髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

69.成、功?。

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どうやら、頭と心は15歳。体と感情は2歳メインと言った感じだろうか?
大きくなればなるほど素直に出せない小さな感情を、今のこの2歳の身体はいちいち拾い大袈裟に表現してしまうようだ。
だから中身は15歳なのに今すぐ出かけられないという小さな悲しみで、こんなにも大泣きしてしまっているということ。仕方ない。

「ううっ…ヒックッヒックッ…ふぇぇっ…ふぇん……うっくっ」
「わ、わ、わかった。わかった。行こう。な?だから泣きやめ…な?」
「行こう、ね?行こ」
「な、なくな…」

俺の身体は悲しいということを体全体で表している。そのため、床にべったりと蹲り大声で泣いてしまっている。さすがに恥ずかしいため、今は頑張って声を抑えようとしている所。それでも溢れてしまっている悲しみの感情を抑えるのは難しく、漏れてしまう声。必死に顔を隠し、迷惑をかけるだけだとわかっているため泣きやもうとする。

「ユキ…ユキ……行こう。な?」

そう、何度も何度も泣いている俺に声をかけ、泣き止ませようとしてくれる3人。
優しいね、ごめんね。迷惑かけているだけだってちゃんとわかってる。3人は真実を知らないなりに俺の体を気遣い、出かけるのをお昼からにしてくれているのもちゃんと分かってる。だから俺がこんなふうに泣けばただ困らせてしまうだけだと言うのも分かってる。
それでも止まってくれない涙。感情の制御が上手くできない。

「うっく…ふっう……ふぅ…」
「わ、悪かった、な?」

泣き止ませようとする3人 VS 泣き止もうとする俺。
目的は同じ。だけど上手くいかない。
大丈夫。3人とも安心して。俺は泣き止む気しかないから。身体が言うことを聞いてくれないだけ。

「にゃき、やむ…ヒックッ…らいりょう、ぷ…うっく…い、いい…おひりゅ、れ、いい…」
「「「…っ!」」」

大丈夫。泣き止むから安心して、困らないで。
困らせたくはないんだよ。
お昼からでいいってちゃんと伝えたのに、3人は何も言ってこない。ちゃんと伝わったんだよね?

「ユキ、とりあえず泣きやもうな。そのままじゃ苦しいだろ?」

確かに。大声を上げて泣いた時より、声を殺して泣く方が疲れるしとても苦しい。止めようと頑張ればしゃっくりみたいになってしまうし、上手く呼吸もできない。それにさっき頑張ってしゃべって少し酸欠。
それを察したガイさんに抱き起こされ、背中をトントンしてもらう。
それはとても安心して、心地よくて、少しずつ呼吸は楽になり、こぼれ落ちる涙の数も少しずつ減ってゆく。


「落ち着いたか?」
「ん……ヒック……」

涙も止まり落ち着きはしたが、しゃっくりは止まらない。

「ははっ、しゃっくりはまだ止まらないか」
「うックん…ふぅ…」

声を出すタイミングでのしゃっくりって苦しいね。

「じゃあ、行くか?しばらくしたら止まるだろ」
「ヒック…?ろこに?…フック…」
「ん?街へ行くんだろ?」
「おひりゅれしょ?」
「いや、もう行こうか。ただ、向こうで買い食いはナシだぞ」
「あい!ヒック…」
「ははっ!」

聞いた?!聞いたよね!!やったーー!今から行けるんだって!わざとでは無いけど泣き落とし成功だ!そもそも企ててないから成功と言うのが正解かは分からないけれど。

そして俺は未だに止まらないしゃっくりを気にせず大はしゃぎし、盛大に噎せた。






𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
遅くなりましたごめんなさい。
ほんともう予約ミス多くて申し訳ないです……
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感想 13

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