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第3章
153.変わる雰囲気とグレーのオーラ。
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4枚目はなんとか復習していた範囲だった為、解くことが出来たが、5枚目からは未知の範囲だった。
そこで、あと何枚あるのだろうかと数えれば残り6枚で、合計10枚の問題集であることに今更気づき、心がザワザワした。
先生に目をやれば、本を読んでいてこちらを一切見ていなかった。
しかし先生の体からはぼやっとした薄いグレーのオーラが出ていて、思わず口元を覆い先生から目が離せなくなってしまった。
手元から離れたペンは机の上をコロコロと転がり、床へと音を立てて落ちた。
その音を聞き、先生は俺に冷たい目で俺に微笑みを向けた。
「坊ちゃん?どうしましたか?テスト中でしょ?」
「あ、や、ごめんなさい…」
「はぁ…まったく、仕方がないですね。ほら、どうぞ、続きをしてください。」
「はい……」
先生は俺の落としたペンを拾い、俺の手を掴み、ぎゅっと持たせた。
触れられた手から全身に伝播する嫌悪感。
今すぐ拭いたい。ここから離れたい。そんな思いで手に向いた視線を動かすことが出来なかった。
「返事だけですか?はやく、解いてください」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい?私は謝罪を求めている訳ではありませんよ。ほら、早く」
「はい」
いつもと違う雰囲気。口調。
その雰囲気や口調が、前世の家庭教師を彷彿とさせ、嫌な汗が止まらない。
しかし、どうにもならないため、何とか問題を解くのを再開する。
分からない問題はとりあえず空欄で、わかる問題を探し解いていく。今まで沢山本を読んでいたことから、何となくわかる問題が思っていたよりもあり、それなりに解くことが出来たがもう分かるところはなくなってしまい、空欄の所を眺めることしか出来なくなってしまった。
考えて何となくで書くことが出来るような問題じゃない。俺が先生…ジャーナさんから受けていた授業は歴史や魔法の座学、貴族のマナーなどだった。
貴族のマナーの問題はまだ習っていないことでも何となく想像で書くことが出来た。当たっているかどうかは別として、埋めることは出来たのだ。
しかし、歴史や魔法の事は授業で習ったことや今まで本で読んだ知識を出し切ってしまうとあとはもうどうすることも出来ない。
ひたすら問題を眺め、なにか書けるようなことが思いつかないかな…と考えをめぐらしていると、ジャーナさんから冷たい声がかけられた。
「手が動いていませんね。」
顔をあげれば、無表情だが瞳の奥に喜びのよな色を宿したジャーナさんの顔があった。
「ご、ごめんなさ…」
「ごめんなさいはもう既に沢山聞きました。それ以外に何か言うことは無いのですか?」
「……」
「黙ってたって何も分かりませんよ?はぁ……見つめていたら問題が解けるのですか?」
「いいえ」
「ですよね?だったらなぜ私に言わないのですか?」
「なにか、うめたくて…」
「そうですか。でしたら埋まるまで眺めていますか?」
「いいえ」
「ではいつまで眺めているつもりだったのですか?」
「それは…」
初めから、何時までに解きなさいと言われていなかったことを思い出し、答えに詰まる。
「はぁ…とりあえず見せなさい。」
中身を確認し、採点していくジャーナさんの手をじっと見つめ続けることしか出来なかった。
そこで、あと何枚あるのだろうかと数えれば残り6枚で、合計10枚の問題集であることに今更気づき、心がザワザワした。
先生に目をやれば、本を読んでいてこちらを一切見ていなかった。
しかし先生の体からはぼやっとした薄いグレーのオーラが出ていて、思わず口元を覆い先生から目が離せなくなってしまった。
手元から離れたペンは机の上をコロコロと転がり、床へと音を立てて落ちた。
その音を聞き、先生は俺に冷たい目で俺に微笑みを向けた。
「坊ちゃん?どうしましたか?テスト中でしょ?」
「あ、や、ごめんなさい…」
「はぁ…まったく、仕方がないですね。ほら、どうぞ、続きをしてください。」
「はい……」
先生は俺の落としたペンを拾い、俺の手を掴み、ぎゅっと持たせた。
触れられた手から全身に伝播する嫌悪感。
今すぐ拭いたい。ここから離れたい。そんな思いで手に向いた視線を動かすことが出来なかった。
「返事だけですか?はやく、解いてください」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい?私は謝罪を求めている訳ではありませんよ。ほら、早く」
「はい」
いつもと違う雰囲気。口調。
その雰囲気や口調が、前世の家庭教師を彷彿とさせ、嫌な汗が止まらない。
しかし、どうにもならないため、何とか問題を解くのを再開する。
分からない問題はとりあえず空欄で、わかる問題を探し解いていく。今まで沢山本を読んでいたことから、何となくわかる問題が思っていたよりもあり、それなりに解くことが出来たがもう分かるところはなくなってしまい、空欄の所を眺めることしか出来なくなってしまった。
考えて何となくで書くことが出来るような問題じゃない。俺が先生…ジャーナさんから受けていた授業は歴史や魔法の座学、貴族のマナーなどだった。
貴族のマナーの問題はまだ習っていないことでも何となく想像で書くことが出来た。当たっているかどうかは別として、埋めることは出来たのだ。
しかし、歴史や魔法の事は授業で習ったことや今まで本で読んだ知識を出し切ってしまうとあとはもうどうすることも出来ない。
ひたすら問題を眺め、なにか書けるようなことが思いつかないかな…と考えをめぐらしていると、ジャーナさんから冷たい声がかけられた。
「手が動いていませんね。」
顔をあげれば、無表情だが瞳の奥に喜びのよな色を宿したジャーナさんの顔があった。
「ご、ごめんなさ…」
「ごめんなさいはもう既に沢山聞きました。それ以外に何か言うことは無いのですか?」
「……」
「黙ってたって何も分かりませんよ?はぁ……見つめていたら問題が解けるのですか?」
「いいえ」
「ですよね?だったらなぜ私に言わないのですか?」
「なにか、うめたくて…」
「そうですか。でしたら埋まるまで眺めていますか?」
「いいえ」
「ではいつまで眺めているつもりだったのですか?」
「それは…」
初めから、何時までに解きなさいと言われていなかったことを思い出し、答えに詰まる。
「はぁ…とりあえず見せなさい。」
中身を確認し、採点していくジャーナさんの手をじっと見つめ続けることしか出来なかった。
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