144 / 218
第3章
144.楽しい時間と嘘の痛み。
しおりを挟む
大泣きをしてしばらく、みんなに慰められようやく落ち着いた俺は、美味しいスープを飲みながら雑談をしてパーティーを楽しんだ。
泣いていた理由を聞かれたが、嬉しかったからだと伝え、みんなに順番に抱きしめてもらった。使用人の方達は躊躇っていたが、マリエリが真っ先に抱きしめてくれたこともあり、他のみんなも優しく抱きしめてくれた。
それが嬉しくてまた涙がこぼれそうになったが、パーティーの再開が出来ないのでぐっと堪えた。
それからは、父様に貰ったブレスレットを俺とアミュートとリスくんに付け、みんなに見せびらかして楽しんだ。
父様はアミュートのはブレスレットではなく首輪の方がいい気がしたが、それだと完全なるおそろいじゃない気がして、それだと俺が気にするかもしれないと考えて、サイズを測ってデザインも父様が考えて依頼したと言っていた。
その配慮が嬉しくて、もはやゆるっゆるになっている涙腺が刺激されてうっかりまた泣きそうになったが、またも堪えた。
そんなことを繰り返していたからだろうか、1度大泣きしたからだろうか。
そろそろケーキを食べようかという話になった頃、何だか身体に熱が纏わり付くような熱さがあり、頭がぼーっとする。
これは、熱だ。俺また熱出してる。
もうこと数年で自分の虚弱さを、ある程度理解している為慌てることは無い。そして今回は申告することも無い。
みんなが忙しいなか時間を割いて準備をしてくれ、盛大に俺の誕生日を祝ってくれているこの楽しく幸せな時間を、自分が体調管理をミスしたがために潰すのはいやだ。いやすぎる。
だから今回は内緒。
内緒にしたあとはいつも怒られてしまうが、今回は目先の楽しみと幸せをとる!俺が悪いのだから今回はお叱りを甘んじて受け入れる!
そんな覚悟を持って誤魔化していると、不意にアミュートが何かを察したらしくどうかした?と聞いてくる。
あぶない!でも俺ならごまかせる!
『ん?』
『いや、何となく、様子に違和感があって……』
『え…なんだろ…ん?……や、思い当たる節はないけど、例えばどんなところが違和感だった?』
『ん~…や、気の所為かもしれない。ごめんなんでもないかも』
『そ?でもありがと、心配してくれて』
『うん。さっきも泣いてたし体調崩すかもしれないからって神経質になってただけかも』
『……ありがとうアミュート!』
『んーん』
うぅぅぅ…ごめんアミュート!!今心がめちゃくちゃ痛い!引きちぎられてる気分だ。ごめん!ほんとにごめん!心配してくれてるのに嘘ついてごめんんんッ!!!
