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第4章
207.寮までの道のりとプレゼント。
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俺に抱きつこうとソワソワとしているアートのそばまで行く。
「おかえりなさい」
ボワッとした笑顔で俺にいい、そしてルルの方も見て優しく微笑んだ。
「ただいま、アート」
「アートさん、ただいまです」
「なに?ユキの従者?」
「そうだよ!」
「ハルもユキの従者だろ?」
「そうだよ」
「…ユキ従者多すぎない?」
「ちなみに俺の従者もユキの従者だよ」
「え?なにそれ…ユキってそんなに何も出来ないの?坊ちゃん過ぎない?王子とか?」
「どれもちがうよ。ただ、体が弱くて父さんが過保護すぎるだけ」
「…なるほどな」
考えれば確かに着きすぎだ。公爵家の子ではあるけど王子ではないし実子でも無い。贅沢なのかもしれない。
「……」
「ユキ?」
「…ん?」
「どうしたんですか?」
「いや、ただ、改めて考えても恵まれすぎてるなって」
ルルが心配そうに様子を伺ってくる。
「ユキが恵まれてるのは当たり前だよ!だってユキだもん!愛されてる結果なんだから気にする必要はこれっぽっちも、これ~~~っぽっっっちも!ないんだよ!」
「そうだよね…アミュ…アート」
アミュートの時のような調子で俺を慰めてくれるアート。
「ん?アートは生粋の従者ではないのか?」
「あー…僕の家族だよ。この学園に入学する時、着いてきてくれるために従者の勉強をしてくれたんだ」
「なるほど、だから何となく似てるのか!」
ケルが俺とアートの顔を見てそう言えば、アートはとても嬉しそうにしていて、しっぽと耳が見える(幻覚)ほどの笑顔を見せていた。
「なんか…こいつ犬っぽいな」
「でしょ!」
俺とアートの声が重なる。2人で顔を見合せ笑い合うが、主張が違うのでみんなには別の意味で笑われてしまった。
正門の前でいつまでも話していると邪魔だしなかなか帰れないので、寮へ向けて歩き始める。その時、アートは俺の荷物を気付かないうちに持っていてくれ、気付いてからお礼を伝えた。
第2寮の前へついてケルとは別れ、4人で第3寮へと向かう。少し離れた位置にある第3寮まで少し歩くが、4人で話しながら歩いていたらあっという間に到着した。
「着いたね~」
「着きましたね」
「夜ご飯、一緒に食べないか?」
「いーよー!」
「俺もいいよ」
「よし決まり~じゃ、また後でね~」
「あぁ」
そうしてマフィとエレベーター前で別れる。
「じゃ、ルル、アート、行こ」
「はい」
「は~い」
マフィがエレベーターで上がっていくのを見届けてから、俺達も隣のエレベーターに乗り込み、カードをかざして最上階まで行く。
部屋へ着けばマリエリが出迎えてくれた。
「おかえりなさい!」
「ただいま、マリエリ」
「マリエリさん、ただいまもどりました」
「父さんたちは?帰ったの?」
「そうですね。保護者が居れるのは入学式まででしたから」
「そうだったんだね……」
父さんたちは今日1日居るものだと思っていたから、入学式後あまり話さなかったのだ。すぐに移動があったので、あまり話せなかったとも言えるが……。どっちにしろ残念だ。
「あ、でもお祝いのプレゼントを受け取りましたよ!」
「ほんと?どんなの?」
「これです!」
プレゼントは花束とお手紙級に文字が詰まったメッセージカード、大きなぬいぐるみだった。
メッセージカードには“寂しくないように”と書いてあって、なんとも皆らしいプレゼントだなと嬉しくなった。
「おかえりなさい」
ボワッとした笑顔で俺にいい、そしてルルの方も見て優しく微笑んだ。
「ただいま、アート」
「アートさん、ただいまです」
「なに?ユキの従者?」
「そうだよ!」
「ハルもユキの従者だろ?」
「そうだよ」
「…ユキ従者多すぎない?」
「ちなみに俺の従者もユキの従者だよ」
「え?なにそれ…ユキってそんなに何も出来ないの?坊ちゃん過ぎない?王子とか?」
「どれもちがうよ。ただ、体が弱くて父さんが過保護すぎるだけ」
「…なるほどな」
考えれば確かに着きすぎだ。公爵家の子ではあるけど王子ではないし実子でも無い。贅沢なのかもしれない。
「……」
「ユキ?」
「…ん?」
「どうしたんですか?」
「いや、ただ、改めて考えても恵まれすぎてるなって」
ルルが心配そうに様子を伺ってくる。
「ユキが恵まれてるのは当たり前だよ!だってユキだもん!愛されてる結果なんだから気にする必要はこれっぽっちも、これ~~~っぽっっっちも!ないんだよ!」
「そうだよね…アミュ…アート」
アミュートの時のような調子で俺を慰めてくれるアート。
「ん?アートは生粋の従者ではないのか?」
「あー…僕の家族だよ。この学園に入学する時、着いてきてくれるために従者の勉強をしてくれたんだ」
「なるほど、だから何となく似てるのか!」
ケルが俺とアートの顔を見てそう言えば、アートはとても嬉しそうにしていて、しっぽと耳が見える(幻覚)ほどの笑顔を見せていた。
「なんか…こいつ犬っぽいな」
「でしょ!」
俺とアートの声が重なる。2人で顔を見合せ笑い合うが、主張が違うのでみんなには別の意味で笑われてしまった。
正門の前でいつまでも話していると邪魔だしなかなか帰れないので、寮へ向けて歩き始める。その時、アートは俺の荷物を気付かないうちに持っていてくれ、気付いてからお礼を伝えた。
第2寮の前へついてケルとは別れ、4人で第3寮へと向かう。少し離れた位置にある第3寮まで少し歩くが、4人で話しながら歩いていたらあっという間に到着した。
「着いたね~」
「着きましたね」
「夜ご飯、一緒に食べないか?」
「いーよー!」
「俺もいいよ」
「よし決まり~じゃ、また後でね~」
「あぁ」
そうしてマフィとエレベーター前で別れる。
「じゃ、ルル、アート、行こ」
「はい」
「は~い」
マフィがエレベーターで上がっていくのを見届けてから、俺達も隣のエレベーターに乗り込み、カードをかざして最上階まで行く。
部屋へ着けばマリエリが出迎えてくれた。
「おかえりなさい!」
「ただいま、マリエリ」
「マリエリさん、ただいまもどりました」
「父さんたちは?帰ったの?」
「そうですね。保護者が居れるのは入学式まででしたから」
「そうだったんだね……」
父さんたちは今日1日居るものだと思っていたから、入学式後あまり話さなかったのだ。すぐに移動があったので、あまり話せなかったとも言えるが……。どっちにしろ残念だ。
「あ、でもお祝いのプレゼントを受け取りましたよ!」
「ほんと?どんなの?」
「これです!」
プレゼントは花束とお手紙級に文字が詰まったメッセージカード、大きなぬいぐるみだった。
メッセージカードには“寂しくないように”と書いてあって、なんとも皆らしいプレゼントだなと嬉しくなった。
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