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第2章

113.ノア家族の話─6。

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直ぐに医者に診てもらったノアは軽い脳震盪で気絶していただけで、特に問題はなかったが、家族の形には亀裂が入ってしまった。

ナルはジャルジャが何を聞いても主張は同じで、そんなナルにジャルジャはどんどん幻滅していった。しかしそれではラルカの成長に宜しくないと考え、何度も向き合おうとしたが、上手くは行かなかった。

2日に1度のお茶会のある日、ジャルジャはその日も向き合おうとし、ラルカのことも話題にあげていた。すると、ナルはあからさまに話題を変え、ジャルジャにおすすめの紅茶を入れてあげると言った。

使用人に入れさせず自分で入れたナルからカップを受け取り、それを口にしたジャルジャの意識は失われた。



目が覚めるとそこはナルの部屋のベッドの上で、半裸にされているジャルジャの上にはナルが顔を紅潮させ跳ねていた。
びっくりしたジャルジャはナルが跳ね終わるまで復活することは無かった。それが、いけなかったのかもしれない。

それ以降ジャルジャはナルと向き合うことが出来なかった。何度も部屋の前までは行くが、それ以上足が進まず、すれ違っても目を合わせることが出来なかった。

ジャルジャにあったのは、ナルに対する嫌悪感だった。それは、ジャルジャ自身も困惑していて、受け入れることが出来なかった。『家族なのに、嫌悪感を抱くのは間違っている』そう思ってしまうジャルジャは自分を責め、ナルと向き合うことからついつい逃げてしまい、避難先としてフリネに会うのにも罪悪感をいだき、フリネとも距離を取りがちになっていた。

「ジャルジャ様」
「……どうした?」
「…なんなんですか?最近、とても様子がおかしいです。」
「……おかしくない。」
「いいえ、おかしいです。自覚がないのならそれこそおかしいですわ。」
「……おかしく、ない」
「貴方はいつも私にまるでしっぽでも振っているのかと思うほど嬉しそうな顔を向けるではありませんか」
「………………む、むけてない!」
「いいえ向けていますわ。自覚がないのは仕方ありません。私は鏡を持ち歩きませんので」
「……」
「私に愛想尽きたのなら別にそれはそれで構いませんが、ノアには会ってあげてくださいね。あの子は貴方が来ると嬉しそうに笑うので…!」

フリネはジャルジャの様子の変化に気付き話しかけたが、ジャルジャは自分が普段フリネに向けている表情がどんなものかを知り、てれってれになってしまった。そして、フリネからのノア大事宣言に自分を心配してくれていた訳では無いのだと知り、少し落ち込んでしまった。
しかし、ノアが自分のことを好いてくれている事実に、落ち込みを上回る嬉しさがあった。


 
それからジャルジャはノアやフリネには会い、ナルには会わなくなった。そしてナルはラルカと一緒に部屋へ籠るようになってしまい、ジャルジャはラルカに会うことも出来なくなってしまった。









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