしれないけど……」
「可能性はゼロではありません。ですからほら、話してしまいましょう。」
「……全てではなく少しならいいんじゃないかしら。もし違ったら、という可能性もあるのでしょう? その時全てを話してしまっていたらどうするつもり? 記憶を消すなんてこと、出来ないでしょう?」
「……分かりました。」
お、話し合い? 言い合い? が終わったようだ。あまり長引かなくて良かった。私、仲裁とか絶対出来ないもの。
「ではマロンさんに話せるところまで話しましょうか。」
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる