153 / 218
第3章
153.変わる雰囲気とグレーのオーラ。
しおりを挟む
4枚目はなんとか復習していた範囲だった為、解くことが出来たが、5枚目からは未知の範囲だった。
そこで、あと何枚あるのだろうかと数えれば残り6枚で、合計10枚の問題集であることに今更気づき、心がザワザワした。
先生に目をやれば、本を読んでいてこちらを一切見ていなかった。
しかし先生の体からはぼやっとした薄いグレーのオーラが出ていて、思わず口元を覆い先生から目が離せなくなってしまった。
手元から離れたペンは机の上をコロコロと転がり、床へと音を立てて落ちた。
その音を聞き、先生は俺に冷たい目で俺に微笑みを向けた。
「坊ちゃん?どうしましたか?テスト中でしょ?」
「あ、や、ごめんなさい…」
「はぁ…まったく、仕方がないですね。ほら、どうぞ、続きをしてください。」
「はい……」
先生は俺の落としたペンを拾い、俺の手を掴み、ぎゅっと持たせた。
触れられた手から全身に伝播する嫌悪感。
今すぐ拭いたい。ここから離れたい。そんな思いで手に向いた視線を動かすことが出来なかった。
「返事だけですか?はやく、解いてください」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい?私は謝罪を求めている訳ではありませんよ。ほら、早く」
「はい」
いつもと違う雰囲気。口調。
その雰囲気や口調が、前世の家庭教師を彷彿とさせ、嫌な汗が止まらない。
しかし、どうにもならないため、何とか問題を解くのを再開する。
分からない問題はとりあえず空欄で、わかる問題を探し解いていく。今まで沢山本を読んでいたことから、何となくわかる問題が思っていたよりもあり、それなりに解くことが出来たがもう分かるところはなくなってしまい、空欄の所を眺めることしか出来なくなってしまった。
考えて何となくで書くことが出来るような問題じゃない。俺が先生…ジャーナさんから受けていた授業は歴史や魔法の座学、貴族のマナーなどだった。
貴族のマナーの問題はまだ習っていないことでも何となく想像で書くことが出来た。当たっているかどうかは別として、埋めることは出来たのだ。
しかし、歴史や魔法の事は授業で習ったことや今まで本で読んだ知識を出し切ってしまうとあとはもうどうすることも出来ない。
ひたすら問題を眺め、なにか書けるようなことが思いつかないかな…と考えをめぐらしていると、ジャーナさんから冷たい声がかけられた。
「手が動いていませんね。」
顔をあげれば、無表情だが瞳の奥に喜びのよな色を宿したジャーナさんの顔があった。
「ご、ごめんなさ…」
「ごめんなさいはもう既に沢山聞きました。それ以外に何か言うことは無いのですか?」
「……」
「黙ってたって何も分かりませんよ?はぁ……見つめていたら問題が解けるのですか?」
「いいえ」
「ですよね?だったらなぜ私に言わないのですか?」
「なにか、うめたくて…」
「そうですか。でしたら埋まるまで眺めていますか?」
「いいえ」
「ではいつまで眺めているつもりだったのですか?」
「それは…」
初めから、何時までに解きなさいと言われていなかったことを思い出し、答えに詰まる。
「はぁ…とりあえず見せなさい。」
中身を確認し、採点していくジャーナさんの手をじっと見つめ続けることしか出来なかった。
そこで、あと何枚あるのだろうかと数えれば残り6枚で、合計10枚の問題集であることに今更気づき、心がザワザワした。
先生に目をやれば、本を読んでいてこちらを一切見ていなかった。
しかし先生の体からはぼやっとした薄いグレーのオーラが出ていて、思わず口元を覆い先生から目が離せなくなってしまった。
手元から離れたペンは机の上をコロコロと転がり、床へと音を立てて落ちた。
その音を聞き、先生は俺に冷たい目で俺に微笑みを向けた。
「坊ちゃん?どうしましたか?テスト中でしょ?」
「あ、や、ごめんなさい…」
「はぁ…まったく、仕方がないですね。ほら、どうぞ、続きをしてください。」
「はい……」
先生は俺の落としたペンを拾い、俺の手を掴み、ぎゅっと持たせた。
触れられた手から全身に伝播する嫌悪感。
今すぐ拭いたい。ここから離れたい。そんな思いで手に向いた視線を動かすことが出来なかった。
「返事だけですか?はやく、解いてください」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい?私は謝罪を求めている訳ではありませんよ。ほら、早く」
「はい」
いつもと違う雰囲気。口調。
その雰囲気や口調が、前世の家庭教師を彷彿とさせ、嫌な汗が止まらない。
しかし、どうにもならないため、何とか問題を解くのを再開する。
分からない問題はとりあえず空欄で、わかる問題を探し解いていく。今まで沢山本を読んでいたことから、何となくわかる問題が思っていたよりもあり、それなりに解くことが出来たがもう分かるところはなくなってしまい、空欄の所を眺めることしか出来なくなってしまった。
