148 / 218
第3章
148.少し背の高い男の子。
しおりを挟む
アミュートのふくらはぎの毛をある程度整えたところで、朝食を食べに行き、食堂に既に集まっている人達に遅くなったことと、昨日パーティーを中止させたことを謝った。
「大丈夫よ。それより、体調はもう大丈夫?」
「ん…だいじょ~ぶ…でもまだおひらきじゃ、なかったのに…」
「昨日は楽しかった?」
「うん。とっても」
「そう。ならそれで私達は充分よ」
「ありがと、おばあちゃん」
ドアの近くで謝っていた俺におばあちゃんが近づいてきてくれて、大丈夫よと言いながらテーブルのところまで連れていってくれた。
他のみんなも気にするなと言ってくれて、父様に至っては続きをやりたいならまた改めてやろうとまで言ってくれた。
さすがにそれは手間になるので申し訳なく、お断りした。昨日はケーキも食べ始めてたし、十分に楽しんだからだ。
「あ、そうだユキ」
「なぁに?」
「前に言ってただろう?…本当は昨日紹介するはずだったんだが、今、連れてきてもいいか?それともご飯後にしようか」
「食後の方がいいんじゃないか?時間も取れるし」
「そうね、そうしたらどうかしら?ノア」
「…そうだな。ユキ、わるい。後で談話室に行って紹介するな」
「???………わ、わかった!」
話が見えないが、多分、あの子だ。見習いになるって言ってた子。
昨日から着くと言っていたがまだ紹介されていないし、多分そう。
俺が倒れたから彼の自己紹介のタイミングを奪ってしまうのではと思っていたが、紹介してくれるなら多分そのタイミングは奪っていなかったということだろう。まぁ少しだけタイミングを変えてしまったのは申し訳ない。
その後、朝食を軽く談笑しながら食べ終え、談話室へと向かうと、そこには俺より少しだけ大きい男の子がおじいちゃんの執事のカルマさんに手を繋がれ緊張した様子で立っていた。
「お、こ、お、おはようございます!ハルラルクと申しまっす!!」
男の子は、カルマさんに促されてハルラルクと名乗った。初めの噛み噛みしている時に入った“こ”はなんだったのか…。少し疑問だが恐らく“こんにちは”と言うべきか“おはようございます”と言うべきかで迷ったか、テンパって混じってしまっただけだろうとおもう。そういう所可愛らしいなと思う。そして最後の最後で少し詰まって、元気な感じになってしまっているのもとても可愛らしい。
ハルラルクは5歳という俺と同い歳なのだが、少し俺より背が高いことが悔しい。しかし、顔は5歳児らしくあどけない可愛らしい顔をしていて、どことなくカルマさんにも似ていた。少しだけタレぎみで優しげな輪郭の目が特に似ていた。
「あ、ぼくは、ユキでしゅ!よろしくね?」
「しって…存じてます!こちらこそよろしくお願いいたします!」
俺の様子を伺いモジモジしていたハルラルクに俺も軽くなのって挨拶をすれば、嬉しそうにしながら返事をしてくれて和む。言葉遣いを訂正したあと不安げで、しかし褒めてほしそうに祖父であるカルマさんをもじっと見上げるその仕草が可愛いしこれもまた和む。
一生懸命を全身で表わしているようなその様子に、子供ってやっぱり可愛いよな~と改めて感じて、父様やガイさんライさんからのベタベタスリスリハグハグ攻撃もすこしだけなら許してあげようかなと思った。ほんの少しだけ。
それから、ハルラルクの事をあだ名で呼んでもいいか確認し、許可を得てから沢山考えた。
「大丈夫よ。それより、体調はもう大丈夫?」
「ん…だいじょ~ぶ…でもまだおひらきじゃ、なかったのに…」
「昨日は楽しかった?」
「うん。とっても」
「そう。ならそれで私達は充分よ」
「ありがと、おばあちゃん」
ドアの近くで謝っていた俺におばあちゃんが近づいてきてくれて、大丈夫よと言いながらテーブルのところまで連れていってくれた。
他のみんなも気にするなと言ってくれて、父様に至っては続きをやりたいならまた改めてやろうとまで言ってくれた。
さすがにそれは手間になるので申し訳なく、お断りした。昨日はケーキも食べ始めてたし、十分に楽しんだからだ。
「あ、そうだユキ」
「なぁに?」
「前に言ってただろう?…本当は昨日紹介するはずだったんだが、今、連れてきてもいいか?それともご飯後にしようか」
「食後の方がいいんじゃないか?時間も取れるし」
「そうね、そうしたらどうかしら?ノア」
「…そうだな。ユキ、わるい。後で談話室に行って紹介するな」
「???………わ、わかった!」
話が見えないが、多分、あの子だ。見習いになるって言ってた子。
昨日から着くと言っていたがまだ紹介されていないし、多分そう。
俺が倒れたから彼の自己紹介のタイミングを奪ってしまうのではと思っていたが、紹介してくれるなら多分そのタイミングは奪っていなかったということだろう。まぁ少しだけタイミングを変えてしまったのは申し訳ない。
その後、朝食を軽く談笑しながら食べ終え、談話室へと向かうと、そこには俺より少しだけ大きい男の子がおじいちゃんの執事のカルマさんに手を繋がれ緊張した様子で立っていた。
「お、こ、お、おはようございます!ハルラルクと申しまっす!!」
男の子は、カルマさんに促されてハルラルクと名乗った。初めの噛み噛みしている時に入った“こ”はなんだったのか…。少し疑問だが恐らく“こんにちは”と言うべきか“おはようございます”と言うべきかで迷ったか、テンパって混じってしまっただけだろうとおもう。そういう所可愛らしいなと思う。そして最後の最後で少し詰まって、元気な感じになってしまっているのもとても可愛らしい。
