恋する乙女(ボク)が君の愛(こころ)に気づくまで

夜兎

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ボクたちにまさかの提案?

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 今日も今日とて、学校帰りの帰宅路に。
 修平くんと一緒に帰っているんだけど……

「なぜあなた方がいるんでしょうか?」

「俺にも教えてくれ。何で俺はこんなところにいる?」

 修平くんは当然として、充も一緒に下校。まあ、彼の家も同じ方角だから、そこまでは良いんだけど……。

「ふふふ。それはハルカが答えて差し上げるのです!」

「何で君までいるんだい!」

 何故か兎川さんまでついてきている。まあ大方、充を追いかけてきたんだろうけど、そもそも充がいる理由も分からないし。

「もぅ、エリー先輩は一々細かいことを気にしますね。いくら美人でも、そんなノリが悪いとモテませんよ~」

「余計なお世話だよ! ボクには凪くんがいるからいいんだ!」

 なんとなく敵対心のようなものを感じて、凪くんの腕にしがみついてしまった。こんな格好今までしたことないんだけど……。

「そもそも、愛理先輩はモテすぎなくらいですからね。自分が嫉妬してしまう程度には」

「修平くんまで何を言っているんだい!」

「ふ~ん。そーなんですかぁ? まあ、どっちでもいいですけどー」

 君が言い出したことだろう! 何で後輩にからかわれなきゃいけないんだ……。

「と、いうことで! ハルカと充先輩がこの場にいる訳ですが──!」

 わざわざ帰り道から外れてまで、ボク達についてきたんだ。よっぽど大事な用事があるのかな。  

「今度の日曜日に、ダブルデートのお誘いなのです!」

 だぶるでーと? 
 思わず呆けてしまったけど、充と修平くんも不思議そうにしている。ボクがおかしいんじゃないよね?

「なんですかぁ、三人とも? ハルカの天才的な提案に絶句しちゃってます? まあ仕方ないですよねー、ハルカも自分で驚いちゃってますからねー」

「ちなみに確認しておくが、誰と誰の話だ?」

「そんなの、ここにいる四人に決まってますよね? つまり、エリー先輩と凪さん。充先輩とハルカ、四人でのデートです!」

 へ? 充と兎川さんはそういう関係だったの? 
 本人は呆れたようにため息を漏らしているけれど……。

「ふざけるな。俺とお前はそんな関係じゃねぇだろうが。大体、そのダブルデートとやらの意図が分からん」

「意図なんてないですよぉ? 二人っきりのデートというのも楽しいと思いますが、大人数でのデートというのも、楽しくないですか? それに、ハルカと充先輩の関係はいずれ確たるものになりますから、デートの前借りです!」

「また意味のわからんことを……」

 二人は別に、そういう関係という訳ではないんだね? 良かった……良かった? 何が良かったんだろう、ボクは。

 大人数のデートか……少し気にはなるけれど、充は乗り気じゃないし、修平くんだって

「いいじゃないですか、進藤先輩。とても楽しそうですよ? デートが気に入らなければ、友達との遊びだと思って」

「しゅ、修平くん?」

 予想外だ。まさか凪くんが了承するなんて思わなかったよ。兎川さんもなんだか嬉しそうにしている……。

「友達ったってな……愛理だって嫌だろ?」

 なんでボクに振ってくるんだ! 
 ボクだって、デートなら凪くんと二人きりがいいさ。でも、その修平くんが乗り気になってしまっているんだ。
 ……それに、最近充とお出かけすることなんてなかったから、正直そこは少し楽しみな訳で。この前のカナメとのことも気になるんだ。

「……どうかな。それはそれで、ちょっと面白いかもしれないよ。新しい試みというやつだね」

「愛理……?」

 ごめんよ充……ボクもなんでこんなこと言ってるのか分かっていないんだよ。

「ほーら、修平さんもエリー先輩もいいって言ってるじゃないですかー。充先輩もいいですよねー?」

「いや俺は……」

 断って欲しいとも思うし、断って欲しくないとも思っている。ごめんよ、どうやらボクはどちらかを選ぶことはできそうにないよ。
 だから、そんな風に助けを求めるような視線は送らないでおくれ。

「充先輩、お願いしますぅ」

「きっと楽しいですよ、進藤先輩」

 自分で肯定しておいて言うのもおかしなはなしだけど、なんだか責められているみたいで充がかわいそうに見えてきたよ。

「あー……ったく! 分かったよ。今度の日曜だろ? 用事があるわけでもないし、行ってやるよ」

「本当ですか! やったー!」

 充が折れたことにも驚きだけど、兎川さんの喜びようにもびっくりだ。本当に充のことが大好きなんだね。

「それじゃそれじゃ、どこ行きます? どうします? なにしますか?」

 目を輝かせて訪ねてくるのだけど……もしかして、なにも考えてなかったのかい?

「お前が言い出したことなのに、なにも考えてなかったのか?」

「だってー、まさか充先輩がおーけーしてくれるなんて、思わないじゃないですかー! ダメ元で聞いたんで、もーびっくりですよ! ──あ! 今のでキャンセルとか、絶対ダメですからね!」

「……ドタキャンしてやろうか」

 うん。充に同情するよ。

「それでは、自分の家に来てみませんか? 色々と用意させていただきますよ」

「まじですか、凪さん! さすがに太っ腹ですね!」

 修平くんの、家? 見たこともない、初めての、凪くんのお家……。

「あ、えと……ボクは、いいと思う。凪くんの家見てみたい」

「すみませんね。初めてお招きするときは二人きりとも思ったんですが……せっかくなのでどうかなと思いまして。二人よりも抵抗は少ないと思いますし」

 確かに、修平くんとはいえ二人きりで彼の家というのは……この前のカナメのセリフを思い出してしまうね。

「まあ、俺はなんでもいいぞ。どこにだっていってやるよ」

「じゃあ、決まりですね! 凪さん、当日のこと、お願いしますね!」

 その後は他愛もない話をしながらの帰路。どうやら、兎川さんもこちら方面の人らしく、結局近くまで一緒に帰ることになってしまった。

 ……修平くんのお家か。どんなお家なんだろう。
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