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第4章
203.赤い髪の男の子。
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教室へ着く頃、ヘチャナ先生が忘れ物をしたので先に言ってて欲しいと言ってきて別れた。恐らく先生の配慮だと思う。いきなり先生と一緒に登場するのは如何なものかと俺も途中で気づいたが気にするのをやめていた。が、先生は気にしてくれていたのだと思う。
そうして俺たちはSクラスの扉を開け、中へ入る。
すると、ざわついていた教室がシーンと静まり返った。ただ教室に人が入ってきたから、と言うだけの反応にはおかしい。おそらく俺だ。
髪、今日は隠していない。隠す気もない。きっとこの髪の色がみんなからすれば変で、だからみんな自然と俺に意識が飛んで会話が止まったのだろう。
「おい、お前、その髪なんだ?」
すると俺達の前にズケズケとやってきた男の子が俺を指さしきいてくる。俺はまともに取り合う気は無い。だから──
「ん?なんだとは?髪の毛だよ?」
「分かるだろ?お前のその髪の色、なんだって聞いてんだよ」
「ん?白だよ?それが何?」
「おまっ…!」
「君の髪の色は素敵な赤だね。」
「…お、おう。俺は愛されてるからな」
煽るつもりが、相手の言葉にイラッとしてしまう。
「ふーん。で?なに?何が言いたいの?僕は愛されてないって?」
「だってそうだろう?白は赤ん坊と一緒だ。愛を与えられてはじめて色が着くと言われてるんだ。弟だって1歳までは白だったんだ。お前が白なのはつまりそういうことだろ。」
「ふーん。君、今幸せ?」
「え?」
「幸せ?」
「……幸せ、だ。幸せに決まってるだろ!」
「本当に?返しが遅かったけど、本当に?」
「……」
「僕はね、今すごく幸せだよ。沢山愛されてる。だからそんな1歳なんて物心もはっきりしてないような時期の愛云々を言われても、正直どうでもいいんだよね。今、すっごく愛されてるし。」
自信を持って口にできるほどに俺は今愛されていると自覚している。俺にとっての1歳の時期は前世のことで、物心もはっきりしてるし、未だにトラウマになっていて記憶は消えていないし克服もしていない。でも、今、そんな前世のことなんてきっかけがない限り気にならないほど幸せだ。
「……」
「弟がいるって言ってたよね。親は弟ばかり可愛がってる感じ?それとも、いかにも貴族然としてるから貴族なんでしょ?だから男の子、とかでプレッシャーかけられてるとか?」
「……」
図星なのか彼の表情は曇っていき、何も答えず顔が下がっていく。
「親からの愛、感じる?」
「……か、感じる。感じてる。」
「本当に?言い方的に言い聞かせてる感じがするんだけど」
「……今日だって、母様が来てくれてた」
「お父さんは?」
「………」
「来てないの?」
「首席じゃなかった俺が悪い……」
なるほど。やっぱりそういう感じか。なんか、やだな……でも
「首席じゃないからってどうして来ないの?怒ってるの?」
「……多分。で、でも、Sクラスだったからきっと褒めてくださる」
本当にそうだろうか…。あの人は、褒めてはくれなかったけれど。きっとあの人と同じタイプと思われる彼のお父さんは本当に褒めてくれるだろうか…。
「……やっぱり、俺は今幸せじゃない。嬉しくないんだ。全然。たがら……悪かった。よかったな、今、幸せで……」
「………うん、そうだね………」
彼が寂しそうに、悲しそうに俺に微笑みを見せる。いくらイラッとしたからとはいえ、流石に罪悪感を感じる。それに、彼の親は、父は、あの人と同じような人なようで、そういう所にももやもやが募る。かといってここでごめんと謝るのは違うはずだ。
「…ねぇ、君。名前、聞いてもいい?」
そうして俺たちはSクラスの扉を開け、中へ入る。
すると、ざわついていた教室がシーンと静まり返った。ただ教室に人が入ってきたから、と言うだけの反応にはおかしい。おそらく俺だ。
髪、今日は隠していない。隠す気もない。きっとこの髪の色がみんなからすれば変で、だからみんな自然と俺に意識が飛んで会話が止まったのだろう。
「おい、お前、その髪なんだ?」
すると俺達の前にズケズケとやってきた男の子が俺を指さしきいてくる。俺はまともに取り合う気は無い。だから──
「ん?なんだとは?髪の毛だよ?」
「分かるだろ?お前のその髪の色、なんだって聞いてんだよ」
「ん?白だよ?それが何?」
「おまっ…!」
「君の髪の色は素敵な赤だね。」
「…お、おう。俺は愛されてるからな」
煽るつもりが、相手の言葉にイラッとしてしまう。
「ふーん。で?なに?何が言いたいの?僕は愛されてないって?」
「だってそうだろう?白は赤ん坊と一緒だ。愛を与えられてはじめて色が着くと言われてるんだ。弟だって1歳までは白だったんだ。お前が白なのはつまりそういうことだろ。」
「ふーん。君、今幸せ?」
「え?」
「幸せ?」
「……幸せ、だ。幸せに決まってるだろ!」
「本当に?返しが遅かったけど、本当に?」
「……」
「僕はね、今すごく幸せだよ。沢山愛されてる。だからそんな1歳なんて物心もはっきりしてないような時期の愛云々を言われても、正直どうでもいいんだよね。今、すっごく愛されてるし。」
自信を持って口にできるほどに俺は今愛されていると自覚している。俺にとっての1歳の時期は前世のことで、物心もはっきりしてるし、未だにトラウマになっていて記憶は消えていないし克服もしていない。でも、今、そんな前世のことなんてきっかけがない限り気にならないほど幸せだ。
「……」
「弟がいるって言ってたよね。親は弟ばかり可愛がってる感じ?それとも、いかにも貴族然としてるから貴族なんでしょ?だから男の子、とかでプレッシャーかけられてるとか?」
「……」
図星なのか彼の表情は曇っていき、何も答えず顔が下がっていく。
「親からの愛、感じる?」
「……か、感じる。感じてる。」
「本当に?言い方的に言い聞かせてる感じがするんだけど」
「……今日だって、母様が来てくれてた」
「お父さんは?」
「………」
「来てないの?」
「首席じゃなかった俺が悪い……」
なるほど。やっぱりそういう感じか。なんか、やだな……でも
「首席じゃないからってどうして来ないの?怒ってるの?」
「……多分。で、でも、Sクラスだったからきっと褒めてくださる」
本当にそうだろうか…。あの人は、褒めてはくれなかったけれど。きっとあの人と同じタイプと思われる彼のお父さんは本当に褒めてくれるだろうか…。
「……やっぱり、俺は今幸せじゃない。嬉しくないんだ。全然。たがら……悪かった。よかったな、今、幸せで……」
「………うん、そうだね………」
彼が寂しそうに、悲しそうに俺に微笑みを見せる。いくらイラッとしたからとはいえ、流石に罪悪感を感じる。それに、彼の親は、父は、あの人と同じような人なようで、そういう所にももやもやが募る。かといってここでごめんと謝るのは違うはずだ。
「…ねぇ、君。名前、聞いてもいい?」
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