ハルラルクは5歳という俺と同い歳なのだが、少し俺より背が高いことが悔しい。しかし、顔は5歳児らしくあどけない可愛らしい顔をしていて、どことなくカルマさんにも似ていた。少しだけタレぎみで優しげな輪郭の目が特に似ていた。
「あ、ぼくは、ユキでしゅ!よろしくね?」
「しって…存じてます!こちらこそよろしくお願いいたします!」
俺の様子を伺いモジモジしていたハルラルクに俺も軽くなのって挨拶をすれば、嬉しそうにしながら返事をしてくれて和む。言葉遣いを訂正したあと不安げで、しかし褒めてほしそうに祖父であるカルマさんをもじっと見上げるその仕草が可愛いしこれもまた和む。
一生懸命を全身で表わしているようなその様子に、子供ってやっぱり可愛いよな~と改めて感じて、父様やガイさんライさんからのベタベタスリスリハグハグ攻撃もすこしだけなら許してあげようかなと思った。ほんの少しだけ。
それから、ハルラルクの事をあだ名で呼んでもいいか確認し、許可を得てから沢山考えた。
42
お気に入りに追加
944
あなたにおすすめの小説
うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜
双華
ファンタジー
愛犬(ポチ)の散歩中にトラックにはねられた主人公。
白い空間で女神様に、愛犬は先に転生して異世界に旅立った、と聞かされる。
すぐに追いかけようとするが、そもそも生まれる場所は選べないらしく、転生してから探すしかないらしい。
転生すると、最初からポチと従魔契約が成立しており、ポチがどこかで稼いだ経験値の一部が主人公にも入り、勝手にレベルアップしていくチート仕様だった。
うちのポチはどこに行ったのか、捜索しながら異世界で成長していく物語である。
・たまに閑話で「ポチの冒険」等が入ります。
※ 2020/6/26から「閑話」を従魔の話、略して「従話」に変更しました。
・結構、思い付きで書いているので、矛盾点等、おかしなところも多々有ると思いますが、生温かい目で見てやって下さい。経験値とかも細かい計算はしていません。
沢山の方にお読み頂き、ありがとうございます。
・ホトラン最高2位
・ファンタジー24h最高2位
・ファンタジー週間最高5位
(2020/1/6時点)
評価頂けると、とても励みになります!m(_ _)m
皆様のお陰で、第13回ファンタジー小説大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます。
※ 2020/9/6〜 小説家になろう様にもコッソリ投稿開始しました。
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
転生少女、運の良さだけで生き抜きます!
足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】
ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。
女神はミナの体を創造して問う。
「要望はありますか?」
ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。
迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~
Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪
第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪
◇ ◇ ◇
婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。
【一章】婚約者編
【二章】幼馴染の護衛騎士編
【閑話】お兄様視点
【三章】第二王子殿下編
【閑話】聖女視点(ざまぁ展開)
【四章】森でスローライフ
【閑話】彼らの今
【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)
主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。
スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。
スローライフの相棒は、もふもふ。
各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。
◇ ◇ ◇
【あらすじ】
平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。
聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。
主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。
そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。
良好だった関係は、徐々に崩れていく。
婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。
自分の身は自分で守れるわ。
主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。
※ちょっと男性陣が可哀想かも
※設定ふんわり
※ご都合主義
※独自設定あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる