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第2章

130.お料理の定番ソング。

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昼食を食べ終え、ガイさんの元へ歩いていく。
皆は俺が食べ終えるのを席に座って生暖かい目で眺めていた。
ガイさんに近づけば椅子から降りて屈んで手を広げて待ってくれていた。

「かぁいしゃん!」
「っ!…では、行きますか?」
「うん!」

ガイさんの広げられた腕の中へ駆け寄ると、流れるように抱き上げてくれた。さすがだ。
そして、名残惜しそうにアミュートの背中へと俺を下ろした。

「ちょ、俺も行く!」
「ノア様、執務が残っております」
「ふぐぅ……」
「では私が着いていこうか」
「旦那様、旦那様もですよ」
「……そうか」
「じゃあ私が一緒に行ってもいいかしら。私は何も予定がありませんでしたわよね?」
「はい、奥様の本日のご予定はございません」
「ユキちゃん、着いていってもいいかしら?」
「あ…う……え……」

どうしようおばあちゃんも着いてくるって……や、別に嫌ではないんだけど……遊んでるところを見られて幻滅されないだろうか……こんな無能な孫はいりません!とか…ノアさんの養子を認めない!今すぐ取りやめろ!とか……言わな、とも限らない…よね?

「ごめんね、ユキちゃん。まだ早かったわね……そうね、ユキちゃん、今度おばあちゃんと一緒にお茶を飲んでくださる?それくらいなら大丈夫かしら?」
「…?!……あい!」

気を使わせてしまったみたいだ。申し訳ない。
でも、おばあちゃんの表情は優しかったから不安になることはあまりなかった。


おばあちゃんと今度お茶をする約束をして、俺達は食堂から出て、さっきいた楽器部屋へと向かった。
さっきも通ったルートだからか、探検がメインじゃないからなのか、アミュートは迷うような素振りを一切見せずスムーズに目的地へと到着した。

楽器部屋はさっきのほこりっぽさがなくなっていて、空間が澄んでいた。開け放たれた窓から入る風はカーテンを揺らし、僅かに入る陽の光は、まるで青春の1ページとして描かれる音楽室を彷彿とさせた。

「ユキ、このミニピアノも壊れてなさそうだ!」
「やっちゃ~!」

早速トイピアノ…ミニピアノを弾いて遊ぶことにした。ミニピアノの音はやっぱり前世のものと一緒で可愛らしい。
コトコトと音を適当に鳴らして指の動きを練習していると、不意にお料理の定番曲を思い出した。トイピアノの音を聴くとどうしても頭に浮かんで離れない。
弾きたくなる曲が頭に浮かんで、そこに楽器があるのに弾かないなんて選択肢はない!ゆっくりでもひきたい!

『こんな感じだったよな~』と思い出しながらあのマヨネーズのキャラクターのお料理ソングを丁寧にゆっくりに奏でた。

「……ユキ、その曲はなんだ?ユキ、ピアノいつ習ったんだ?弾けたのか?その歳で?」
「あ……こえは、あたまにおもいうかんらの……。にゃらってたかは、わからにゃい……こぉめんにゃしゃい………」

やってしまった……。ここでまた嘘をついたことが申し訳なくて、どんどん言葉尻が小さくなって言った俺は思わず謝罪する。

「あ、や…すごいな!急に知らない曲をひきだしたからビックリしただけだ!ユキ!凄いぞ!」
「ほんちょ?おこっちぇにゃい?」
「怒ってない!大丈夫だ!こっちこそ、わるかったな…。ユキは天才だな!」
「えへへ~うれちぃ!」

天才…だって!嬉しいよね!この歳だからこその評価なんだろうけど、それでも嬉しいものは嬉しい。

『ユキ!その音楽かわいいね!』
『でしょ!この音だからこその可愛さだとも思うけど、元々この曲は可愛いんだよ~ちっこい赤ちゃんみたいなキャラがねクルクル回ったりしてるんだよ!』
『?……??ちょっと何言ってるか分からないけど、そうなんだね!』
『あ、ごめん。そうなんだ!可愛いんだよ』

アミュートは前世のマヨネーズを知らないので伝わらなかったが、曲の可愛さが伝わっているようで嬉しかった。









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