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四月
10
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お風呂も上がり、洗面所で身支度を整える。黒髪のウィッグも付けて、動きやすい格好をして……。このまま外に出てもおかしくない格好をしたつもりだ。後はカラコンを……
「……いや、このままで行こうかな。」
実は目が痛みを訴えているのだ。毎日ずっとカラコンを付けているからね。
学園の中でも隅っこの方にあるあの場所。まるで皆から忘れ去られたかのような寂しさがあるあの場所。
だからか、なんとなく私の勘が言っている。このまま行っても大丈夫だと。
「今は……四時。いい時間だね。」
出るなら早く出ないと、起きてきた寮の人と鉢合わせしてしまう可能性がある。それはいけない。
あ、でもその前に水を一杯飲んで行こう。さすがにここ一日程何も飲み食いしていないから、ここで水を飲まないと死ぬ可能性があるからね。
台所で水を飲むと、シャワーを浴びて温まった体がスッとちょうどいい温度になった気がした。ふぅ、お水おいし。
コップを洗い、さてお花見に行こうか。
灰色の目のまま早足で寮を出る。
まだ日の出には早い時間なので辺りは薄暗い。そんな中、私に今出来る範囲でしゃきしゃきと足を動かす。もしかしたら日の出も一緒に見られるかもしれない、と思い至ったのだ。
「はあ、はあ……」
息が上がって辛いが、それよりもワクワク感の方が上回ってしまってだんだんと早足になる。
坂を登りきるとまだ日の出には時間があるようだった。急いで良かった。
すぅっと深呼吸をして、少し冷たい空気を肺に取り入れる。するとどこか心がシャンとした気がした。爽やかな朝とはこのことなのか、と理解した。
「さて……」
日の出を見るのに良い場所といえば……きっとあの太い木の幹に登るのが良いだろう。折れなさそうだし。
木登りは出来ないが、私は普通の人間ではないからあまり関係ない。自分の能力を使えばいいのだ。
そうと決まれば自分自身に能力を使い、ふわりと自分自身を浮かせる。そのまま上昇させ、タン、と木の幹へ足を付ける。
「……いや、このままで行こうかな。」
実は目が痛みを訴えているのだ。毎日ずっとカラコンを付けているからね。
学園の中でも隅っこの方にあるあの場所。まるで皆から忘れ去られたかのような寂しさがあるあの場所。
だからか、なんとなく私の勘が言っている。このまま行っても大丈夫だと。
「今は……四時。いい時間だね。」
出るなら早く出ないと、起きてきた寮の人と鉢合わせしてしまう可能性がある。それはいけない。
あ、でもその前に水を一杯飲んで行こう。さすがにここ一日程何も飲み食いしていないから、ここで水を飲まないと死ぬ可能性があるからね。
台所で水を飲むと、シャワーを浴びて温まった体がスッとちょうどいい温度になった気がした。ふぅ、お水おいし。
コップを洗い、さてお花見に行こうか。
灰色の目のまま早足で寮を出る。
まだ日の出には早い時間なので辺りは薄暗い。そんな中、私に今出来る範囲でしゃきしゃきと足を動かす。もしかしたら日の出も一緒に見られるかもしれない、と思い至ったのだ。
「はあ、はあ……」
息が上がって辛いが、それよりもワクワク感の方が上回ってしまってだんだんと早足になる。
坂を登りきるとまだ日の出には時間があるようだった。急いで良かった。
すぅっと深呼吸をして、少し冷たい空気を肺に取り入れる。するとどこか心がシャンとした気がした。爽やかな朝とはこのことなのか、と理解した。
「さて……」
日の出を見るのに良い場所といえば……きっとあの太い木の幹に登るのが良いだろう。折れなさそうだし。
木登りは出来ないが、私は普通の人間ではないからあまり関係ない。自分の能力を使えばいいのだ。
そうと決まれば自分自身に能力を使い、ふわりと自分自身を浮かせる。そのまま上昇させ、タン、と木の幹へ足を付ける。
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