笑顔の仮面は外れない〜陽光の私と月光の貴方〜 【完結】

君影 ルナ

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「私の話を……聞いてくださいますか?」
「もちろん。」

 その言葉からラル様の確固たる意志を感じました。

 それなら泣いてばかりではいけませんね。ゴシゴシと涙を拭き取り、気持ちを新たにします!

「そんなに擦るな……」
「いえ、大丈夫です!」

 私の話を信じる、その言葉だけで私は元気が出ました。なのでにっこり笑顔を見せると、しかしラル様は困ったような表情になりました。あれ、また笑えていませんでしたか?

「……その笑顔は無理していないか?」

 ああ、心配してくださっていたのですね。その気持ちが嬉しいですね。

「心からの笑みですよ。」
「……そうか。」

 私の返答にラル様はほっと胸をなでおろしました。それだけ心配を掛けてしまったのですね。ではこれから挽回しましょう。

「ではまず何から話しましょう……」
「最初は……あ、前世の話の前に泣いていた理由からでは駄目か?」
「うっ、それは……駄目ではないですけど……」

 それからですか! ああ、どうしましょう。これを伝えるには私の気持ちを伝えねばならなくなります。その事実に顔が熱くなります。

「マリー?」
「ああ、ええと……泣いていた理由は、恋だと気が付いた瞬間に失恋だと理解してしまったから……です。」

 ああ、こんな形で告白してしまうとは。もっと心の準備がしたかったです。両手で頬を包み、顔の熱を手の方へ逃がす。

「何!? マリーには恋い慕う相手がいたのか! どこの誰だ!」
「あうっ、……様、です。」
「聞こえなかった。もう一度はっきりと。さんはい。」

 ああ、本人に伝えるとなるとこんなにドキドキしてしまうのですね。すーはー、深呼吸深呼吸。

 振られると分かっていても、私の気持ちの整理の為にも伝えなければですね。勇気を振り絞って、さあ!

「……ラル様です!」
「……、……?」

 ラル様は私の暴露に驚いて数秒固まり、その後首を傾げました。何故首を傾げたのでしょうか。思わず私も首を傾げてしまいました。

「何がどうなって失恋したと解釈したんだ?」
「え、だって……ヒーローと何もしない悪役令嬢は結ばれないものですから。」

 オハナシのシナリオは変わらないのですから。ああ、言ってて悲しくなってきました。

「その言葉……変人も使ってたな。それは何だ?」
「それは……前世のお話での……」
「話?」
「はい。前世で人気だった作り話の中に度々出てくる言葉です。今の状況に当てはめてみるなら、ヒロイン主人公はクラインさん、メインヒーローはラル様、そして悪役令嬢ライバルは私です。」
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