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僕はテディー

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 僕、知ってるよ。瞳ちゃんと一緒におそーしき、っていうのにも参加したんだもん。その時は瞳ちゃんの遠い親戚のおそーしきだったんだけど、瞳ちゃんは言ってた。『もう会えないね』って。死んだら、生きている人とはもう会ってお話も出来ないんだって。

 だからね、だからね、僕、分かっちゃった。もう僕は瞳ちゃんとお話も出来ないんだって。笑顔を見ることも出来ないんだって。

 そう思ったらね、やっぱり泣けてきちゃった。瞳ちゃんのママに気付かれないように、そっと部屋を出てから涙を溢す。ポロ、ポロポロと涙が溢れ落ちる。

 僕、ぬいぐるみなのに。おかしいよね。どこから涙が出てくるんだろう。

 そしてどうにも遣る瀬無い気持ちを抑えきれなくなった僕は、瞳ちゃんのお家から飛び出した。






 街灯の明かりがぼんやりとついているだけの暗い夜道を僕は歩く。人通りが少ない道だったのが救いだったかな。だってぬいぐるみが歩いているだなんて、あり得ないんだもん。怖がられたら僕もう立ち直れなくなる。

 そうやってとぼとぼと歩き続けると、知らない声に話しかけられた。

「あら、あなた……モノの怪ではないかしら?」

 これが春子さんとの出会い。僕がいつも着ている白衣を作ってくれたのもこの人だ。

「誰?」
「私は有栖川 春子よ。春子でいいわ。で、こっちが……」
「拙者は九重と申す。」

 春子さんは笑顔でそう紹介してくれた。九重さんは僕を警戒している様子だった。まあ、僕自身、何故動けるようになったか分からないから、他人から警戒されても仕方ないよね。

「あなたは名前、あるのかしら?」
「僕? 僕は……テディー。テディベアのテディー。」
「そう、テディーね。可愛い名前じゃない。よろしくね。」
「うん。よろしく。」

 この春子さんと出会ったことで、今、僕は人々を癒しに行くお仕事(?)をしているんだ。だから春子さんには感謝しかないよ。

 ……九重さんは……まあ、うん。ノーコメントで。
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