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なんか知らんが、初級魔法みたいな名前してめっちゃ強そうな魔法が使えたんだが
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成り行きで──いや成り行きもおかしな感じでマーラと戦うこととなった訳だが、ほんとになんでこうなったんだ?
「なあ、なんで嘘なんかついてた? 理由次第じゃ、俺たちが戦う理由なんてないだろ」
「君が戦うって言ったんじゃない。別に、隠した方が都合がいいと思っただけ。嘘なんてつきたい訳じゃないよ、私だって」
別に戦うなんて言った覚えはないんだが。どういう勘違いからそうなった? まあ言ってても仕方ないか……。
「嘘つくつもりがないなら、本当のことを話してくれ。助けになれるなら俺だって助けたいんだ」
「……もういい。勝負をつけましょ」
「おい!」
マーラは腰に下げていた短剣を取り出して、胸元で構えた。……武器あるのかよ。
しかし、聞く耳も持ってくれそうにないし、戦うしかないのだろうか。全く勝てる気がしないんだが。
「ん?」
視界に映る互いのHPがふと気になった。俺のHPは、最初から少し上がっただけの、27。これはいい。問題はマーラの方だ。
さっきステータスを確認した時は100くらいあったはずだ。俺とどれだけレベル差あるんだよと、絶望させられたからな。
だが、戦闘に入ってからの彼女のHPは20しかない。これはどういうことだ?
瀕死までのHP……にしては、二割と言うのは少々少なすぎる。
仮に、意図的に手加減しているとしたらどうだ? ゲームならよくある、強キャラが序盤で出てきた時にステータスが低すぎる問題だ。
これなら納得できるが……何故今手加減する? 何か意味があるのか?
「本気でこないのか?」
完全に戦闘が始まった現状、彼女との会話が成立するのかは怪しいが……限りなくゲームに近い世界観ではあっても、ゲームの中じゃないなら会話くらいできるよな?
「……そのステータス見るスキル、気味が悪いね。そんなことまで分かるの? まあ、特に深い理由は無いけど。君相手に本気を出すまでも無いってだけ」
「さようですか」
まあ間違ってないんだろうが、なんか尺に触るな。
しかし会話してても埒が開きそうに無いな。どうする、本当に戦うのか?
弱点をついたとは言え、HP35のスライムが一撃だったんだ。俺の攻撃力でも、今みえている彼女のHPなら削り切れるんじゃ無いか?
しかし、その逆もまたしかり。もし倒せなければこっちも一撃でやられる可能性が大いにあるんだよな……。
──いや、待てよ?
「弱点、か」
「なに? 君程度がつけるほどの弱点なんて、私は持ち合わせていないよ」
んん~~……やっぱなんかムカつくんだよなぁぁ?
「それはこっちで決めさせてもらう」
スライムの時は確かこの辺に……ああ、あった!
『通常の人間と同じ。また、自分の目的を知る者の援助』
……また、よく分からない事が書かれているな。なんだよ、目的を知る者の援助、て。
自分から目的言わないのに、どうやってその目的を知るんだよ。
『マーラの目的──病床につく妹の治療。そのために必要な薬の材料となる、スライムの核の入手』
そんなことまで分かるのかよ。ほんと便利だな全解析。
病床の妹、か。ベタだな。だが、マーラが悪い人ではなさそうだと言うことは分かった。
しかし、これじゃ振り出しに戻っただけだ。肝心の核の入手法が分からないからな……。
そういえば、せっかく教わったのに試してなかったな。
「コマンド入力、魔法」
彼女の話が正しいなら、これで何かが出てくるらしいが……。
「あんなに私のこと疑っておいて、それ信じるんだ?」
「念のためだ。……やっぱなにも出ないじゃないか」
「私だって使えなかったっていったでしょ? あの人に似てるから、君ならもしかして? て思って話しただけだし」
教えてもらったってのも本当なのか? しかし、実際やってみて使えないなら、やっぱり騙されてるとしか……。
「しかしコマンドか」
やっぱりゲーム的すぎるよな……て、ん?
「なんだこれ」
何故か目の前にウィンドウ画面のようなものが現れた。
『コマンドを入力してください』
短い文章だが、もしこれがマーラの言ってた画面で、教わった言葉が真実だったなら──
「入力」
画面がほぼ空白になり、文字入力のような画面に……
「魔法」
『魔法のコマンドを解放しました。フラグの成立していた魔法の使用が可能になります』
「……まじか」
魔法のタグが書かれたウィンドウに、火球だけが表示されている。
集中して見てみると、説明のようなものが表示された。
『対象、あるいは照準を定め、火球と唱えると発動する。目標物、あるいは地点に向けて、込めたMPに応じた大きさの炎の球を放つ』
まあ、大体予想通りだな。
ふと、マーラの方へと視線を向けると、かなり不思議そうにこちらを眺めている様子が見える。
そして何故か、彼女の足元にFPSなんかでよく見る、レティクルのようなものと、その上に表示された火球の文字……。
「撃てってことか?」
これも全解析が見せているのか。だとしたら何か意味があるんだろうが……彼女に直接当てる訳でもなく、なんの効果があるんだ?
