××の十二星座

君影 ルナ

文字の大きさ
上 下
5 / 122
十二星座編

キャンサー(かに)

しおりを挟む
 ポラリスはボク達の羅針盤。拠り所。安定剤。それが無い今、ボクはすごく不安定だ。

 ああ、ボクはキャンサー(かに)を襲名した者だよ。武器は大きなハサミ。切れ味抜群なんだよ。ふふ、ふふ。

「確かにキャンサーの意見も一理ある。……じゃあ、二人一組で辺境の地からそれぞれ探しに行く、というのはどうだろう?」
「賛成!」

 アリーズがいい感じに纏めてくれた。皆も異論はないみたいだ。ふふ、ポラリスを捕まえた後のことを考えてボクは笑みが溢れる。

「じゃあ組み分けはどうする? 上からそのまま二人組を作る、でいいかい?」

 そうなるとボクは……ジェミニと一緒か。ジェミニはいい子だからね。ボクは異論はないよ。

「……あ、あの……」

 ほぼ全員が納得したと思ったら、おずおずと手を挙げた人が。今まで黙りこくっていたヴァーゴ(おとめ)だ。

 ヴァーゴって前髪が鼻の辺りまで伸びてて不気味だよね。性格もおどおどしてるし、十二星座に選ばれなそうな雰囲気だし、それ以上にヴァーゴ(おとめ)を襲名するのもちょっとよく分からない。

 偏見かもしれないけど、ヴァーゴを襲名する人って美人なイメージがあったからね。なんたって乙女、だもの。

 心は乙女であるトーラスとか、中性的な美人であるパイシーズとかがヴァーゴを襲名した方が何となくしっくりくるけど……。まあ、余計なお世話か。

「どうしたの? ヴァーゴ。」
「あ、えと……あの……その順番だと、拙はリオと一緒に……なるんですけど……」
「うん、そうだね?」
「だからその……万が一戦闘になったらって考えた時、リオと拙は相性が悪いんじゃないかって……思って……」
「あー……リオ、どうだろう?」
「大丈夫だ! ヴァーゴに絶対当たらないように爆弾をぶっ放すからな! 心配すんな!」

 リオの武器は爆弾、ヴァーゴの武器は素手。確かに相性は悪い……のか? ボクはそこんところは分からないけど。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...