髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第3章

170.勇気と説明。

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アミュートに包まれ、ケインの入っているリスくんを抱きしめ、集まるみんなにベットの上から向き合った。

ドキドキと早い鼓動、浅い呼吸。初めの言葉が紡げない。

「あ、あにょ……ね……………えっちょ………」

上げたはずの顔はいつ間にかリスくんに埋もれていた。

『頑張るのじゃ……!』
『う、うん!』

バッ!覚悟を決めて顔を上げる。

「あにょね!みんにゃあちゅまっちぇくりぇちぇありあちょう!」

覚悟を決めたというのに、緊張から以前のようにほとんどの言葉を噛んでしまった。
父様達は、俺の様子に心配の色を見せるが、じっと俺の話を聞く体制で待ってくれている。
いつもの父様たちなら、体調の良くない俺にすぐに駆け寄り布団の中へはいるように言うだろう。だけど、2日間、部屋にこもっていたのには理由があって、その理由を話すと言ったから、待ってくれている。
あぁ、揺らぐ。このまま、何も無かった振りをして、心の奥に不安を隠して、今まで通り暮らしたい。

『ユキ、がんばって』

ペロッと頬をアミュートに舐められ涙を流していることに気づく。もう、挫けそう。怖い。

『ユキ、ちょ、苦しい……が、頑張るのじゃ…絞め殺されそうじゃが、構わん!頑張るのじゃ!』
『あ、え、あ、ごめん……』

危うくケインを絞め殺すところだった。
でも、少し、緊張が、ほぐ、れた。

「ぼくね、あにょね、こにょまえ、じゅぎょう、だったれしょ」

「しょにょちょきね………しょにょちょき……」
『ぐえっ!』
『ごめん!!』
『すまん気にするな…続けるのじゃ』

「……かていきょうしのひと、きらい!!」

何があったのかをすっ飛ばして、感情だけを述べてしまった。

「…何かあったのか?ユキは少しずつ慣れていってただろ?」
「あ、えっちょ……」
「うん」

そばに歩み寄るべきか悩んだ末、俺のいるベッドとみんなの座っているソファーの間に立ち尽くした父様が、そのまま頷いた。

「あにょへんたい、いたいことしちぇくりゅかりゃ…」
「え、変態?」

あ、名前、忘れた…なんだっけ…

「かていきょうしちょひちょ…」

俺が家庭教師の人と呟けば、みんながざわつき始めた。

「まさかっ……!嘘でしょ………」
「変態……痛いことするって……言ったわよね?」
「………確かにそう聞こえたな…」
「嘘だろ……まじか……変態……なにっ、されたんだよ……!!」
「アイツっっ!!!!」

ガイさんが俺に詰め寄り、父様は間で怒りに振るえていた。

「え、あ……えっちょ……」
「あ、わるい…驚かせた…」
「んーん……」
「で、なにされた?!痛いことってなんだ?!言えないようなことか?!いかがわっ……わるい……」

イカ側?

「おしり、ぺんぺん……」
「え…?」
「てしゅと、てん、わりゅかっちゃにょ、しょしちゃりゃ、いやれたくにゃかっちゃら、たたかせろって……にらんだら、かわいいねって……」

ゾワッ
思い出したら鳥肌が……

「テストの点が悪くて、怒られたってことか?」
「てすと、やってにゃいはんい……とうしゃまたちには、そこまでやったっていってるからきらわれるなって……」
「はぁ?!」

ビクッ
あ、やっぱり、怒ってる。点が悪いから…言われてた範囲まで進んでないから…テストの点が悪かったくせに言い訳みたいなこと言ってるから…あぁ、むり…も、むり……











𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
遅れてしまって申し訳ないです…



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