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第1章
95.到着が遅れる理由。
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「寝たな…」
「でもやっぱり顔赤いな…やっぱり体調崩したな…」
「そうだね、ユキはやっぱり体が強くないんだね…」
「まぁ流石に馬車に乗っているだけとは言っても、子供の体力からしたらものすごく疲れるんだろうな。仕方ないさ」
「もうちょっと早くつければよかったんだがな…」
「仕方ないよな、ユキが寝ると何故か馬がゆっくりしか走らないんだから」
「あれほんとになんなんだろうね」
到着の遅れには、ユキの力が少なからず関わっていた。
ケインに動物に好かれやすいという属性のようなものをつけられているユキは、今乗っている馬車を引く馬をも虜にしていた。
それ故に、雪が眠ったことを何故か察知してしまう馬は、起こさないようにとゆっくりと速度を落として歩き出す。御者はもちろんペースを戻すように指示を出すが、全く言うことを聞かない上に、眠っている子供がいるのでと3人からの許可が出たことによって諦め、そのままのペースで歩かせているのだった。
そして現在もユキが眠っているため、そのペースは落とされている。こうなっては到着は夕飯前になってしまうだろう。
そしてアミュートは、魔物などに襲われ、これ以上到着がおくれユキに負担がかからないようにピアスになっていながらも、イヌ科の動物や魔物に指示を出し、馬車付近に近付かせないようにしていた。
それ故に、あまりユキに構ってやることが出来なかったのである。
しかしそんな周りの配慮も虚しく、ユキには精神的にも身体的にも負担がかかってしまい、発熱してしまったのだった。
本人は気づいていない。ユキがイライラしてしまっているのは、暇だからというのはあながち間違ってはいないが、それによるストレスで熱を出し、知らず知らずのうちに体の調子が悪くなっているからだった。
「…ユキ、少し呼吸も荒れてきたか?」
「その体制だと呼吸がしにくいんじゃない?」
「…なるほど」
ユキの呼吸が少しずつ荒れてきているのを気にしたノアは、自分にもたれかからせるようにそっと抱き起こした。
「ん……」
少し顔を顰めてしまったユキをポンポンと、起きないように眠りを深めさせる為、優しくたたく。
すぅすぅと、可愛らしい寝息をもう一度たて始めたユキに3人はほっとする。
それでもやっまり寝苦しそうにするユキに、ノアは、他2人にどうするべきかと助けるような目を向けた。
「……」
「「……」」
「熱は?」
「……あ、さっきより少し高くなってるな」
「…ならもう仕方ねぇんじゃねぇの?」
「……」
ユキの熱は少しずつ上がってきていて、それ故に寝苦しくなっているのだから仕方ないじゃないかとガイは言ったが、それでも何とかしてやりたいと思うノアであった。
しかし、何も出来ることがなくて、優しく背中を摩って少しだけでもマシになるようにと願う他なかった。
「でもやっぱり顔赤いな…やっぱり体調崩したな…」
「そうだね、ユキはやっぱり体が強くないんだね…」
「まぁ流石に馬車に乗っているだけとは言っても、子供の体力からしたらものすごく疲れるんだろうな。仕方ないさ」
「もうちょっと早くつければよかったんだがな…」
「仕方ないよな、ユキが寝ると何故か馬がゆっくりしか走らないんだから」
「あれほんとになんなんだろうね」
到着の遅れには、ユキの力が少なからず関わっていた。
ケインに動物に好かれやすいという属性のようなものをつけられているユキは、今乗っている馬車を引く馬をも虜にしていた。
それ故に、雪が眠ったことを何故か察知してしまう馬は、起こさないようにとゆっくりと速度を落として歩き出す。御者はもちろんペースを戻すように指示を出すが、全く言うことを聞かない上に、眠っている子供がいるのでと3人からの許可が出たことによって諦め、そのままのペースで歩かせているのだった。
そして現在もユキが眠っているため、そのペースは落とされている。こうなっては到着は夕飯前になってしまうだろう。
そしてアミュートは、魔物などに襲われ、これ以上到着がおくれユキに負担がかからないようにピアスになっていながらも、イヌ科の動物や魔物に指示を出し、馬車付近に近付かせないようにしていた。
それ故に、あまりユキに構ってやることが出来なかったのである。
しかしそんな周りの配慮も虚しく、ユキには精神的にも身体的にも負担がかかってしまい、発熱してしまったのだった。
本人は気づいていない。ユキがイライラしてしまっているのは、暇だからというのはあながち間違ってはいないが、それによるストレスで熱を出し、知らず知らずのうちに体の調子が悪くなっているからだった。
「…ユキ、少し呼吸も荒れてきたか?」
「その体制だと呼吸がしにくいんじゃない?」
「…なるほど」
ユキの呼吸が少しずつ荒れてきているのを気にしたノアは、自分にもたれかからせるようにそっと抱き起こした。
「ん……」
少し顔を顰めてしまったユキをポンポンと、起きないように眠りを深めさせる為、優しくたたく。
すぅすぅと、可愛らしい寝息をもう一度たて始めたユキに3人はほっとする。
それでもやっまり寝苦しそうにするユキに、ノアは、他2人にどうするべきかと助けるような目を向けた。
「……」
「「……」」
「熱は?」
「……あ、さっきより少し高くなってるな」
「…ならもう仕方ねぇんじゃねぇの?」
「……」
ユキの熱は少しずつ上がってきていて、それ故に寝苦しくなっているのだから仕方ないじゃないかとガイは言ったが、それでも何とかしてやりたいと思うノアであった。
しかし、何も出来ることがなくて、優しく背中を摩って少しだけでもマシになるようにと願う他なかった。
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