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事例 壱 『コウシュ村』
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「どこって、そりゃあ……首吊り病の生き残りの所さ。まあ、その後もコウシュ村とかに行くつもりだ。」
「それって僕もですか?」
「そうだが何か? いつも通り囮として、な。」
何かおかしいことでも言ったか、とばかりに首を傾げる先生。でも、だって……
「だって、今回はシャリーさんがいないのに……」
僕は人一倍そういうのを『引き寄せやすい』体質だ。
だからこそ先生の助手ができているとも言えるが、そもそもいつもはシャリーさんに守ってもらっているからこそ、安心して先生の助手を務められているんだ。
それなのに今回は牧村さんを守るためにシャリーさんを既に渡している。
シャリーさんの守り無しでは『ただの引き寄せやすい足手纏い』でしかないのに、それなのに足手纏いを連れていくっていうの?
「なぁに、大丈夫だ。シャリーに匹敵するお守りをついさっきようやく完成させたんでね、そいつを使えば良い。」
先生はそう言って小さなお守りを僕に見せてきた。
どこにでもある大きさで、僕の瞳の色と同じ琥珀色で、まるで首から掛けられるように紐が長い。
「今までずっとお前にシャリーを持たせていたから、祓う時に手が足りなかったんだよ。だから、ほい。それを身につければシャリーを持たなくても多少は守ってくれるさ。」
多少……で良いのか? 良いのか。囮としては『完全に守られる』のはある意味無能に成り下がるだけなのだから。
まあ、先生がそう言うならきっと大丈夫なのだろう。
何もかにもテキトーな人だが、祓うことに関していえばキッチリ完璧に祓いきる人だから。今まで傍で見てきて、それだけは信用できる。
「ジョシュアベの憂いは晴れたか?」
「……はい。ありがとうございます。」
「それでヨシ。お前がいればあれらをおびき寄せる手間が省けて効率がいいからな。それくらいのモノを渡したくらいで手伝ってくれるなら、安いもんさ。」
それくらいのモノって……まるでお金持ちが端金を使った時みたいな言い方……。
いや、僕の例え方も変だけど、引き寄せやすい僕が持っていても効果があるお守りなんて、そうそう手に入らないすごい代物なんですからね?
先生といるとそこら辺の常識が覆され続けるためドッと疲れる。今までの僕の苦労はなんだったの、と。
ちょっと心霊スポットに近づくだけで悪霊に取り囲まれ、そこら辺を彷徨いている幽霊にすら取り囲まれ、誰かが憑けてきた幽霊がこちらに乗り移ったりして、何もなくても幽霊に追いかけられる。
そんな過去を振り返って遠い目をしていると、先生が早く身につけろと急かしてきた。
言われるがまま貰ったお守りを首から掛け、そうしてからいつものように先生を背に乗せる。そう、おんぶだ。
「さて、ジョシュアベ。病院まで案内しろ。」
「了解!」
祓う技術は天才級だけど体力がない先生の足になるのも、助手の僕の仕事だ。身長差は二十センチ、体重差は二十五キロ強。
しかも先生自身は『四センチ低い身長のモデル体重』ってんで、相当軽い──いつ死んでもおかしくはないくらいにはガリッガリだ──。
さらに言えば先生の普段着、つまり十二単並みに着込んだ着物の重さ(十キロ超)を足しても標準体重にギリ届かないのだから……ねぇ。先生の万年栄養失調ぶりが窺えるだろう。
平均的な僕ですらそんな先生は軽く持ち上げられる。
ということで、一秒でも早く着くためにも、本気を出して走るよ!
「それって僕もですか?」
「そうだが何か? いつも通り囮として、な。」
何かおかしいことでも言ったか、とばかりに首を傾げる先生。でも、だって……
「だって、今回はシャリーさんがいないのに……」
僕は人一倍そういうのを『引き寄せやすい』体質だ。
だからこそ先生の助手ができているとも言えるが、そもそもいつもはシャリーさんに守ってもらっているからこそ、安心して先生の助手を務められているんだ。
それなのに今回は牧村さんを守るためにシャリーさんを既に渡している。
シャリーさんの守り無しでは『ただの引き寄せやすい足手纏い』でしかないのに、それなのに足手纏いを連れていくっていうの?
「なぁに、大丈夫だ。シャリーに匹敵するお守りをついさっきようやく完成させたんでね、そいつを使えば良い。」
先生はそう言って小さなお守りを僕に見せてきた。
どこにでもある大きさで、僕の瞳の色と同じ琥珀色で、まるで首から掛けられるように紐が長い。
「今までずっとお前にシャリーを持たせていたから、祓う時に手が足りなかったんだよ。だから、ほい。それを身につければシャリーを持たなくても多少は守ってくれるさ。」
多少……で良いのか? 良いのか。囮としては『完全に守られる』のはある意味無能に成り下がるだけなのだから。
まあ、先生がそう言うならきっと大丈夫なのだろう。
何もかにもテキトーな人だが、祓うことに関していえばキッチリ完璧に祓いきる人だから。今まで傍で見てきて、それだけは信用できる。
「ジョシュアベの憂いは晴れたか?」
「……はい。ありがとうございます。」
「それでヨシ。お前がいればあれらをおびき寄せる手間が省けて効率がいいからな。それくらいのモノを渡したくらいで手伝ってくれるなら、安いもんさ。」
それくらいのモノって……まるでお金持ちが端金を使った時みたいな言い方……。
いや、僕の例え方も変だけど、引き寄せやすい僕が持っていても効果があるお守りなんて、そうそう手に入らないすごい代物なんですからね?
先生といるとそこら辺の常識が覆され続けるためドッと疲れる。今までの僕の苦労はなんだったの、と。
ちょっと心霊スポットに近づくだけで悪霊に取り囲まれ、そこら辺を彷徨いている幽霊にすら取り囲まれ、誰かが憑けてきた幽霊がこちらに乗り移ったりして、何もなくても幽霊に追いかけられる。
そんな過去を振り返って遠い目をしていると、先生が早く身につけろと急かしてきた。
言われるがまま貰ったお守りを首から掛け、そうしてからいつものように先生を背に乗せる。そう、おんぶだ。
「さて、ジョシュアベ。病院まで案内しろ。」
「了解!」
祓う技術は天才級だけど体力がない先生の足になるのも、助手の僕の仕事だ。身長差は二十センチ、体重差は二十五キロ強。
しかも先生自身は『四センチ低い身長のモデル体重』ってんで、相当軽い──いつ死んでもおかしくはないくらいにはガリッガリだ──。
さらに言えば先生の普段着、つまり十二単並みに着込んだ着物の重さ(十キロ超)を足しても標準体重にギリ届かないのだから……ねぇ。先生の万年栄養失調ぶりが窺えるだろう。
平均的な僕ですらそんな先生は軽く持ち上げられる。
ということで、一秒でも早く着くためにも、本気を出して走るよ!
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