109 / 218
第2章
109.ノア家族の話─2。
しおりを挟む
𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
少し性的な表現があるので、ご注意ください。
しかし、そんなよく似た女性だからこそ、自分の気持ちを解消するために利用するのには気が引け、正直に妻の代わりだということを伝えた上で付き合っていた。
その女性はナルといい、利用されているのはわかっていたが、徐々に彼の優しさに溺れ、好意を寄せるようになっていった。
そんなある日、ナルの妊娠が発覚する。十中八九ジャルジャの子だが、もしも違った場合偽ったと罪に問われても困るため、彼女は直ぐにジャルジャに伝えなかった。
そして、ナルのお腹が少し大きくなった頃、気付いたジャルジャは問い詰めた。
「お、お、お腹の子、は、俺の子…じゃ、ない……よな?違うよな?」
「わからない。でも、恐らくあなたの子だけれど、違うかもしれないから、産まれたら、調べて欲しいの……」
「え……あ……わ、わかった………」
ジャルジャはとても混乱し動揺していた。
それもそのはず。ジャルジャはナルとの浮気に罪悪感を感じ、子は成さないようしっかりと避妊していたはずだったからだ。
なぜ、なぜ子ができたのか…。中に出した記憶はこれっぽっちもない。なのに何故。
そう彼は頭の中で混乱し、とりあえず落ち着いてから問い詰めることにした。
「しっかりと避妊していたはずだ。いつ、妊娠したんだ?妊娠するようなことはしていないはずだ。他の相手では無いのか?」
「…ジャルジャ様と出会ってから他の人とは相手をしていません。それから、ジャルジャ様は1度避妊をせずに私としたことがあります。おそらくその時の子です。」
「なっ………!!」
子を成してしまえば、ただの浮気ではすまなくなり、フリネとも暮らせなくなるのではと思い、徹底して避妊をしていたはずだった。
何度願われようと、決して生ではせず、そしてさらに抜いてから出すようにしていた。
それなのに、いつ、いつ避妊を怠ったというのだ。そんなはずは無い。
そう思わずにはいられなかったが、彼女の口から語られたのは、完全にやらかしている事実だった。
「ジャルジャ様がものすごく酔われたことがあったでしょ?ほら、家でやな事があったと…」
「……あぁ。あったな」
「あの時、私が奥様と重ねていいですよと言ったんです。目隠しをしてすれば分からないから、と。」
「……」
「その時だけです。していなかったのは。」
「……」
絶句した。
まさか、あえて似ている人を選んだとはいえ、誰かを代わりに抱くだなんて、そんなどちらに対しても失礼な行為をいくら妻に無下にされ酔っ払っていたとはいえ、そんなことをするなんて……と。
そしてジャルジャは覚悟を決め、フリネに話すことにした。たとえ離婚されようとも、二度と口を聞いて貰えなくとも、怠った自分の責任だから、と。
「お話とはなんでしょうか?」
「……すまん。本当に申し訳ない。」
「………なんの事かしら?」
「…私は、浮気をしていて、相手が妊娠してしまった。………だから、り…………り…………」
「……離婚、したいのですか?」
「そんなわけ…!!……しかし…………」
「私は別に構いませんよ。元々浮気を許可していましたし、子供が出来てしまうのも想定内です」
「え…………?」
「ですので、1度お相手の方とお話させて頂けませんか?安心してください。責めたりなど致しません。」
「………わ、わかった」
フリネが相手のナルに会いたいといい、ジャルジャは肩透かしをくらったような気になったが、咎められることがなかったことにほっとし、その反面で、許されるでも怒られるでもなかった反応に、罪悪感を上手く消化することが出来なかった。
少し性的な表現があるので、ご注意ください。
しかし、そんなよく似た女性だからこそ、自分の気持ちを解消するために利用するのには気が引け、正直に妻の代わりだということを伝えた上で付き合っていた。
その女性はナルといい、利用されているのはわかっていたが、徐々に彼の優しさに溺れ、好意を寄せるようになっていった。
そんなある日、ナルの妊娠が発覚する。十中八九ジャルジャの子だが、もしも違った場合偽ったと罪に問われても困るため、彼女は直ぐにジャルジャに伝えなかった。
そして、ナルのお腹が少し大きくなった頃、気付いたジャルジャは問い詰めた。
「お、お、お腹の子、は、俺の子…じゃ、ない……よな?違うよな?」
「わからない。でも、恐らくあなたの子だけれど、違うかもしれないから、産まれたら、調べて欲しいの……」
「え……あ……わ、わかった………」
ジャルジャはとても混乱し動揺していた。
それもそのはず。ジャルジャはナルとの浮気に罪悪感を感じ、子は成さないようしっかりと避妊していたはずだったからだ。
なぜ、なぜ子ができたのか…。中に出した記憶はこれっぽっちもない。なのに何故。
そう彼は頭の中で混乱し、とりあえず落ち着いてから問い詰めることにした。
「しっかりと避妊していたはずだ。いつ、妊娠したんだ?妊娠するようなことはしていないはずだ。他の相手では無いのか?」
「…ジャルジャ様と出会ってから他の人とは相手をしていません。それから、ジャルジャ様は1度避妊をせずに私としたことがあります。おそらくその時の子です。」
「なっ………!!」
子を成してしまえば、ただの浮気ではすまなくなり、フリネとも暮らせなくなるのではと思い、徹底して避妊をしていたはずだった。
何度願われようと、決して生ではせず、そしてさらに抜いてから出すようにしていた。
それなのに、いつ、いつ避妊を怠ったというのだ。そんなはずは無い。
そう思わずにはいられなかったが、彼女の口から語られたのは、完全にやらかしている事実だった。
「ジャルジャ様がものすごく酔われたことがあったでしょ?ほら、家でやな事があったと…」
「……あぁ。あったな」
「あの時、私が奥様と重ねていいですよと言ったんです。目隠しをしてすれば分からないから、と。」
「……」
「その時だけです。していなかったのは。」
「……」
絶句した。
まさか、あえて似ている人を選んだとはいえ、誰かを代わりに抱くだなんて、そんなどちらに対しても失礼な行為をいくら妻に無下にされ酔っ払っていたとはいえ、そんなことをするなんて……と。
そしてジャルジャは覚悟を決め、フリネに話すことにした。たとえ離婚されようとも、二度と口を聞いて貰えなくとも、怠った自分の責任だから、と。
「お話とはなんでしょうか?」
「……すまん。本当に申し訳ない。」
「………なんの事かしら?」
「…私は、浮気をしていて、相手が妊娠してしまった。………だから、り…………り…………」
「……離婚、したいのですか?」
「そんなわけ…!!……しかし…………」
「私は別に構いませんよ。元々浮気を許可していましたし、子供が出来てしまうのも想定内です」
「え…………?」
「ですので、1度お相手の方とお話させて頂けませんか?安心してください。責めたりなど致しません。」
「………わ、わかった」
フリネが相手のナルに会いたいといい、ジャルジャは肩透かしをくらったような気になったが、咎められることがなかったことにほっとし、その反面で、許されるでも怒られるでもなかった反応に、罪悪感を上手く消化することが出来なかった。
20
お気に入りに追加
787
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
この手が生み出すキセキ ~ハンクラ魔女のお店にようこそ~
あきづきみなと
ファンタジー
都市の一画に魔法使いの地区がある。
「魔法区」と呼ばれるその片隅に、とある店があった。
常にフードをかぶった小柄な店主は、『ハンクラ』と読める看板を掲げているが、その意味を語らない。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
異世界で双子の勇者の保護者になりました
ななくさ ゆう
ファンタジー
【ちびっ子育成冒険ファンタジー! 未来の勇者兄妹はとってもかわいい!】
就活生の朱鳥翔斗(ショート)は、幼子をかばってトラックにひかれ半死半生の状態になる。
ショートが蘇生する条件は、異世界で未来の勇者を育てあげること。
異世界に転移し、奴隷商人から未来の勇者兄妹を助け出すショート。
だが、未来の勇者アレルとフロルはまだ5歳の幼児だった!!
とってもかわいい双子のちびっ子兄妹を育成しながら、異世界で冒険者として活動を始めるショート。
はたして、彼は無事双子を勇者に育て上げることができるのか!?
ちびっ子育成冒険ファンタジー小説開幕!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1話2000~3000文字前後になるように意識して執筆しています(例外あり)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
カクヨムとノベリズムにも投稿しています
不死の大日本帝國軍人よ、異世界にて一層奮励努力せよ
焼飯学生
ファンタジー
1945年。フィリピンにて、大日本帝国軍人八雲 勇一は、連合軍との絶望的な戦いに挑み、力尽きた。
そんな勇一を気に入った異世界の創造神ライラーは、勇一助け自身の世界に転移させることに。
だが、軍人として華々しく命を散らし、先に行ってしまった戦友達と会いたかった勇一は、その提案をきっぱりと断った。
勇一に自身の提案を断られたことに腹が立ったライラーは、勇一に不死の呪いをかけた後、そのまま強制的に異世界へ飛ばしてしまった。
異世界に強制転移させられてしまった勇一は、元の世界に戻るべく、異世界にて一層奮励努力する。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる