146 / 218
第3章
146.おくすりきらい。
しおりを挟む
目が覚めれば、窓から見える空の色は赤らんでいて、もう夕方になってしまったようだった。
そして、視線を反対に移せば、アミュートが隣で寝ていて、俺がもぞもぞと動けばむくっと起き上がった。
『ん…ユキ、起きたの?大丈夫?』
『……ごめんね』
『まだしんどい?』
『…うん。アミュート、ごめんね、嘘…』
『うん、大丈夫だから。気にしないで』
『でも…』
『大丈夫。気にしてないよ』
『……ごめんなさい』
アミュートは気にしなくていいと言いながら俺の頬を舐めて慰めてくれるが、心が痛くて痛くてたまらない。ポロポロとこぼれる涙をアミュートは優しく舐めとってくれる。
『ん~……あ、じゃあブラシで解いてくれる?元気になったら沢山』
『それでいいの?』
『うん!ユキに撫でられるのも解かれるのも気持ちよくて大好きだから』
『じゃ、今すぐする。まってて』
『え、』
慌ててベッドから起き上がって降りようとすれば、目眩を起こして床に倒れた。
『え?!ちょ、ユキ?!大丈夫?!』
『うぅ…気持ち悪い…ぐらぐらする…』
『ああぁ…元気になったらって言ったじゃん。まだ熱あるんだよ?』
『だって……』
『ほら、ねて。僕は後ででいいから』
『うん。ごめんね』
『いいよ』
早くお詫びがしたかったのに、俺はまだ熱があり思うように体は動かなかった。
アミュートはそんな倒れた俺をベッドへと上げ、寝かせてくれた。
コンコン
「…ユキ?起きたのか?大丈夫か?」
もう一度寝ようとしていた時、部屋へガイさんが入ってきた。
「がいしゃん!」
「さっき大きな音がしてたが、大丈夫か?熱は?」
「えっと、こけちゃって、いま、あみゅーとにもろしてもらっちゃちょころ!」
「そうか……熱はまだあるな……これ、薬だ。飲んどけ」
「うっ…………飲まなきゃ、ダメ……?」
薬きらい。
俺は合わない薬も多く、特別に調合してもらっている薬が多いのだが、どっちにしても苦いから何回飲んでも好きになれない。前世から嫌いだけど前世はまだ錠剤だったから、なんとか、なった。けど、粉じゃん!なんか漢方みたいな味だし匂いだし。漢方より苦いかもしれない。覚えてないもん。嫌なんだよぉ……おくすりきらい。
寝ている間に熱が下がってたら飲まなくてよかったり、飲む量が少なかったりするけど、熱があったりすると増える。おくすりきらい。
「のめ。じゃないといつまでもしんどいぞ」
「いいよ……」
「駄目だ」
「……はい」
ガイさんに凄まれれば飲まない訳にはいかない。
意を決して一気に飲めば、水が足らなかったのか喉に粉が残ってしまい余計に苦い。
「ケホケホ…うぅ…」
「いいこだ。偉いな」
ガイさんは優しく撫でてくれる。それは嬉しいが、お水が欲しい。
「おみじゅ…ケホ…うぇ…」
「はい」
「んっく、んっく…ぷはっ……うぅにがい…」
「よしよし、よく頑張ったな」
ようやく喉の苦味はなくなったが、口には味が残っていて、鼻から抜ける苦い感じや臭い感じが最悪だった。
そして、視線を反対に移せば、アミュートが隣で寝ていて、俺がもぞもぞと動けばむくっと起き上がった。
『ん…ユキ、起きたの?大丈夫?』
『……ごめんね』
『まだしんどい?』
『…うん。アミュート、ごめんね、嘘…』
『うん、大丈夫だから。気にしないで』
『でも…』
『大丈夫。気にしてないよ』
『……ごめんなさい』
アミュートは気にしなくていいと言いながら俺の頬を舐めて慰めてくれるが、心が痛くて痛くてたまらない。ポロポロとこぼれる涙をアミュートは優しく舐めとってくれる。
『ん~……あ、じゃあブラシで解いてくれる?元気になったら沢山』
『それでいいの?』
『うん!ユキに撫でられるのも解かれるのも気持ちよくて大好きだから』
『じゃ、今すぐする。まってて』
『え、』
慌ててベッドから起き上がって降りようとすれば、目眩を起こして床に倒れた。
『え?!ちょ、ユキ?!大丈夫?!』
『うぅ…気持ち悪い…ぐらぐらする…』
『ああぁ…元気になったらって言ったじゃん。まだ熱あるんだよ?』
『だって……』
『ほら、ねて。僕は後ででいいから』
『うん。ごめんね』
『いいよ』
早くお詫びがしたかったのに、俺はまだ熱があり思うように体は動かなかった。
アミュートはそんな倒れた俺をベッドへと上げ、寝かせてくれた。
コンコン
「…ユキ?起きたのか?大丈夫か?」
もう一度寝ようとしていた時、部屋へガイさんが入ってきた。
「がいしゃん!」
「さっき大きな音がしてたが、大丈夫か?熱は?」
「えっと、こけちゃって、いま、あみゅーとにもろしてもらっちゃちょころ!」
「そうか……熱はまだあるな……これ、薬だ。飲んどけ」
「うっ…………飲まなきゃ、ダメ……?」
薬きらい。
俺は合わない薬も多く、特別に調合してもらっている薬が多いのだが、どっちにしても苦いから何回飲んでも好きになれない。前世から嫌いだけど前世はまだ錠剤だったから、なんとか、なった。けど、粉じゃん!なんか漢方みたいな味だし匂いだし。漢方より苦いかもしれない。覚えてないもん。嫌なんだよぉ……おくすりきらい。
寝ている間に熱が下がってたら飲まなくてよかったり、飲む量が少なかったりするけど、熱があったりすると増える。おくすりきらい。
「のめ。じゃないといつまでもしんどいぞ」
「いいよ……」
「駄目だ」
「……はい」
ガイさんに凄まれれば飲まない訳にはいかない。
意を決して一気に飲めば、水が足らなかったのか喉に粉が残ってしまい余計に苦い。
「ケホケホ…うぅ…」
「いいこだ。偉いな」
ガイさんは優しく撫でてくれる。それは嬉しいが、お水が欲しい。
「おみじゅ…ケホ…うぇ…」
「はい」
「んっく、んっく…ぷはっ……うぅにがい…」
「よしよし、よく頑張ったな」
ようやく喉の苦味はなくなったが、口には味が残っていて、鼻から抜ける苦い感じや臭い感じが最悪だった。
28
お気に入りに追加
787
あなたにおすすめの小説
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
西園寺若葉
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
ドラゴンなのに飛べません!〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜
藤*鳳
ファンタジー
人間としての寿命を終えて、生まれ変わった先が...。
なんと異世界で、しかもドラゴンの子供だった。
しかしドラゴンの中でも小柄で、翼も小さいため空を飛ぶことができない。
しかも断片的にだが、前世の記憶もあったのだ。
人としての人生を終えて、次はドラゴンの子供として生まれた主人公。
色んなハンデを持ちつつも、今度はどんな人生を送る事ができるのでしょうか?
水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました
ありぽん
ファンタジー
転生先は海の中? まさか!? 水の中でももふもふを堪能できるなんて!!
高橋碧(たかはしあおい)は、小説の設定で時々みる、ある状況に自分が直面することに。
何と神様の手違いで死んでしまったのだった。
神様のお詫びとして新しい世界へ送られ、新しい生活を送ることになった碧。しかし新しい世界へと転生すれば、またもや神様のせいでまずい状況に?
でも最悪な始まりをむかえた碧を、たくさんのもふもふ達がいやしてくれ。
もふもふパラダイスのこの世界で碧は、まったり? ゆっくり? もふもふを堪能できるのか。
ダンジョンが出現して世界が変わっても、俺は準備万端で世界を生き抜く
ごま塩風味
ファンタジー
人間不信になり。
人里離れた温泉旅館を買い取り。
宝くじで当たったお金でスローライフを送るつもりがダンジョンを見付けてしまう、しかし主人公はしらなかった。
世界中にダンジョンが出現して要る事を、そして近いうちに世界がモンスターで溢れる事を、しかし主人公は知ってしまった。
だが主人公はボッチで誰にも告げず。
主人公は一人でサバイバルをしようと決意する中、人と出会い。
宝くじのお金を使い着々と準備をしていく。
主人公は生き残れるのか。
主人公は誰も助け無いのか。世界がモンスターで溢れる世界はどうなるのか。
タイトルを変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる