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第2章
136.もふもふパワーと温感お守り。
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なんで3人の見る目が哀れみを帯びていて悲しげな表情をしているのか、その理由は恐らく俺がパニックを起こしたことを覚えていないからだろう。3人と出会う前のことも覚えていなくて、今回のことも覚えていない、そんな記憶保存能力の劣っている俺の事を哀れんでいるのだ。きっと。
バンッ!
「ユキちゃん!!」
そんな微妙な空気を壊すように、大きな音を立てて入ってきたのはおばあちゃんだった。その後ろから先程のガイさんのように呆れたような面持ちで入ってくるのはおじいちゃん。
「母さん、ユキが怖がるから静かに入ってきてください」
「あら、ごめんなさいね。目が覚めたと聞いて慌ててしまって……」
「おぱぁちゃ、ん、おちぃちゃ、ん!」
「何があったのか聞いたわ。大変だったわね。もう大丈夫よ?どこか辛いところはないかしら?」
「あ、それが……」
「あら?どうしたのかしら?」
あーこれは、あれだ。今さっき俺が覚えてないって言ったから、その事をどう説明すべきか悩んでるやつだ。
俺は空気の読める男ぉ!ここはちょっとしんどそうな演技でもして、みんなには退出してもらおう。そんで向こうでそれについて話してほしい。俺はアミュートに事情を聞くから。
……ただ、嘘をつくのは少々心が痛むけれど、あながち嘘でもないし、大丈夫なはず!若干疲れてきてるしね!うん!
「あ、にょ…ちょっちょ、ちゅかれちゃかりゃ、ねても、いい?」
「あ、あぁ!寝ろ寝ろ!ごめんな、ユキ。起きたばかりなのに沢山押しかけて」
「んーん!」
「じゃあ俺たちは、出ていくからゆっくり休め。なんかあったらこれで外の人を呼ぶんだぞ」
「あい!」
そう言ってノアさんは傍にあのベルを置いて、みんなを連れて部屋を出ていった。
その時、おじいちゃんとおばあちゃんは、俺の頭をそっと撫でて微笑んで出ていった。
みんなが部屋から出ていき、少し疲れてしまったのでアミュートのもふもふで少し癒される。
そして一通りもふり終えた所で、アミュートにさっきの出来事の説明を頼んだ。
なんだか話すのを渋っている感じだったが、俺が『アミュートをもふもふしながらだったら、どんなことを言われてもすぐに癒されるから、絶対大丈夫だよ!』と自信満々に伝えると、わかったと覚悟を決めた面持ちで言って話し始めた。
その内容を要約すれば俺は、ピアノの蓋を頑張って閉めようとして手を挟み、その痛みと音の大きさにパニックになった。そして、アミュートや外にいた護衛の方達が声をかければ部屋の隅で丸まって何度も謝りながらパニックをさらに悪化させた。そして、呼ばれたノアさんたちが傍により触れようとした瞬間、吐きながら気絶したと。こういう事だった。
因みに手の怪我はその時に俺が掻きむしり赤く腫れていたところから血が出て酷い有様、耳や首はパニックになりながら掻きむしって血だらけに。そしてポーションやヒールを使おうという話が出ていたが、俺の体調がすこぶる悪く、ケインが連れていってるぽかったので、何が起こるかわからず使えずにただただ手当で済ませているらしい。
『なるほど……』
一通り聞いても、俺はパニックになることは無かった。心の内は騒がしかったが、アミュートのもふもふパワーとケインの温感お守りで乗り切った。
『ユキ、大丈夫?』
『うん。ケインとアミュートのお陰。ほんとにありがと!』
『そんな…守れなかった僕が感謝される筋合いなんて……』
『アミュート』
『あ、ごめんね。なかなか切り替えが出来なくて……』
『いーよ。ただ俺は責めてないって事だけ理解してくれてれば。俺はそんな優しいアミュートも大好きだよ!』
『ありがと』
アミュートは相変わらず自分を責めている。
もう仕方がない。だから俺は少しでも気にならなくなってもらうためにアミュートに抱きついてもふもふする。俺の心のケアにもなっているが、俺の愛情を受け取れッ!という気持ちを最大限に込めてもふもふしているので、きっとアミュートのケアにも繋がるはずだ。
バンッ!
