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第3章

190.学校見学。

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「ユキ、楽しみだね」
「そうだね~」

準備を終えた俺たちは学園へ向かうべく馬車に乗っている。アミュートは俺を膝の上に乗せ、後ろから俺を抱きしめて馬車に揺られている。前には父さんとライさんが座っていて、ガイさんは護衛として、馬車の外で馬に乗って着いてきている。馬車に乗れないことを悔しそうにしていたが、護衛かっこいい、と俺がいえばすぐに機嫌が戻ってやる気満々になっていた。

俺とアミュートの楽しげな様子に、父さんやライさんはほのぼのとした表情をしながら、どこか悔しそうな様子で、可哀想なので俺がたまに話に加えてあげた。



そうして馬車に揺られていると、漸く到着したようで馬車が止まる。
馬車からおり、お馬さんにお礼を言って、辺りを見渡す。

すると、とても大きくてかっこいい建物が聳え立っていた。

「ユキ、おおきいねぇ!!」
「ねぇ~~!!」
「ここがユキの通う予定のヘスラル学園だ。」
「大きいでしょ?王城よりは小さいけど、かなり大きいんだよ。」
「敷地も広く、色んな施設が併設されているしな」
「「!!」」

父さんとライさんの説明に俺とアミュートは顔を見合せ、わくわくとした興奮を共有した。

そうこうしていると、門がゆっくりと開き、中から先生と思しき女性が出てきて軽くお辞儀をした。

「本日見学予約のアクリアパート様御一行ですね?」
「あぁ」
「ではそちらの方がご入学予定の、ユキ様ですね?」
「そうだ。ユキ」
「はい!」

父さんに言われアミュートに降ろしてもらうようにお願いして降ろしてもらう。
髪色が珍しい俺は帽子で髪を隠していて顔が少し隠れているため、帽子を脱いで挨拶をしようとすると父さんにそっと脱ぐことを阻止され、首を振られた。

どうやら帽子は取るなということらしい。
入学してからも帽子を被らなければならないのでは?と、不安になるがここで変に目立つことを懸念しているのだろうと納得し、諦めて帽子をかぶったまま未だ拙い口調で元気よく自己紹介と挨拶を済ませる。

「おはつにおめにかかります、ユキ・アクリアパートです!ぼうしをかぶったままで失礼します。ほんじつは、よろしくおねがいいたします!」
「…!! …ゴホン もう上手にご挨拶ができるのですね!こんにちは、ユキくんとお呼びしても?」
「はい!」
「では、ユキくん。こちらこそ、本日はよろしくお願いします。ヘチャナと申します今日は楽しんで、この学園を好きになって帰って貰えるようつとめますね!」

俺の満開の笑顔での挨拶に一瞬たじろいだが、すぐに俺に目線を合わせるようにしゃがみ、親しみやすい笑顔を俺に向けてくれたヘチャナさん。元気のいいはつらつとした笑顔は、良いお天気なこともあり眩しい。
こういう先生のいる場所だと、なんだか楽しみになるものだ。














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