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第4章

201.お花摘み学園長と入学式。

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壇上に先生が現れ、ザワついていた空間がシーンと静まり返り、緊張感が漂う。もちろん、先程まで話していた俺達も静かにし、まるで場に飲まれるように緊張し始め、姿勢を正す。

「えっと……あー……入学式を始めようと思うのですが、学園長が少々……お花をつみに姿を消したので、もう少し楽にしていてください。」

そう言ってオドオドとした女性は、気まずそうな顔でオドオドと控えめにお辞儀をして去っていった。
その女性が去っていけばシーンと静まり返っていた空間が、先程よりも酷くざわつき始めた。

「え、なに、どういうこと?」
「遅れるだけでしょうか?」
「お花を積みに消えたって何…」
「それわざわざ言う必要あるのか?」
「俺もお花摘み行きたい…」
「それは知らねぇよ」
「…さっきの緊張返して欲しいわ」

周りにいる子達の会話が聞こえてくる。

「ユキ、お前もお花摘み行ってくるか?クスクス」
「僕はいいよ!そんなこと言うケルは?行かなくていいの?クスクス」
「俺も大丈夫だ!つか、面白いな、お花摘みにって…」
「でも、なんだか慌ただしい雰囲気だったし、もしかしたら違うんじゃないか?」
「そうなの?」
「はい、先程までなんだか教員が忙しそうな感じでし…だったよ…?」
「クスクス…そうなんだね」

必死に敬語をやめようとして少し変な感じになっているルル。
それよりも、学園長が消えたということだろうか?消えたと言っていたし。
そう思っていると今度は騒がしかった場所に綺麗な楽器の演奏が流れてきて、照明が少しずつ落ちていく。
ぼんやりとした光しか無くなった会場は、更に騒がしくなるが、綺麗な音色のおかげなのか少しずつ静かになっていく。

始まるのか?と思い、それぞれが居住まいを正す。

そんな椅子の音がガタガタと聞こえだし、1度聞いたことのある声が聞こえてくる。

「えーすみませんでした。学園長が戻ってきたので、突然ですが式を始めます。」

先程の女性の声だった。
それから、少し遅れた入学式が始まる。お花を積みに消えていた学園長による長ったらしいお話や、生徒会長のお話を聞き、ルルのお話が始まる。

本来なら首席だった俺が新入生代表の挨拶をするはずだったのだが、非常にやりたくなかった為、次席のルルが代わりにやってくれることとなったのだ。

ルルの新入生代表の挨拶はとても堂々としていてかっこよかった。
その後もう一度学園長の眠気を誘うお話があり、暫くして漸く入学式という睡魔を誘う儀式が終了した。












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