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第2章

134.アミュートの謝罪。

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目を覚ませば視界いっぱいに広がる紺色のもふもふ。アミュートの体だった。そして感じる左手の酷い痛み。ケインの言っていた怪我とはこのことだろう。

『アミュート。ねぇアミュート』
『?!?!ユキ!!!』

声をかければアミュートは、飛び起きて俺の顔を舐めまわした。

『大丈夫?ごめんね、僕がそばに居たのにあんなことになって……僕のせいだ…ごめんね……ごめんね、ユキ……』
『え?んーあんなことがどんなことが俺、あんまり覚えてないけど大丈夫だよ!』
『……覚えてないんだね……どっちにしても僕はユキの守護獣なのに…失格だ…ホントに、ごめん……』

アミュートが滅茶苦茶自分のことを責めて落ち込んでいる姿は、申し訳ないけど可愛い。でも少し可哀想だ。だって俺のせいでアミュートが自分を責めていることはわかるから。

『アミュート、大丈夫だよ。何があったかはわかんないけど、起きた時、アミュートが俺を守るような体制で包んでくれていたことは分かってるから。それだけで十分だよ!』
『でも……』
『ほんとに何があったのかわかんないんだけど、ケインとさっきまで話をしててね、戻るのが不安だったんだけど、目が覚めてアミュートに包まれてたから安心したよ。俺が今落ち着いていられるのは、アミュートが俺を包んでくれていたからだよ』
『ユキ……でも僕、ユキが苦しい時は何もしてあげられなかった』

……最大限励ましたつもりだったのにまだうじうじ言ってるアミュートが少し面倒臭い。でもそこまで俺のことを考えてくれてるのは素直に嬉しいし、だからいつまでも自分を責めないで欲しいと思う。

『アミュート、俺の覚えてないことでは責めれないよ。今、俺に安心を与えてくれているんだからそれで良くない?』
『でもね……』
『わかった!じゃあ、次、また同じようなことになったらその時は、ちゃんとまもってくれる?』
『うん!まもる!まもるよ!』
『よし!じゃあこれでこの話はおしまい!』
『う………わ、わかった』

正直何があったのか分からないから、アミュートがどんなところを責めているのか分からない。だから、今の提案が正解か分からないけど、なんとか納得してくれたみたいだし、とりあえずはこれで良しとしよう。

『そういえばアミュート、ガイさん達になら念話が使えるようになったんでしょ?』
『あぁうん。それでさっきユキに何があったかあの人たちに説明したの』
『そっか……ありがと、アミュート!』
『んーん。守れなかったんだからそれぐらい当然だよ』
『まだ言ってんの?』
『……ごめん』
『別にいいけど』

納得はしてもそれは渋々で、気持ちを切り替えることまではできなさそうだ。

『ねぇ、ユキは、どこまで、覚えてる、の?』
『アミュートと話してるところまで。でもそれも靄がかかってるみたいな感じで鮮明に覚えてるわけじゃないよ』
『そっか……その時のことがあったからあそこまでだったのかな……』
『え?』
『んーん。ユキは、何があったか知りたい?』
『少しだけ、気になるけど、知るのは少し嫌というか、怖い、かな。』
『そっか』

俺が一体何を怖がったのか、この手や耳や首の怪我や痛みはなんなのか、知りたくないといえば嘘になるが、知るのは少しだけ怖い。
アミュートはいつまでも自分を責めてるし、ケインは無理やり意識を奪うし、一体ピアノを弾いて遊んでいた流れからどうしたらそんなことになるんだ!って思うが、前世を思い出してパニックを起こしていたのなら思い出したくもない。でもこのモヤモヤする感じを解消したい気もする。
最終回だけ見逃してしまったみたいなこのモヤモヤ感。微妙にストレスを与えてくるこの感じ。嫌な感じでしかない。知ってスッキリしたい気もするが、スッキリしないかもしれないし、またパニックになるかもしれない。不安でたまらない。

そんなふうに悶々と考えていると、ふと小指の温かさが気になって、あぁそう言えばケインがお守りをくれたっけ、と思い出して少しスッキリする。

ケインからはお守りを貰ったし、アミュートはそばに居てくれる。そう思うとなんだか知ってもいいかな、大丈夫かなって思えてくる。

今度はアミュートが守ってくれると言うし、覚悟もできた。きっと次は大丈夫だ。









𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
章の設定を忘れていて、プロローグの下に更新されてしまってて申し訳ありませんでした。
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