「んー……まあ、最悪やり直せるんだよな?」
信じるからな、ロード機能と全解析よ。
「──火球!」
MPの込め方とやらは知らないから、とりあえず適当に唱えてみる。
目の前に火の玉が現れ、俺の頭と同じくらいの大きさまで成長すると、周囲に陽炎を残していた。
少しの時間を置き、俺の近くから放たれた火球はさっきのレティクルの下へと真っ直ぐ飛んで行ったのである。
「名前は初期魔法みたいなくせして、すごい威力だな」
どぉん‼︎ と鳴り響く轟音と共に、驚いた表情のマーラを爆煙が包み込んだのだ。
「なあ、なんで嘘なんかついてた? 理由次第じゃ、俺たちが戦う理由なんてないだろ」
「君が戦うって言ったんじゃない。別に、隠した方が都合がいいと思っただけ。嘘なんてつきたい訳じゃないよ、私だって」
別に戦うなんて言った覚えはないんだが。どういう勘違いからそうなった? まあ言ってても仕方ないか……。
「嘘つくつもりがないなら、本当のことを話してくれ。助けになれるなら俺だって助けたいんだ」
「……もういい。勝負をつけましょ」
「おい!」
マーラは腰に下げていた短剣を取り出して、胸元で構えた。……武器あるのかよ。
しかし、聞く耳も持ってくれそうにないし、戦うしかないのだろうか。全く勝てる気がしないんだが。
「ん?」
視界に映る互いのHPがふと気になった。俺のHPは、最初から少し上がっただけの、27。これはいい。問題はマーラの方だ。
さっきステータスを確認した時は100くらいあったはずだ。俺とどれだけレベル差あるんだよと、絶望させられたからな。
だが、戦闘に入ってからの彼女のHPは20しかない。これはどういうことだ?
瀕死までのHP……にしては、二割と言うのは少々少なすぎる。
仮に、意図的に手加減しているとしたらどうだ? ゲームならよくある、強キャラが序盤で出てきた時にステータスが低すぎる問題だ。
これなら納得できるが……何故今手加減する? 何か意味があるのか?
「本気でこないのか?」
完全に戦闘が始まった現状、彼女との会話が成立するのかは怪しいが……限りなくゲームに近い世界観ではあっても、ゲームの中じゃないなら会話くらいできるよな?
「……そのステータス見るスキル、気味が悪いね。そんなことまで分かるの? まあ、特に深い理由は無いけど。君相手に本気を出すまでも無いってだけ」
「さようですか」
まあ間違ってないんだろうが、なんか尺に触るな。
しかし会話してても埒が開きそうに無いな。どうする、本当に戦うのか?
弱点をついたとは言え、HP35のスライムが一撃だったんだ。俺の攻撃力でも、今みえている彼女のHPなら削り切れるんじゃ無いか?
しかし、その逆もまたしかり。もし倒せなければこっちも一撃でやられる可能性が大いにあるんだよな……。
──いや、待てよ?
「弱点、か」
「なに? 君程度がつけるほどの弱点なんて、私は持ち合わせていないよ」
んん~~……やっぱなんかムカつくんだよなぁぁ?
「それはこっちで決めさせてもらう」
スライムの時は確かこの辺に……ああ、あった!
『通常の人間と同じ。また、自分の目的を知る者の援助』
……また、よく分からない事が書かれているな。なんだよ、目的を知る者の援助、て。
自分から目的言わないのに、どうやってその目的を知るんだよ。
『マーラの目的──病床につく妹の治療。そのために必要な薬の材料となる、スライムの核の入手』
そんなことまで分かるのかよ。ほんと便利だな全解析。
病床の妹、か。ベタだな。だが、マーラが悪い人ではなさそうだと言うことは分かった。
しかし、これじゃ振り出しに戻っただけだ。肝心の核の入手法が分からないからな……。
そういえば、せっかく教わったのに試してなかったな。
「コマンド入力、魔法」
彼女の話が正しいなら、これで何かが出てくるらしいが……。
「あんなに私のこと疑っておいて、それ信じるんだ?」
「念のためだ。……やっぱなにも出ないじゃないか」
「私だって使えなかったっていったでしょ? あの人に似てるから、君ならもしかして? て思って話しただけだし」
教えてもらったってのも本当なのか? しかし、実際やってみて使えないなら、やっぱり騙されてるとしか……。
「しかしコマンドか」
やっぱりゲーム的すぎるよな……て、ん?
「なんだこれ」
何故か目の前にウィンドウ画面のようなものが現れた。
『コマンドを入力してください』
短い文章だが、もしこれがマーラの言ってた画面で、教わった言葉が真実だったなら──
「入力」
画面がほぼ空白になり、文字入力のような画面に……
「魔法」
『魔法のコマンドを解放しました。フラグの成立していた魔法の使用が可能になります』
「……まじか」
魔法のタグが書かれたウィンドウに、火球だけが表示されている。
集中して見てみると、説明のようなものが表示された。
『対象、あるいは照準を定め、火球と唱えると発動する。目標物、あるいは地点に向けて、込めたMPに応じた大きさの炎の球を放つ』
まあ、大体予想通りだな。
ふと、マーラの方へと視線を向けると、かなり不思議そうにこちらを眺めている様子が見える。
そして何故か、彼女の足元にFPSなんかでよく見る、レティクルのようなものと、その上に表示された火球の文字……。
「撃てってことか?」
これも全解析が見せているのか。だとしたら何か意味があるんだろうが……彼女に直接当てる訳でもなく、なんの効果があるんだ?
「んー……まあ、最悪やり直せるんだよな?」
信じるからな、ロード機能と全解析よ。
「──火球!」
MPの込め方とやらは知らないから、とりあえず適当に唱えてみる。
目の前に火の玉が現れ、俺の頭と同じくらいの大きさまで成長すると、周囲に陽炎を残していた。
少しの時間を置き、俺の近くから放たれた火球はさっきのレティクルの下へと真っ直ぐ飛んで行ったのである。
「名前は初期魔法みたいなくせして、すごい威力だな」
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