「ユキちゃん!!」
そんな微妙な空気を壊すように、大きな音を立てて入ってきたのはおばあちゃんだった。その後ろから先程のガイさんのように呆れたような面持ちで入ってくるのはおじいちゃん。
「母さん、ユキが怖がるから静かに入ってきてください」
「あら、ごめんなさいね。目が覚めたと聞いて慌ててしまって……」
「おぱぁちゃ、ん、おちぃちゃ、ん!」
「何があったのか聞いたわ。大変だったわね。もう大丈夫よ?どこか辛いところはないかしら?」
「あ、それが……」
「あら?どうしたのかしら?」
あーこれは、あれだ。今さっき俺が覚えてないって言ったから、その事をどう説明すべきか悩んでるやつだ。
俺は空気の読める男ぉ!ここはちょっとしんどそうな演技でもして、みんなには退出してもらおう。そんで向こうでそれについて話してほしい。俺はアミュートに事情を聞くから。
……ただ、嘘をつくのは少々心が痛むけれど、あながち嘘でもないし、大丈夫なはず!若干疲れてきてるしね!うん!
「あ、にょ…ちょっちょ、ちゅかれちゃかりゃ、ねても、いい?」
「あ、あぁ!寝ろ寝ろ!ごめんな、ユキ。起きたばかりなのに沢山押しかけて」
「んーん!」
「じゃあ俺たちは、出ていくからゆっくり休め。なんかあったらこれで外の人を呼ぶんだぞ」
「あい!」
そう言ってノアさんは傍にあのベルを置いて、みんなを連れて部屋を出ていった。
その時、おじいちゃんとおばあちゃんは、俺の頭をそっと撫でて微笑んで出ていった。
みんなが部屋から出ていき、少し疲れてしまったのでアミュートのもふもふで少し癒される。
そして一通りもふり終えた所で、アミュートにさっきの出来事の説明を頼んだ。
なんだか話すのを渋っている感じだったが、俺が『アミュートをもふもふしながらだったら、どんなことを言われてもすぐに癒されるから、絶対大丈夫だよ!』と自信満々に伝えると、わかったと覚悟を決めた面持ちで言って話し始めた。
その内容を要約すれば俺は、ピアノの蓋を頑張って閉めようとして手を挟み、その痛みと音の大きさにパニックになった。そして、アミュートや外にいた護衛の方達が声をかければ部屋の隅で丸まって何度も謝りながらパニックをさらに悪化させた。そして、呼ばれたノアさんたちが傍により触れようとした瞬間、吐きながら気絶したと。こういう事だった。
因みに手の怪我はその時に俺が掻きむしり赤く腫れていたところから血が出て酷い有様、耳や首はパニックになりながら掻きむしって血だらけに。そしてポーションやヒールを使おうという話が出ていたが、俺の体調がすこぶる悪く、ケインが連れていってるぽかったので、何が起こるかわからず使えずにただただ手当で済ませているらしい。
『なるほど……』
一通り聞いても、俺はパニックになることは無かった。心の内は騒がしかったが、アミュートのもふもふパワーとケインの温感お守りで乗り切った。
『ユキ、大丈夫?』
『うん。ケインとアミュートのお陰。ほんとにありがと!』
『そんな…守れなかった僕が感謝される筋合いなんて……』
『アミュート』
『あ、ごめんね。なかなか切り替えが出来なくて……』
『いーよ。ただ俺は責めてないって事だけ理解してくれてれば。俺はそんな優しいアミュートも大好きだよ!』
『ありがと』
アミュートは相変わらず自分を責めている。
もう仕方がない。だから俺は少しでも気にならなくなってもらうためにアミュートに抱きついてもふもふする。俺の心のケアにもなっているが、俺の愛情を受け取れッ!という気持ちを最大限に込めてもふもふしているので、きっとアミュートのケアにも繋がるはずだ。
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