怨念がおんねん〜事例 壱【完】〜

君影 ルナ

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事例 壱 『コウシュ村』

弍拾

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「ひゅっ……」

 畳に落ちていたのは、人間一人。途切れた紐が首に結ばれ、体重のせいか折れたように変に曲がった首、土気色の肌、ボサボサな長髪。

 ……明らかに死体である。これ以上ソレを見ていたくなくて、今すぐ目を逸らしたくて、しかし硬直したように目は死体へと固定される。

 見ないように見ないようにと頑張っていたのに、その頑張りがパァになってしまった。過呼吸は治るどころか加速していく。

「ハ、ハ、ハ、ハ……」

 まだもう一人天井からぶら下がっているが、それは視界の端だけに留めている。あれを直視してしまったら、全てが変わってしまうような気がして。

「ぅぅぅ……オマエガ、オマエノセイデ……」

「っ……!」

 そんな時、床に落ちた物言わぬ骸がまさかまさか声をあげた。なんだ、生きていたのか? いや、あれで生きているはずがない。

 だって、俺は、何度も見てきた。だって、だって!



 ──皆、皆がそうやって死んでいったんだから……!



 キィィン……と響く耳鳴りと共に僕の意識は暗闇に落ちていく。目を閉じるまでのその一瞬の間に見てしまったのは、ずっと目を背けていた宙ぶらりんだった。

─・・─・ ・・─・・ ・・
─ ─ ─ ・─・ ・─

 俺は普通に生きてきた。普通の大学生で、普通に友達を作って、オカルトサークルなんてものに入ったりして、皆でワイワイ楽しく過ごしていた。

 こんな普通が続くと、誰もが信じて疑わなかった。

 それが変わってしまったのは、いつだっただろうか。ええと、確か……大学に入って一度目の夏。そう、中学からの親友の……あれ、名前が思い出せないや。

 まあ、いい。その親友が、サークルの部室で首を吊っていたのを発見したのが始まり。俺の中では、だが。

 そしてそれがここ最近世間を騒がせている『首吊り病』であると知った時、俺はやるせない思いを抱いたんだっけ。

 それで、それで俺は……どうしたんだっけ?

「それで、俺は……」

 そうだ、俺はその病気の原因を知るために、色々調べたんだ。

 それで、この村のことを知ったんだ。で、そう、原因を探るために村に向かって……ああ、俺という記憶を失くして彷徨ってたんだ。

 だが、今それら全てを思い出したことで、俺がこの村に来た意味も、俺がここで何を成すべきかも分かった。

 ──さあ、あとは進むだけだ。
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