髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

文字の大きさ
上 下
68 / 218
第1章

68.無意識の鼻歌。

しおりを挟む
「今日も念の為休んどこうね」

ご飯を食べ終わり、部屋へ戻るとライさんがそんなことを言う。
…どこもしんどくないのにベッドの上で大人しくしとくなんて退屈すぎる。
もっと街とか見てまわりたい!

「や!」
「どうして?またしんどくなるかもでしょ?」
「まち!いきゅ!」
「街?」
「うん!」

もうしんどくなりません!だから連れてって!

「そう言えば初日の夜は興味津々だったが眠気に負けてたもんな~」
「そうなのか?」
「あぁ、落ちそうでひやひやしたぞ」
「…落としてないだろうな?」
「当たり前だろ!落とすわけねぇだろうが!!」

なんでそんな小さな事で喧嘩するんだろうかこの2人は。
仲悪いのか?でも、普段は別にそんなことないんだよな…。
まるで話し始めた子供に1番好きだと言って欲しい親みたいだ。

「じゃあ、少しだけ見に行ってみる?」
「うん!」
「しんどくなったらちゃんと言うんだぞ?」
「わかっちゃ!」

ほんと心配性。でも、街へ行く許可が出て滅茶苦茶嬉しい!!
どんなのがあって、どんな人がいるのか。とても楽しみで、思わず足がバタバタしてしまう。

「ははっ、嬉しいか?」
「うれちい!」
「そうかそうか!」

ついつい落ち着きがなくなってしまうと、ノアさんがニコニコしながら頭を撫でてくれる。
この人達は本当に頭を撫でるのが好きだな。まぁ俺も撫でられるのは好きだけどっ♪

「ふんふんふふん~♪」

俺は街に行くのが楽しみで、朝ごはんで少し汚れてしまっている服を脱いで着替えようとしていた。ついつい鼻歌が漏れているのに気付かずに。

「……自分で着替えられるか?」
「ふんふふふん~♪」
「ふふっ気付いてない…っ!もたもたしててかわいいっっ」
「「((うんうん))」」

服を着替えたいけど上手く脱げない。腕がもたついて身動きが取れなくなった。

「うぅ~…ちゃちゅけちぇ…」
「~~っ…ほら、ばんざいしろばんざい」
「ん。ん~~ふはっ」
「ほい、まだばんざいしてろよ」
「ん。ん~ぱっ!」

そうして、ノアさんに着替えさせてもらった。
何故か服を脱ぎ着する度に息を止めてしまう。

「よし!」
「も、いくぅ?」

服も着替えたし、もう行けるだろうか?
ワクワクが止められない。

「…悪いがまだだ」
「ふえっ?!」

行けないの?!

「お昼を食ってからだな。ユキが元気なら向こうで何か食べても良かっただろうが、消化に良くないからな。出先でお腹すいてると食べたいと思うものが出た時困るだろ。」
「そゆこと」

ガーン……。今すぐ行けると思ってうっきうっきだったのに……。そんなぁ~もう元気だよ!食べなくていいよ!食べたいのあっても我慢するよ?!それでもダメ……??

「たえたい、いわにゃい。しょえりぇも……りゃめ?」
「…ダメだな。しんどくなるのはユキだから」
「うぅぅぅ~~」

しんどくならないよ!もう平気だよ!そう説得したいが、言ったってどうせ子供のなんの根拠もない主張だと捉えられるだけだ。根拠ならあるが、それを主張することは出来ない。
ここはもう泣きそうな顔で訴えるしかない。

「ほんちょにりゃめにゃにょ?うぅっ…」
「……くっ、ダメだ。」
「うぅ~ぁいしゃん~~っ」
「……い……いや、だめだ。だめだ。」

そんな2度も…ショック。

「りゃいしゃん……ヒック…」
「……ごめん。お昼なんてすぐだから」

うっうぅっそんなことってあるぅ?!

「うぅっっわーーーん!!!」
「「「あ、あ……ああー……」」」

テンションが上がりすぎていた為、2歳児らしく大泣きしてしまった。
今は中身15歳ということは忘れて欲しい。








しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪ 第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪ ◇ ◇ ◇  婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。 【一章】婚約者編 【二章】幼馴染の護衛騎士編 【閑話】お兄様視点 【三章】第二王子殿下編 【閑話】聖女視点(ざまぁ展開) 【四章】森でスローライフ 【閑話】彼らの今 【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)  主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。  スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。  スローライフの相棒は、もふもふ。  各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。  ◇ ◇ ◇ 【あらすじ】  平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。  聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。  主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。  そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。  良好だった関係は、徐々に崩れていく。  婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。  自分の身は自分で守れるわ。  主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。  ※ちょっと男性陣が可哀想かも  ※設定ふんわり  ※ご都合主義  ※独自設定あり

(短編)いずれ追放される悪役令嬢に生まれ変わったけど、原作補正を頼りに生きます。

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚約破棄からの追放される悪役令嬢に生まれ変わったと気づいて、シャーロットは王妃様の前で屁をこいた。なのに王子の婚約者になってしまう。どうやら強固な強制力が働いていて、どうあがいてもヒロインをいじめ、王子に婚約を破棄され追放……あれ、待てよ? だったら、私、その日まで不死身なのでは?

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」 ────何言ってんのコイツ? あれ? 私に言ってるんじゃないの? ていうか、ここはどこ? ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ! 推しに会いに行かねばならんのだよ!!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました

ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】 ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です ※自筆挿絵要注意⭐ 表紙はhake様に頂いたファンアートです (Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco 異世界召喚などというファンタジーな経験しました。 でも、間違いだったようです。 それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。 誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!? あまりのひどい仕打ち! 私はどうしたらいいの……!?

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

処理中です...