髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

文字の大きさ
上 下
76 / 218
第1章

76.喧嘩の終結。

しおりを挟む
結局3人の喧嘩はどんどんヒートアップしていった。
そんな中俺は、3人のことを忙しなく視線を動かし、キョロキョロと見ていた。
そろそろ首も眼球を動かしすぎて疲れてきたし、飽きてきた。
3人はいつまでたっても喧嘩している。どんどん論点がズレてきている気がするし、もう嫌だ。
何より一番嫌なのは、3人がそれぞれ俺のことを掴み離さないこと。怒って喧嘩している3人はたまに指先に力が入るし痛いのだ。ほんとに勘弁して欲しい。
というか、時間の無駄だ正直いって。だって俺たちは今、街を探索しに来てるんだ。3人はもう知ってるから探索ではないだろうけど、どっちにしろ俺は探索しに来てるんだ。だったら、つまらないことで争ってないで街を見て回りたい。そろそろ本気で止めるか。

「うりゅしゃーーーーーい!!!!」
「「「………!!!!!」」」

さっきまで散々喧嘩していた3人は、ピタリと動きを止め喧嘩をやめた。そして俺を見下ろす。

「しゃんにんちょも!まち!みりぇにゃい!いちゅまりぇ、やっちぇるにょ!もう!ほんちょに!きりゃい!!もう!きりゃい!!」
「「「ユ、ユキ?……ユキさん?」」」

いつまでも喧嘩して俺を疲れさせた3人が少しでも懲りるように、俺は2度も嫌いだと言った。それも大きな声でハッキリと。
すると3人は声を揃え俺の様子を伺う。その様子はとても狼狽えていて少しおかしかった。しかしここで笑ってしまうと怒っているのが台無しなので我慢する。
少しだけ肩が揺れてしまうが、プイっと腕を組み顔を背けているので、怒っていると勘違いしてくれるはずだ。というかそう勘違いしてくれ。でないと突然笑い始めた変人になってしまうじゃないか!

「ユキ、ユキごめん、ごめんね?」
「すまん…ユキ、嫌いなんて言わないでくれ」
「ユキ……ごめん、ほんとに。そんな事言わないでくれ」
「「「ユキ~~」」」

3人の泣きそうな声に、俺は怒る気も失せ許すことにする。
もういいよ、と伝えると3人は破顔し喜んでいた。
………そんなに喜ぶ?灸を添えすぎた?ま、いっか。悪かったのは3人だし!

そんなこんなでまた、街の散策を開始する。

今の抱っこはライさんで、ガイさんの時同様街をぶらぶらと見て回る。
ノアさんの時は、ちょうど近くにさっきのお店があったため入ったのだ。

「ユキ、何か気になるものある?」
「!!」
「……聞いてないし」
「気になるものばっかりなんだろ」
「だろうな」

俺はもう気になるものばっかりで多分顔全体がキラキラしていると思う。
すっごく楽しい!1番気になるのはやっぱり武器屋!
今視界に入ったお店はあからさまに武器やだった。外の樽には何本も乱雑に剣が刺されて置かれていた。とてもそれっぽい。
ライさんの腕の中から身を乗り出し、お店の中を少し覗く。
すると、中には冒険者らしき人達が。あ!出てきた!
一生懸命覗こうとしていると、すごくワクワクする光景が…!
まさに武器屋に居てそうで馴染んでいた3人組の冒険者と思しき人達が、これまた武器屋に馴染む店主と思われる異世界溢れるドワーフさんに追い出されていた。
何をしたんだろう?やっぱり武器にケチでもつけたんだろうか?ドワーフってやっぱりちっちゃいんだな~!やっぱり偏屈なんだろうか?

「わ!」

気になりすぎてどんどんどんどん身を乗り出していたようで、落ちそうになった俺を3人が支え、受け止めてくれる。
ライさんだけでなく、2人もだ。

「「「あっぶな~~っ!!」」」
「びっくりした……大丈夫?」
「っくりした…ユキ、大丈夫か?」
「ふぅぅ~~っ……ユキ、大丈夫か?問題ないか?」
「こぉ、こぉめんにゃしゃい……」

3人がそれぞれ心配した顔で声をかけてくれるので、反省し、謝罪する。
すると3人は口々に良かった~といい、ライさんは俺を抱え直す。
そしてまた起こりそうな空気だ。喧嘩が。

「ライ!しっかり支えてろよ!危ないだろ!」
「そうだぞ!!落としそうになるなんて有り得ない!」
「そ、そんなこと言ったって、ユキが……ううん、ごめん。次から気をつけるね」
「「お、おう…」」
「なんなら俺が変わろうか?まだ10分抱っこ権残ってるぞ!」
「「それは無い!自業自得(だ)」」
「…そうか」

喧嘩になりそうか?と思ったが、ライさんが素直に謝りに事なきを経た。また喧嘩したらどうしようかと思った…。ちゃんとさっきのことを反省してくれているようで良かったよ!







𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
遅くなり申し訳ありません。
テストが近いため、なるべくその日のうちにアップするよう努めますが、なかなか難しい場合があります。
今月いっぱいはそんな感じですので、よろしくお願いします。


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...