上 下
205 / 218
第4章

205.みんなの自己紹介

しおりを挟む
俺の番が来て、ガタッと椅子をならして緊張気味に立ち上がる。

「えっと…初めまして、僕はユキっていいます!楽器を演奏するのが大好きで、もふもふしたものもすきです。よろしくお願いします!」

俺の自己紹介中は、シーンとしていたのに、着席する頃はザワザワとみんながそれぞれ隣の席の子となにやら話を始めてしまった。

「ありがとう、ユキくん。次、お願いしてもいいかな?はーいみんな?静かにしてください」
「……俺はハルラルクっていいます。ユキさ……ユキ、の、そばにいるのが好きです。ユキはルルって呼びますが、こう呼んでいいのはユキだけなので、みんなは他の言い方ならなんでもいいので好きに呼んでください。よろしくお願いします」

ルルの自己紹介は何だか変だ。なんだ、俺のそばにいるのが好きって…。

「じゃあ、俺!俺のことはケルって呼んでくれ!好きなことや休日してることは特にない。気分で色んなことするから、特にこれといったものは無い。なんでもやるから、好きに誘ってくれると嬉しい、かな。これからよろしく!」

ケルの自己紹介は元気で楽しげな感じだった。特にこれといったものがないというのも、自由な感じがピッタリだ。

「俺、は、マフレリカ。好きに呼んでくれ。…趣味は……ない。勉強に明け暮れてた。よろしく」

なんだろうか……マフィの自己紹介は表情や声のトーンからも楽しくなさそうな感じが伝わってくるなんとも言えない複雑な気持ちになるものだった。

その後も数名ほど自己紹介が続く。

「では最後、お願いします。」
「はい、僕は、タケルです。趣味は…ぼーっとすることです」

ジャンケンで勝ったメガネの子が自己紹介をして着席をする。
タケル……タケル……タケル……
よし、考えるのを放棄しよう。タケルなんてどこにでもある名前じゃないか。第一顔も違うんだ。大丈夫。顔は違うし顔立ちも日本人じゃない。大丈夫。そもそもあの人だったら、日本人だったら、きっとケインが教えてくれたはずだ。

『ユキ?どうしたの?』
『んぇ?!』
『不安そうで助けを求めるような感情を飛ばしてきたでしょ?何かあった?』
『え、いや、ごめんなんにもないよ大丈夫』
『……もうすぐ帰るでしょ?話そうね』
『え、いや、ほんとに!ほんとに大丈夫だからね!』
『わかったから…帰ってくるの待ってるね』
『………うん』

大丈夫。本当に大丈夫なんだ。アミュートの声を聞いたら少しだけ、落ち着いた。本当に大丈夫なんだ。

「ユキ?どうしましたか?」
「え?んーん。アミュートと少し話してただけだよ」
「そうなんですか?」
「うん、帰ってくるの待ってるねって」
「そうですか」
「お前ら何話してんの?」

ルルが耳打ちしてきたので小声で会話をしていると、ケルが興味ありげに声をかけてくるが、なんでもないも言ってルルとの会話を終わらせた。









𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
昨日更新できなくてすみません……🙇‍♀️




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

処理中です...