髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

68.無意識の鼻歌。

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「今日も念の為休んどこうね」

ご飯を食べ終わり、部屋へ戻るとライさんがそんなことを言う。
…どこもしんどくないのにベッドの上で大人しくしとくなんて退屈すぎる。
もっと街とか見てまわりたい!

「や!」
「どうして?またしんどくなるかもでしょ?」
「まち!いきゅ!」
「街?」
「うん!」

もうしんどくなりません!だから連れてって!

「そう言えば初日の夜は興味津々だったが眠気に負けてたもんな~」
「そうなのか?」
「あぁ、落ちそうでひやひやしたぞ」
「…落としてないだろうな?」
「当たり前だろ!落とすわけねぇだろうが!!」

なんでそんな小さな事で喧嘩するんだろうかこの2人は。
仲悪いのか?でも、普段は別にそんなことないんだよな…。
まるで話し始めた子供に1番好きだと言って欲しい親みたいだ。

「じゃあ、少しだけ見に行ってみる?」
「うん!」
「しんどくなったらちゃんと言うんだぞ?」
「わかっちゃ!」

ほんと心配性。でも、街へ行く許可が出て滅茶苦茶嬉しい!!
どんなのがあって、どんな人がいるのか。とても楽しみで、思わず足がバタバタしてしまう。

「ははっ、嬉しいか?」
「うれちい!」
「そうかそうか!」

ついつい落ち着きがなくなってしまうと、ノアさんがニコニコしながら頭を撫でてくれる。
この人達は本当に頭を撫でるのが好きだな。まぁ俺も撫でられるのは好きだけどっ♪

「ふんふんふふん~♪」

俺は街に行くのが楽しみで、朝ごはんで少し汚れてしまっている服を脱いで着替えようとしていた。ついつい鼻歌が漏れているのに気付かずに。

「……自分で着替えられるか?」
「ふんふふふん~♪」
「ふふっ気付いてない…っ!もたもたしててかわいいっっ」
「「((うんうん))」」

服を着替えたいけど上手く脱げない。腕がもたついて身動きが取れなくなった。

「うぅ~…ちゃちゅけちぇ…」
「~~っ…ほら、ばんざいしろばんざい」
「ん。ん~~ふはっ」
「ほい、まだばんざいしてろよ」
「ん。ん~ぱっ!」

そうして、ノアさんに着替えさせてもらった。
何故か服を脱ぎ着する度に息を止めてしまう。

「よし!」
「も、いくぅ?」

服も着替えたし、もう行けるだろうか?
ワクワクが止められない。

「…悪いがまだだ」
「ふえっ?!」

行けないの?!

「お昼を食ってからだな。ユキが元気なら向こうで何か食べても良かっただろうが、消化に良くないからな。出先でお腹すいてると食べたいと思うものが出た時困るだろ。」
「そゆこと」

ガーン……。今すぐ行けると思ってうっきうっきだったのに……。そんなぁ~もう元気だよ!食べなくていいよ!食べたいのあっても我慢するよ?!それでもダメ……??

「たえたい、いわにゃい。しょえりぇも……りゃめ?」
「…ダメだな。しんどくなるのはユキだから」
「うぅぅぅ~~」

しんどくならないよ!もう平気だよ!そう説得したいが、言ったってどうせ子供のなんの根拠もない主張だと捉えられるだけだ。根拠ならあるが、それを主張することは出来ない。
ここはもう泣きそうな顔で訴えるしかない。

「ほんちょにりゃめにゃにょ?うぅっ…」
「……くっ、ダメだ。」
「うぅ~ぁいしゃん~~っ」
「……い……いや、だめだ。だめだ。」

そんな2度も…ショック。

「りゃいしゃん……ヒック…」
「……ごめん。お昼なんてすぐだから」

うっうぅっそんなことってあるぅ?!

「うぅっっわーーーん!!!」
「「「あ、あ……ああー……」」」

テンションが上がりすぎていた為、2歳児らしく大泣きしてしまった。
今は中身15歳ということは忘れて欲しい。








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