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第3章

141.3年間の日々。

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あのパニックを起こした日から随分経ち、約3年の月日が流れ、俺は今日、5歳になる。
誕生日はいつだ?と思われるかもしれないが、記憶が無い設定な上、前世の誕生日なんて使いたくもない。そのため、出会った日を誕生日としたのだ。この肉体が作られ、ユキという存在が生まれた瞬間なのだから、誕生日というのに間違いは無いので問題ない。

俺の考え方も、この3年間で変わったと思う。
前世の事を思い出してパニックを起こすことはあの日以来なく、不安になることはあってもアミュートやケインのお守りに助けられ、比較的落ち着いて暮らすことが出来ている。

そしてノアさんの事を父様とスムーズに呼べるようになり、おばあちゃん達ともスムーズにコミュニケーションが取れるようになっていた。
初めは何か粗相をして怒らせるのが怖かったが、今のところ叱られることはあれど、で誰かに怒られることは無かった。
それが俺に油断というか、安心を与えているのだと思う。きっとこの人たちは理不尽には怒らないのだろうと、そう信じることが出来た。

ケインと会うのは週一から月一に変わり、会う頻度が減った分その日の眠る時間は長くなった。
初め週一だったのは、頼りなく不安定な俺を心配していたケインの配慮だったのだと、会う間隔がひらくほどに、気付いていった。
今ケインと会う理由はただ、孫に会いたいから、というケインの可愛らしい理由で、月一より間隔が開くことはなさそうだ。

そんなこんなでいい方向にきちんと成長出来ている俺は、使用人の方や護衛の方達とも随分仲良くなった。
いつもそばにいてくれていたメイドのマリエリさんは、今日からメイドではなく侍女という立場に昇格し、俺の専属侍女として再契約を結ぶそうだ。
マリエリさんにはいつもそばでお世話をしてもらっているので、心の中では“さん”を付けるが、普段に“さん”を付けて呼ぶととても焦った顔で止めるように言われてしまうため渋々呼び捨てで呼んでいる。

そして、今日から俺と同じ歳の見習いの子が、将来俺の執事となるために着くそうだ。
5歳で見習いとして働くのは大変だろうなと思っていたが、5歳のうちは仕事を任されることはなく、職場体験のような、見て学ぶ立場なんだそうだ。それはそれで大変そうだが、おじいちゃんについている執事のカルマさんのお孫さんらしく、家系なら早くから見習いになっても仕方ないなと思っていた。しかし、息子さんは?という疑問を尋ねれば、息子さんは執事より冒険者を望んだらしく、執事にはならなかったそうで、今回お孫さんが見習いになったのは本人の意思らしい。それなら何も問題は無い。

そんなこんなで本日からガラッと変わるようで余り変わらない気のする一日が始まる朝が来て、専属侍女となったマリエリが俺を起こしに部屋へやって来た。










𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
新章です。
ユキが成長したので、前ほどの幼児言葉は無くなってしまいますが、これからもよろしくお願いします。
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感想 13

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