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第2章

110.ノア家族の話─3。

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フリネがナルに会いたいと言い、渋々会わせた結果は、ジャルジャの想像とは違いド修羅場にはならなかった。

フリネはナルの身体をいたわり、ナルを責めることはせずむしろ自分の代わりに相手をしてくれていたことに感謝の言葉を述べていた。それは一見ナルに牽制しているようにも思えるが、フリネは純粋に感謝していた。そして、それはナルにも伝わり、フリネのことを変人として納得した。

ジャルジャはフリネの言葉に胸が締め付けられ、フリネにそんなことを言わせてしまったと罪悪感がさらに増した。
そして、そんなジャルジャの心境は誰にも気付かれることはなく、話はどんどん進んでゆく。

結果、ナルを第2夫人とすることになりその場での話は落ち着き、解散となった。そしてその話をどんどこどんどこ進めていたのは、フリネであった。

ジャルジャは浮気を勧められるだけでなく、自業自得とはいえ第2夫人を娶ることまで勧められ、ライフはゼロに等しかった。

そんな中フリネから告げられた言葉にジャルジャのライフは一瞬、復活した。

「ジャルジャ様、私も抱いてください」
「…………………………は?」
「……ですから、私もだ」
「ま!まて!」
「……どうされましたか?」
「は?なに?聞き間違いか?なんだ?夢か?夢なのか?なんだ?私は今日死ぬのか?いや死なねばならないのか?」
「“抱いてください”と聞こえたのであれば、聞き間違いでもなければ夢でもありません。そして、おそらく今日は死なないと思いますが、分かりません。それから死ななければならないということは決してありませんし、むしろ死なれては困るのでやめて頂きたいです。」
「……聞き間違いじゃ、ない?夢でも、ないのか?」
「ええ。ちなみに意味はそのままです」
「……」

ジャルジャは顔を真っ赤にして混乱する頭を何度も整理しようとする。
そして、時間をかけ、漸く状況を整理できるようになると、フリネに詳しく尋ねた。

「…なぜ、急に?…大丈夫なのか?…そんな急に覚悟ができるものなのか?」
「いえ、覚悟は結構前にできていました。しかし、忘れていただけです。そして、急に言い出した理由は、第2夫人に子がいるのに、第1夫人である私に子がいないなど、よろしくありません。ですので私にも子をなす機会を頂きたく申したまでです。」
「………………わ、わかった」

そうして始まったフリネとの子作りは割と早い段階で成功し、フリネにも子ができた。
ジャルジャは覚悟もできていないうちに自分の仕出かしたことでフリネに無理をさせたと悔やんでいたが、フリネの妊娠は、かなり嬉しかった。

そして、ナルは男の子“ラルカ”を産み、その4か月後にフリネも男の子“ノア”を産んだ。

それから、フリネに変化が訪れた。

今までのフリネは『愛…とは?』な状態だったが、ノアを前にすれば愛で溢れた幸せそうな表情を見せた。
ジャルジャは、その顔にさらに心撃ち抜かれ、より、『好きになって欲しい、その顔を私にも見せて欲しい』そう望むようになった。

それが気に食わないと酷い嫉妬の心を向けていたのは、当然、ナルだった。









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