楽しむために着いた嘘で俺は自分の首を絞めてしまって、もう楽しいと思えない。
心が痛い。ごめんアミュート。ほんとにごめん。
ついに何度も寸止めしていた涙のダムが決壊して、アミュートに抱きついて泣いてしまった。
心の痛みでいっぱいいっぱいで、言葉が出てこない。
だからアミュートは訳が分からないと言った様子で、どうしたの?とオロオロと聞いてくる。
そして周りの者達も、突然泣き出した俺に酷く慌てていた。
父様が俺をあやすためか抱きあげようとしてくれたが、アミュートにしがみついて離れない俺に、どうしたものかと悩んでいた。
5歳の誕生日。幸せいっぱいだったのに。幸せいっぱいで終わるはずだったのに、俺がぶち壊して台無しにした。
それは、前向きな意味ではあったが不安定だった心に大きな波紋を生み出し、大荒れとなっていた。
それに加えて先程からあった熱。泣いて体力を使っていることや、心の乱れによりそれは悪化してゆき、泣いているからなのか、熱があるからなのか頭はガンガンズキズキと痛み始め軽いめまいまで起こしていた。
もう、心も身体も限界で、俺は少し吐いて意識を手放した。
泣いていた理由を聞かれたが、嬉しかったからだと伝え、みんなに順番に抱きしめてもらった。使用人の方達は躊躇っていたが、マリエリが真っ先に抱きしめてくれたこともあり、他のみんなも優しく抱きしめてくれた。
それが嬉しくてまた涙がこぼれそうになったが、パーティーの再開が出来ないのでぐっと堪えた。
それからは、父様に貰ったブレスレットを俺とアミュートとリスくんに付け、みんなに見せびらかして楽しんだ。
父様はアミュートのはブレスレットではなく首輪の方がいい気がしたが、それだと完全なるおそろいじゃない気がして、それだと俺が気にするかもしれないと考えて、サイズを測ってデザインも父様が考えて依頼したと言っていた。
その配慮が嬉しくて、もはやゆるっゆるになっている涙腺が刺激されてうっかりまた泣きそうになったが、またも堪えた。
そんなことを繰り返していたからだろうか、1度大泣きしたからだろうか。
そろそろケーキを食べようかという話になった頃、何だか身体に熱が纏わり付くような熱さがあり、頭がぼーっとする。
これは、熱だ。俺また熱出してる。
もうこと数年で自分の虚弱さを、ある程度理解している為慌てることは無い。そして今回は申告することも無い。
みんなが忙しいなか時間を割いて準備をしてくれ、盛大に俺の誕生日を祝ってくれているこの楽しく幸せな時間を、自分が体調管理をミスしたがために潰すのはいやだ。いやすぎる。
だから今回は内緒。
内緒にしたあとはいつも怒られてしまうが、今回は目先の楽しみと幸せをとる!俺が悪いのだから今回はお叱りを甘んじて受け入れる!
そんな覚悟を持って誤魔化していると、不意にアミュートが何かを察したらしくどうかした?と聞いてくる。
あぶない!でも俺ならごまかせる!
『ん?』
『いや、何となく、様子に違和感があって……』
『え…なんだろ…ん?……や、思い当たる節はないけど、例えばどんなところが違和感だった?』
『ん~…や、気の所為かもしれない。ごめんなんでもないかも』
『そ?でもありがと、心配してくれて』
『うん。さっきも泣いてたし体調崩すかもしれないからって神経質になってただけかも』
『……ありがとうアミュート!』
『んーん』
うぅぅぅ…ごめんアミュート!!今心がめちゃくちゃ痛い!引きちぎられてる気分だ。ごめん!ほんとにごめん!心配してくれてるのに嘘ついてごめんんんッ!!!
楽しむために着いた嘘で俺は自分の首を絞めてしまって、もう楽しいと思えない。
心が痛い。ごめんアミュート。ほんとにごめん。
ついに何度も寸止めしていた涙のダムが決壊して、アミュートに抱きついて泣いてしまった。
心の痛みでいっぱいいっぱいで、言葉が出てこない。
だからアミュートは訳が分からないと言った様子で、どうしたの?とオロオロと聞いてくる。
そして周りの者達も、突然泣き出した俺に酷く慌てていた。
父様が俺をあやすためか抱きあげようとしてくれたが、アミュートにしがみついて離れない俺に、どうしたものかと悩んでいた。
5歳の誕生日。幸せいっぱいだったのに。幸せいっぱいで終わるはずだったのに、俺がぶち壊して台無しにした。
それは、前向きな意味ではあったが不安定だった心に大きな波紋を生み出し、大荒れとなっていた。
それに加えて先程からあった熱。泣いて体力を使っていることや、心の乱れによりそれは悪化してゆき、泣いているからなのか、熱があるからなのか頭はガンガンズキズキと痛み始め軽いめまいまで起こしていた。
もう、心も身体も限界で、俺は少し吐いて意識を手放した。
42
お気に入りに追加
904
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる