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第3章

146.おくすりきらい。

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目が覚めれば、窓から見える空の色は赤らんでいて、もう夕方になってしまったようだった。
そして、視線を反対に移せば、アミュートが隣で寝ていて、俺がもぞもぞと動けばむくっと起き上がった。

『ん…ユキ、起きたの?大丈夫?』
『……ごめんね』
『まだしんどい?』
『…うん。アミュート、ごめんね、嘘…』
『うん、大丈夫だから。気にしないで』
『でも…』
『大丈夫。気にしてないよ』
『……ごめんなさい』

アミュートは気にしなくていいと言いながら俺の頬を舐めて慰めてくれるが、心が痛くて痛くてたまらない。ポロポロとこぼれる涙をアミュートは優しく舐めとってくれる。

『ん~……あ、じゃあブラシで解いてくれる?元気になったら沢山』
『それでいいの?』
『うん!ユキに撫でられるのも解かれるのも気持ちよくて大好きだから』
『じゃ、今すぐする。まってて』
『え、』

慌ててベッドから起き上がって降りようとすれば、目眩を起こして床に倒れた。

『え?!ちょ、ユキ?!大丈夫?!』
『うぅ…気持ち悪い…ぐらぐらする…』
『ああぁ…元気になったらって言ったじゃん。まだ熱あるんだよ?』
『だって……』
『ほら、ねて。僕は後ででいいから』
『うん。ごめんね』
『いいよ』

早くお詫びがしたかったのに、俺はまだ熱があり思うように体は動かなかった。
アミュートはそんな倒れた俺をベッドへと上げ、寝かせてくれた。

コンコン
「…ユキ?起きたのか?大丈夫か?」

もう一度寝ようとしていた時、部屋へガイさんが入ってきた。

「がいしゃん!」
「さっき大きな音がしてたが、大丈夫か?熱は?」
「えっと、こけちゃって、いま、あみゅーとにもろしてもらっちゃちょころ!」
「そうか……熱はまだあるな……これ、薬だ。飲んどけ」
「うっ…………飲まなきゃ、ダメ……?」

薬きらい。
俺は合わない薬も多く、特別に調合してもらっている薬が多いのだが、どっちにしても苦いから何回飲んでも好きになれない。前世から嫌いだけど前世はまだ錠剤だったから、なんとか、なった。けど、粉じゃん!なんか漢方みたいな味だし匂いだし。漢方より苦いかもしれない。覚えてないもん。嫌なんだよぉ……おくすりきらい。

寝ている間に熱が下がってたら飲まなくてよかったり、飲む量が少なかったりするけど、熱があったりすると増える。おくすりきらい。

「のめ。じゃないといつまでもしんどいぞ」
「いいよ……」
「駄目だ」
「……はい」

ガイさんに凄まれれば飲まない訳にはいかない。
意を決して一気に飲めば、水が足らなかったのか喉に粉が残ってしまい余計に苦い。

「ケホケホ…うぅ…」
「いいこだ。偉いな」

ガイさんは優しく撫でてくれる。それは嬉しいが、お水が欲しい。

「おみじゅ…ケホ…うぇ…」
「はい」
「んっく、んっく…ぷはっ……うぅにがい…」
「よしよし、よく頑張ったな」

ようやく喉の苦味はなくなったが、口には味が残っていて、鼻から抜ける苦い感じや臭い感じが最悪だった。








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