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第1章
94.……にぇりゅ!。
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ノアさんの発言の後、なんとも言えない空気感が馬車の中を漂っていた。ノアさんは何がいけないのかよくわかっていない雰囲気だったのが、余計に馬車の中を漂うその空気感を強めていた。
そんな状況でまた始まる暇な時間に俺は、辟易としてしまった。しかしふと気になることがあった。
「いちゅ、ちゅくにょ?」
「ん?あぁ、もうそろそろじゃないか?んーそうだな……屋敷に着くのは夕方頃だな」
そうノアさんは車窓から外の様子を眺め答えた。
……夕方。夕方か。今はお昼だよ。お昼。最低でも2日って。それってさ、まぁ、さ、所詮予定だもんね、最低でもって言ってるもんね、うん。諦める。もう、諦める。
「ユキ寝るのか?」
「……ねりゅ!」
何だかさっきから俺は少し、短気になっている気がする。だって今だって、目を閉じた俺に質問してきたノアさんに少しムッとして語尾が強くなってしまった。どうして、急にこんなにイライラしたりムッとしたりするのか分からない。ただあえて自力で答えを見つけるなら、それはきっと暇だからなのだろうと思う。暇で暇で仕方なくて、ストレスが溜まってしまっているのだと、そう思う他ない。
「……ユキ?なんか顔赤くないか?」
「え?……ほんとだな」
「大丈夫?ユキ」
俺が暇だからストレスが溜まって短気なのだろうと考え答えを出している間に、3人はそんな会話をしていた。
そっちに意識を向けていなかった俺は、不意におでこに触れられビックリしてしまう。
「きゃふ!……にゃ、にゃに?」
「……やっぱり、少し熱があるな」
「にぇちゅ?……おにぇちゅ?」
あぁ、きちんと発音できないのが苛立たしい。くやしい。
熱ってなんだよ。んなのでてねぇよ!おにぇちゅってなんだよ!小首を傾げるな恥ずかしい!……なんで俺こんな自分の行いに関してイライラしてんだろ……はぁ。
「ユキ、どこか辛いところはないか?」
「……にゃい」
「ほんとに?結構熱いよ?」
「……にゃ、にゃい…?」
「……とりあえず寝ようとしてたんだし、寝かせてやれよ」
「あぁ、そうだな。ユキ、寝るか?」
「…………にぇりゅ」
もうイライラしちゃって起きてるのもなんだか面倒だから寝るというものの、今まで言えてたはずの“ね”の発音が何故かできない。
もういい!俺は寝る!しらねぇ!ふん!
そんなふて寝するような勢いで寝ようとする俺の背中をポンポンとノアさんがたたく。
その安定したリズム感に、ずっとどこか落ち着きのなかった俺の心が落ち着いて行き、そして眠くもなってくる。くぁ~っ と、大きくあくびをし、ノアさんの膝の上で丸まって寝る体勢へとはいる。
その動作だけで、何故かものすごく疲れてしまったが、もうどうせ今から寝るしなと無視をして瞼を閉じた。
そんな状況でまた始まる暇な時間に俺は、辟易としてしまった。しかしふと気になることがあった。
「いちゅ、ちゅくにょ?」
「ん?あぁ、もうそろそろじゃないか?んーそうだな……屋敷に着くのは夕方頃だな」
そうノアさんは車窓から外の様子を眺め答えた。
……夕方。夕方か。今はお昼だよ。お昼。最低でも2日って。それってさ、まぁ、さ、所詮予定だもんね、最低でもって言ってるもんね、うん。諦める。もう、諦める。
「ユキ寝るのか?」
「……ねりゅ!」
何だかさっきから俺は少し、短気になっている気がする。だって今だって、目を閉じた俺に質問してきたノアさんに少しムッとして語尾が強くなってしまった。どうして、急にこんなにイライラしたりムッとしたりするのか分からない。ただあえて自力で答えを見つけるなら、それはきっと暇だからなのだろうと思う。暇で暇で仕方なくて、ストレスが溜まってしまっているのだと、そう思う他ない。
「……ユキ?なんか顔赤くないか?」
「え?……ほんとだな」
「大丈夫?ユキ」
俺が暇だからストレスが溜まって短気なのだろうと考え答えを出している間に、3人はそんな会話をしていた。
そっちに意識を向けていなかった俺は、不意におでこに触れられビックリしてしまう。
「きゃふ!……にゃ、にゃに?」
「……やっぱり、少し熱があるな」
「にぇちゅ?……おにぇちゅ?」
あぁ、きちんと発音できないのが苛立たしい。くやしい。
熱ってなんだよ。んなのでてねぇよ!おにぇちゅってなんだよ!小首を傾げるな恥ずかしい!……なんで俺こんな自分の行いに関してイライラしてんだろ……はぁ。
「ユキ、どこか辛いところはないか?」
「……にゃい」
「ほんとに?結構熱いよ?」
「……にゃ、にゃい…?」
「……とりあえず寝ようとしてたんだし、寝かせてやれよ」
「あぁ、そうだな。ユキ、寝るか?」
「…………にぇりゅ」
もうイライラしちゃって起きてるのもなんだか面倒だから寝るというものの、今まで言えてたはずの“ね”の発音が何故かできない。
もういい!俺は寝る!しらねぇ!ふん!
そんなふて寝するような勢いで寝ようとする俺の背中をポンポンとノアさんがたたく。
その安定したリズム感に、ずっとどこか落ち着きのなかった俺の心が落ち着いて行き、そして眠くもなってくる。くぁ~っ と、大きくあくびをし、ノアさんの膝の上で丸まって寝る体勢へとはいる。
その動作だけで、何故かものすごく疲れてしまったが、もうどうせ今から寝るしなと無視をして瞼を閉じた。
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