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第1章
63.優しいお医者さん。
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どうやら俺は一日寝ていたらしい。
2日目の夕方から気絶し、今はこの世界へ来て3日目の夜。
目が覚めて、大丈夫だと伝えたが心配だからと言われ、この宿に泊まっていたお医者さんに診てもらっている所。
「どこか辛いところは?」
「にゃいれしゅ」
「…ふむ。大丈夫そうですね」
「あい!」
「…なんだったんでしょうか。もうさっぱり分かりません」
「「医者のくせになんだよ。頼りないな…」」
「……申し訳ありません」
「こら二人とも!わざわざ泊まってくれたり、心配してくれてたんだからそんな事言わない!」
「「……」」
まさか…!このお医者さん、わざわざ泊まってくれたの?え?!申し訳なっっ!!
「あ、あにょ……あ…」
「ん?あぁ、ユキ、気にしなくていいぞ。この人は普通に泊まってたんだ」
「イテッ…」
「え…あ…え?」
そうなの?でもライさんが、わざわざって言ってたよ?
「いい。気にするな」
俺の頭を撫でながら、微笑むガイさん。お医者さんもにこって笑ってるし、もういいや。
気にするなと言われたし面倒臭いし、気にしなくていいよね。
とりあえずありがとうだけ伝えとこう。
「あにょ、ありあちょれしゅっ!」
「…!!」
お医者さんは何も言わずに笑顔で頭を撫でてくれた。
「…ではもう大丈夫そうですし私は帰ります。また何かありましたら呼んでください」
「あぁ、ありがとう。」
荷物を持ち、もうでていくのかと思えば、何かを思い出したのか「あ、それから…」と立ち止まり振り返った。
「もう大丈夫そうですが念の為、お腹に優しい食べ物だけ食べさせてください。お肉などを食べさせるなら、明後日の朝からにしてくださいね。」
「あぁ、わかった。」
「ユキくん」
「あい」
「少しでも気持ち悪いと思ったら無理しないでくださいね」
「あい!」
言われなくてもそうします…学習したので。
「それから、お肉を食べる時はまず一口食べてみて、様子を見ながらゆっくり、少しずつ食べるんですよ?」
「あい!」
「みなさんも注意して見ててあげてくださいね」
「「「わかった」」」
「では今度こそ失礼します。ユキくん、バイバイ」
「ばぁ~ばい!」
そうしてお医者さんは、俺に手を振りながら部屋から出ていった。
ずっとニコニコしていて子供が好きなんだな~というのが伝わってくる、すごく感じのいい人だった。
それに、どうせ分からないだろうと大人だけに説明し子供を蔑ろにしないで、ちゃんと俺にも注意してくれるところに優しさを感じる。
また会うようなことは無いようにしたいが、何せ俺は虚弱になったかもしれない身。またお医者さんに診てもらうなら、あの人がいいなと思った。あの人に頭を撫でられるのはなんか、ちょっと好きだ。気持ちいい。大きく温かい手。ガイさんの手も好きだけど、ガイさんの手は冒険者らしくゴツゴツとしている。でもあの人はしていない。そのへんが違っていてちょっと気に入った。
「ユキ、良かったなもう大丈夫そうで。ほっとしたぜ」
「そうだな…昨日はゾッとしたから……マジで心臓止まるかと思った。いやあれは止まったな一瞬でも止まってた。」
「同感。苦しそうにした後急に体の力抜けて意識失うんだもん。生きてるってわかってもなかなか目が覚めなくて怖かった」
「「あぁ…もうあんなのは二度とごめんだ」」
「そうだね」
どうやらすごく心配させてしまっていたようだ。
確かにあれは俺も出来ればもう二度と味わいたくない。苦しくて仕方なかったし、死ぬんじゃないかという恐怖と絶望。もう二度とごめんだ。
2日目の夕方から気絶し、今はこの世界へ来て3日目の夜。
目が覚めて、大丈夫だと伝えたが心配だからと言われ、この宿に泊まっていたお医者さんに診てもらっている所。
「どこか辛いところは?」
「にゃいれしゅ」
「…ふむ。大丈夫そうですね」
「あい!」
「…なんだったんでしょうか。もうさっぱり分かりません」
「「医者のくせになんだよ。頼りないな…」」
「……申し訳ありません」
「こら二人とも!わざわざ泊まってくれたり、心配してくれてたんだからそんな事言わない!」
「「……」」
まさか…!このお医者さん、わざわざ泊まってくれたの?え?!申し訳なっっ!!
「あ、あにょ……あ…」
「ん?あぁ、ユキ、気にしなくていいぞ。この人は普通に泊まってたんだ」
「イテッ…」
「え…あ…え?」
そうなの?でもライさんが、わざわざって言ってたよ?
「いい。気にするな」
俺の頭を撫でながら、微笑むガイさん。お医者さんもにこって笑ってるし、もういいや。
気にするなと言われたし面倒臭いし、気にしなくていいよね。
とりあえずありがとうだけ伝えとこう。
「あにょ、ありあちょれしゅっ!」
「…!!」
お医者さんは何も言わずに笑顔で頭を撫でてくれた。
「…ではもう大丈夫そうですし私は帰ります。また何かありましたら呼んでください」
「あぁ、ありがとう。」
荷物を持ち、もうでていくのかと思えば、何かを思い出したのか「あ、それから…」と立ち止まり振り返った。
「もう大丈夫そうですが念の為、お腹に優しい食べ物だけ食べさせてください。お肉などを食べさせるなら、明後日の朝からにしてくださいね。」
「あぁ、わかった。」
「ユキくん」
「あい」
「少しでも気持ち悪いと思ったら無理しないでくださいね」
「あい!」
言われなくてもそうします…学習したので。
「それから、お肉を食べる時はまず一口食べてみて、様子を見ながらゆっくり、少しずつ食べるんですよ?」
「あい!」
「みなさんも注意して見ててあげてくださいね」
「「「わかった」」」
「では今度こそ失礼します。ユキくん、バイバイ」
「ばぁ~ばい!」
そうしてお医者さんは、俺に手を振りながら部屋から出ていった。
ずっとニコニコしていて子供が好きなんだな~というのが伝わってくる、すごく感じのいい人だった。
それに、どうせ分からないだろうと大人だけに説明し子供を蔑ろにしないで、ちゃんと俺にも注意してくれるところに優しさを感じる。
また会うようなことは無いようにしたいが、何せ俺は虚弱になったかもしれない身。またお医者さんに診てもらうなら、あの人がいいなと思った。あの人に頭を撫でられるのはなんか、ちょっと好きだ。気持ちいい。大きく温かい手。ガイさんの手も好きだけど、ガイさんの手は冒険者らしくゴツゴツとしている。でもあの人はしていない。そのへんが違っていてちょっと気に入った。
「ユキ、良かったなもう大丈夫そうで。ほっとしたぜ」
「そうだな…昨日はゾッとしたから……マジで心臓止まるかと思った。いやあれは止まったな一瞬でも止まってた。」
「同感。苦しそうにした後急に体の力抜けて意識失うんだもん。生きてるってわかってもなかなか目が覚めなくて怖かった」
「「あぁ…もうあんなのは二度とごめんだ」」
「そうだね」
どうやらすごく心配させてしまっていたようだ。
確かにあれは俺も出来ればもう二度と味わいたくない。苦しくて仕方なかったし、死ぬんじゃないかという恐怖と絶望。もう二度とごめんだ。
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