考えて何となくで書くことが出来るような問題じゃない。俺が先生…ジャーナさんから受けていた授業は歴史や魔法の座学、貴族のマナーなどだった。
貴族のマナーの問題はまだ習っていないことでも何となく想像で書くことが出来た。当たっているかどうかは別として、埋めることは出来たのだ。
しかし、歴史や魔法の事は授業で習ったことや今まで本で読んだ知識を出し切ってしまうとあとはもうどうすることも出来ない。
ひたすら問題を眺め、なにか書けるようなことが思いつかないかな…と考えをめぐらしていると、ジャーナさんから冷たい声がかけられた。
「手が動いていませんね。」
顔をあげれば、無表情だが瞳の奥に喜びのよな色を宿したジャーナさんの顔があった。
「ご、ごめんなさ…」
「ごめんなさいはもう既に沢山聞きました。それ以外に何か言うことは無いのですか?」
「……」
「黙ってたって何も分かりませんよ?はぁ……見つめていたら問題が解けるのですか?」
「いいえ」
「ですよね?だったらなぜ私に言わないのですか?」
「なにか、うめたくて…」
「そうですか。でしたら埋まるまで眺めていますか?」
「いいえ」
「ではいつまで眺めているつもりだったのですか?」
「それは…」
初めから、何時までに解きなさいと言われていなかったことを思い出し、答えに詰まる。
「はぁ…とりあえず見せなさい。」
中身を確認し、採点していくジャーナさんの手をじっと見つめ続けることしか出来なかった。
41
お気に入りに追加
927
あなたにおすすめの小説
簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~
Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪
第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪
◇ ◇ ◇
婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。
【一章】婚約者編
【二章】幼馴染の護衛騎士編
【閑話】お兄様視点
【三章】第二王子殿下編
【閑話】聖女視点(ざまぁ展開)
【四章】森でスローライフ
【閑話】彼らの今
【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)
主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。
スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。
スローライフの相棒は、もふもふ。
各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。
◇ ◇ ◇
【あらすじ】
平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。
聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。
主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。
そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。
良好だった関係は、徐々に崩れていく。
婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。
自分の身は自分で守れるわ。
主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。
※ちょっと男性陣が可哀想かも
※設定ふんわり
※ご都合主義
※独自設定あり
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました

エリアスとドラゴンともふもふは、今日も元気に遊んでいます!?
ありぽん
ファンタジー
アルフォート家の3男、エリアス・アルフォート3歳は、毎日楽しく屋敷の広い広い庭を、お友達のぷるちゃん(スライム)とウルちゃん(ホワイトウルフ)と一緒に走り回っておりました。
そして4歳の誕生日の日。この日は庭でエリアスの誕生日パーティーが開かれていました。その時何処からかエリアスの事を呼ぶ声が。その声を前に聞いた事があるエリアスは、声のする庭の奥へ、ぷるちゃんとウルちゃんと3人進んで行きます。そこでエリアス達を待っていたものは?
剣と魔法そしてもふもふの溢れる世界で、繰り広げられるエリアスの大冒険。周りを巻き込みながら、今日もエリアスはやらかします!
*エリアス本人登場は2話からとなります。

悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる