髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第2章

139.おまけ( ˙꒳​˙ᐢ )イチッ。

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とある街の服飾店に、大層真剣な面持ちで子供コーナーに佇む大人が3名おりました。

「うーん……これ、どうだ?滅茶苦茶可愛いぞ」
「!!……でもそれ、多分ユキは着たがらないよ」
「……だよな」
「おい!これは?!」
「あ!いい!」
「あ、それ、こっちがないからダメだ」
「そうか…」

3人は何をやり取りしているかと言うと、愛してやまない我が子同然のユキの服を選んでいるところだった。
服を選ぶ基準は、もちろん可愛い事、ユキに似合わないものは無いがユキが着てくれるもの、リスのぬいぐるみに同じデザインの服を用意出来ること、この3点だった。

「じゃあもうここで買うのは子の6着でいい?」
「あぁ、もう無さそうだしそうなるな」
「1人で全部買おうとするなよ」
「わかってるよ」

あれだけ無さそうなリアクションを取っておきながら、ちゃっかり6着購入するという溺愛ぶり。そしてその6着とは文字通りの6着ではない。6着セットという方が正しいだろう。ユキの服が6着、同じデザインのリスに着せる服が6着、計12着だった。
それを彼らは4着、つまり2セットずつ買うことによって平等の料金にし、喧嘩を防いでいた。

「よし!じゃあ次行こう次!」

ひとつの店で6着も買っておきながら、まだ買おうと意気揚々と次の店へ向かう3人。きっとここにユキが居れば呆れ果てた顔で3人を見つめていただろう。

「次はここにするか!ユキも気に入ってたし」
「そうだな。何よりあの変な絵の服を着ているユキが可愛いからな」
「最初に買った私ナイスだよね!」
「自分で言うなと言いたいところだが、まさにそうだな」

そんな楽しげな3人が次に入店したのはユキが初めに着せられた孤児やスラムの子がデザインする服を売っているアリアの洋服店だった。

「アリア~久しぶり~」
「あ、ライさん!お久しぶりです。というかそれほど経ってませんよね?」
「あはは」
「今回も子供服ですか?こちらですよ」
「ありがとう。それでね、こんなのも同じデザインで作れたりする?」
「……ぬいぐるみに着せるものですか。出来ますよ!」
「よかった!じゃあちょっと選ぶからまってて!」
「はい。ごゆっくりお選びください」

ライはこの店でよく服を購入していた。孤児に還元される服は似合わない為滅多買うことは無いが、それ以外の服も充分素敵なものばかりだったからだ。そうしてそれなりに仲良しになったライとアリア。
本来ならあまりやっていないオーダーメイドも、ライからの頼みなのでそんなことはおくびにも出さず快く引き受けたのだった。

そうしてこの店でも8着程買い、対になるリスの服を注文したのだった。

リスの服が出来上がり次第1着ずつ受け取り、ユキに着せていたが、全てが完成したのはその町を出る直前だった。

引越し後、同様の風景はノアの実家である公爵家の屋敷の一室で、呼び寄せた仕立て屋などの前で繰り広げられたという。
その風景の中心にいるのはノア・ガイ・ライの3人だけでなく、ユキの祖父母も加わり5人になっていた。










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