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第2章

109.ノア家族の話─2。

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𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
少し性的な表現があるので、ご注意ください。





しかし、そんなよく似た女性だからこそ、自分の気持ちを解消するために利用するのには気が引け、正直に妻の代わりだということを伝えた上で付き合っていた。

その女性はナルといい、利用されているのはわかっていたが、徐々に彼の優しさに溺れ、好意を寄せるようになっていった。

そんなある日、ナルの妊娠が発覚する。十中八九ジャルジャの子だが、もしも違った場合偽ったと罪に問われても困るため、彼女は直ぐにジャルジャに伝えなかった。

そして、ナルのお腹が少し大きくなった頃、気付いたジャルジャは問い詰めた。

「お、お、お腹の子、は、俺の子…じゃ、ない……よな?違うよな?」
「わからない。でも、恐らくあなたの子だけれど、違うかもしれないから、産まれたら、調べて欲しいの……」
「え……あ……わ、わかった………」

ジャルジャはとても混乱し動揺していた。
それもそのはず。ジャルジャはナルとの浮気に罪悪感を感じ、子は成さないようしっかりと避妊していたはずだったからだ。
なぜ、なぜ子ができたのか…。中に出した記憶はこれっぽっちもない。なのに何故。
そう彼は頭の中で混乱し、とりあえず落ち着いてから問い詰めることにした。

「しっかりと避妊していたはずだ。いつ、妊娠したんだ?妊娠するようなことはしていないはずだ。他の相手では無いのか?」
「…ジャルジャ様と出会ってから他の人とは相手をしていません。それから、ジャルジャ様は1度避妊をせずに私としたことがあります。おそらくその時の子です。」
「なっ………!!」

子を成してしまえば、ただの浮気ではすまなくなり、フリネとも暮らせなくなるのではと思い、徹底して避妊をしていたはずだった。
何度願われようと、決して生ではせず、そしてさらに抜いてから出すようにしていた。
それなのに、いつ、いつ避妊を怠ったというのだ。そんなはずは無い。
そう思わずにはいられなかったが、彼女の口から語られたのは、完全にやらかしている事実だった。

「ジャルジャ様がものすごく酔われたことがあったでしょ?ほら、家でやな事があったと…」
「……あぁ。あったな」
「あの時、私が奥様と重ねていいですよと言ったんです。目隠しをしてすれば分からないから、と。」
「……」
「その時だけです。していなかったのは。」
「……」

絶句した。
まさか、あえて似ている人を選んだとはいえ、誰かを代わりに抱くだなんて、そんなどちらに対しても失礼な行為をいくら妻に無下にされ酔っ払っていたとはいえ、そんなことをするなんて……と。

そしてジャルジャは覚悟を決め、フリネに話すことにした。たとえ離婚されようとも、二度と口を聞いて貰えなくとも、怠った自分の責任だから、と。

「お話とはなんでしょうか?」
「……すまん。本当に申し訳ない。」
「………なんの事かしら?」
「…私は、浮気をしていて、相手が妊娠してしまった。………だから、り…………り…………」
「……離婚、したいのですか?」
「そんなわけ…!!……しかし…………」
「私は別に構いませんよ。元々浮気を許可していましたし、子供が出来てしまうのも想定内です」
「え…………?」
「ですので、1度お相手の方とお話させて頂けませんか?安心してください。責めたりなど致しません。」
「………わ、わかった」

フリネが相手のナルに会いたいといい、ジャルジャは肩透かしをくらったような気になったが、咎められることがなかったことにほっとし、その反面で、許されるでも怒られるでもなかった反応に、罪悪感を上手く消化することが出来なかった。








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