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事例 壱 『コウシュ村』
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それからはもう、恐怖の連続だった。
まずは村の前で出会ったお婆さんが亡くなる瞬間を見せられ──お婆さんは既に先生の手によって成仏させられたのに、どういう原理だろう──、
その後どこからともなく紙が飛んできて読まされて気分が悪くなり、
仏壇から覗く日記も読まされ、
もういいかと和室を出ようとしたら開かないし、
そうしたらカランと鍵が落ちてきた。
何を言っているか分からないだろうが、僕自身もよく分かっていはいない。とにかくこの村に来てここ一番の、怒涛の、恐怖体験だったことは確かだ。
「はぁ……」
もう、先生には置いてかれるし、軽く絶望しながらこの和室を探索する。まだ襖は開かないから。
とりあえず今はこの鍵をどこかで使わないと脱出すらできないらしい。襖には鍵穴らしいものはなくて、仏壇にも鍵頭はなくて。棚にも押し入れにもソレは見当たらない。
日記を読む限り『ちか』がキーとなっていそうなのだが……ウーン、分からん。
ただまぁ、この部屋から出られないということは、多分『ちか』へ続く扉がこの和室にあるのだろう。そしてそれを見つけなければここからは出られない、と。
だからこそくまなく探しているつもりではあるのだが、一向にそれは見つからない。
日記の著者曰く『化け物』を放り込んでいた、そして子供の日記曰く『知らなかった』とあるから、家主ですら見つけられないような場所に、それはあるはずだ。
僕がそれを作るとしたら、どこが一番見つからないと考えるか……
「フム……」
顎に手を当てていかにも考えているポーズで色々頭の中でウンウン悩んでみる。
「僕だったら、か……」
──押入れとか?
ああいや、でもさっき見て鍵穴が見つからなかったし。
──ファンタジー的に言えば本をクイッと引いて隠し扉が開くとか?
いや、そもそもこの部屋にある本なんてあの日記帳くらいしかなかったからなあ。それにこの鍵を使わないとは思えない。
──畳を剥いだ下にあるとか?
え、探していなかったけど、もしかしたらもしかする?
「よし、畳を剥いでみよう。」
相当な重労働だが、とにかくこの和室から出ることを最優先に考えなければ。先生に見捨てられた今、信じられるのは己だけ。
そう自分を鼓舞して、今まで生きてきて一度ともやったことのない『畳剥がし』に挑戦するのだった。
畳の上にあるものをまずは除けてしまおうと、それ筆頭の仏壇前にある座布団を手に取った瞬間現れたそれらしき金属枠。小さな穴もある。取っ手はなさそうだけど、それでも明らかに『ちか』への扉で……
「畳、剥がなくてもよかったんかい!」
重労働に対しての気合を今さっき入れたというのに、肩透かしを食らってしまって。やり場の無いムカムカを発散するようにそうツッコミを入れてペシンと座布団を床に叩きつけてしまった。
そのせいで舞った埃で咳が出るのはご愛嬌。
「ゴホッ……ま、まあ、手間が省けたと思えば、まあ、まあ、まあ……」
多分顔は不満気にクシャリと歪んでいただろうが、なんとか自分にそう言い聞かせて無理やり納得させながら鍵を穴に挿していく。
まずは村の前で出会ったお婆さんが亡くなる瞬間を見せられ──お婆さんは既に先生の手によって成仏させられたのに、どういう原理だろう──、
その後どこからともなく紙が飛んできて読まされて気分が悪くなり、
仏壇から覗く日記も読まされ、
もういいかと和室を出ようとしたら開かないし、
そうしたらカランと鍵が落ちてきた。
何を言っているか分からないだろうが、僕自身もよく分かっていはいない。とにかくこの村に来てここ一番の、怒涛の、恐怖体験だったことは確かだ。
「はぁ……」
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とりあえず今はこの鍵をどこかで使わないと脱出すらできないらしい。襖には鍵穴らしいものはなくて、仏壇にも鍵頭はなくて。棚にも押し入れにもソレは見当たらない。
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